icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科36巻4号

1981年04月発行

特集 術後1週間の患者管理

門脈下大静脈系吻合術

著者: 磯松俊夫1

所属機関: 1北海道大学医学部第2外科

ページ範囲:P.585 - P.589

文献概要

 門脈下大静脈系吻合術(遠位脾腎静脈吻合術)の適応となる患者は,種々の程度の肝障害をもつており疾患別にいえば肝硬変症が最も多い.肝硬変症は代償性であれば,ある程度の侵襲にたえるが,肝予備力が低下しているので,あらゆる術後合併症の予防につとめなければならない.それらを要約するならば術当日および術後1日は,水分電解質バランスを主体に十分な循環血液量・心拍出量の確保と呼吸管理につとめ,組織anoxiaことに肝anoxiaを来たさないようにする.術後2日以降は栄養に主体をおいた輸液管理と腹水に対する処置である.遠位脾腎静脈吻合術は,術後およそ3日で経口摂取可能となるが,経口摂取不足の補充,術後肝機能改善のため補液は術後12.7±2.9(SD)日行なう.腹水,乏尿にはラシックス,エデクリールを使用し,低蛋白血症には新鮮凍結人血漿を1日500ml投与する.術後必要投与期間は11.6±4.5(SD)日であつた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら