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文献詳細

雑誌文献

臨床外科36巻4号

1981年04月発行

特集 術後1週間の患者管理

注意すべき状態の患者管理

肥満

著者: 水野茂1 近藤達平1

所属機関: 1名古屋大学医学部第2外科

ページ範囲:P.716 - P.717

文献概要

 肥満は一見健康らしくみえるが実際にはいろいろの代謝障害を伴つた病的状態である.一方手術侵襲もアルカロージス・仮性糖尿病などの代謝障害を必発する.従つて肥満者の術後は複雑な代謝異常を来ししかも代謝上の予備能が小さいため細かな特有の配慮が必要となつてくる.肥満は高脂血症・高アミノ酸血症のほか糖処理能も低下して血糖曲線上遅延反応型を示すことが多く3大栄養素のいずれにも異常を示す.またこれらの代謝調節に重要なインシュリンは高値であるが,末梢細胞レベルでのインシュリン感受性が低くその効果が発現しにくい.これらの代謝効率の低下は組織でのエネルギー産生障害や脂肪貯溜を来し,糖尿病・動脈硬化症・微小血管障害・高血圧・心疾患・腎機能障害などを合併しやすく正常者の10倍近い死亡率の主因となつている.一方,副腎・甲状腺・下垂体などの手術侵襲に重要なホルモン系はほぼ正常と考えてよい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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