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手術手技
閉塞性動脈硬化症に対する血栓内膜摘除術について—主として大腿膝窩動脈領域の経験
著者: 花上仁1 永井研治1 杉本辰雄1 坂野哲哉1 北山太朗1 瀬戸明1 野本信之助1 吉崎聰1
所属機関: 1名古屋保健衛生大学外科
ページ範囲:P.821 - P.825
文献購入ページに移動わが国においても,社会の高齢化,食生活の西欧化がすすむにつれ,動脈硬化症の増加がいちじるしい.それに伴ない,末梢血管外科においてもBuerger病に対する閉塞性動脈硬化症の比率が増加して来ている.それらの治療の面では,Buerger病が非常に末梢性病変のために直達療法が奏功しないことが多いのに比し,閉塞性動脈硬化症では血栓内膜摘除術(Thrombendarteriek—tomie,以下TEA)でも,人工血管,自家静脈移植でも,直達療法が有効であるが,閉塞性動脈硬化症は患者の年齢も高く,種々の合併症を伴なう場合が多いので,外科的治療を行なうにあたつては侵襲が少なく,かつ合併症の少ない術式がのぞましい.現在そけい靭帯より中枢側の病変には,主としてTEAと人工血管移植が行なわれ,いずれもよい成績1,2)をあげているが,末梢側の大腿膝窩動脈領域の病変においては,本邦では症例があまり多くないため,どのような術式が適しているかについての定説はない3-5).しかしわれわれはなるべく生体にあるものを利用し,より生理的な血行を得ようとする立場から,数年前よりワイヤーリングストリッパーによる血栓内膜摘除術について報告して来たが6,7),今回は主として大腿膝窩動脈領域の開放的TEAおよびVollmer型Ringstripperによる半閉鎖的TEA8)の方法について述べ,併せて最長4年と観察期間は短いが,その成績についても簡単に記載する.
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