文献詳細
外科医のための臨床MEの知識・1【新連載】
病室における心電図モニタの実際—きれいな心電図をとるために
著者: 小野哲章1 尾本良三2
所属機関: 1三井記念病院MEサービス部 2埼玉医科大学第1外科
ページ範囲:P.813 - P.819
文献概要
特に強調するまでもなく,今日の外科診療において"ME"は必須のものとなつていることはよく知られている通りである."ME"が,あまりに身近なものになつているだけに,逆にそれに対する正しい知識をうる機会は乏しいものである.例えば病室で"きれいなECG"を記録する方法を,わざわざ学ぼうとする外科レジデントはいないだろう.そんなことをしなくても,なんとかかんとかごまかしながら日常これらの業務を行なつているというのが実態であろう.また,医学部の卒前教育をみるとMEのカリキュラムがどの医大でもとり入れられているが,色々の事情から医学部2〜3年生の未だ臨床に対する知識のあまりない時期に講義を聴いたり,実習をやつている場合が多い.このような状況の下で,外科レジデントのトレーニングを開始することになる.私共は,以前より外科レジデントが臨床MEに関してもつと正確な知識を持つべきであると考えてきた.そのひとつが,以前に出した『ベッドサイドME入門=基礎技術と安全対策』の小著である.その後,色々な社会的な背景もあつて1つには医療過誤に対することなどますます臨床MEの知識は"安全"という点からもその重要性が増してきたと言える.
さて,ここで"ME"の意味を考えておきたい.今日"ME"という言葉はきわめて広く使用されているが,医用電子(Medical Electronics)というやや狭い意味ではなく,むしろ医用工学(Medical Engi-neering)という広い意味にとつてもらつたほうが良いと筆者らは考えている."ME"は単にME機器を指すのみでなく,広くME技術をも指すと考えたい.
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