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臨床研究
微小甲状腺癌の臨床および病理学的検討
著者: 野口昌邦1 松葉明1 高橋信樹1 広沢久吏1 小島靖彦1 木南義男1 宮崎逸夫1 水上勇治2 松原藤継2 三輪晃一3
所属機関: 1金沢大学医学部第2外科 2金沢大学医学部中央検査部病理 3福井医科大学医学部第1外科
ページ範囲:P.1123 - P.1126
文献購入ページに移動甲状腺癌はその大部分が増殖速度の緩やかな分化癌であり,また頸部の体表近くに存在し異常を自覚しやすく比較的早期に診断治療されるなどのため一般にその予後は良好であるが,進行した甲状腺癌は今日でも根治手術が難しく,腫瘍による気道圧迫,遠隔転移,さらに未分化癌化などのため死に至る症例も少なくない1).従つて甲状腺癌も他の臓器の癌と同様に早期発見,早期治療が重要と考えられる.
しかし甲状腺の癌病巣が微小な,すなわち最大径10mm以下のものは触診,甲状腺軟線撮影,超音波およびスキャンなどの諸検査によつて診断が極めて困難な現状にある.この甲状腺癌病巣の最大径が10mm以下のものを転移の有無にかかわらず,微小甲状腺癌と定義する傾向にあるが2),これは他の臓器の早期癌に相当するとも考えられる.以前よりこの微小甲状腺癌は剖検症例や甲状腺癌以外の疾患で甲状腺切除を受けた症例の甲状腺組織を組織学的に精査するとかなり高率に発見されることが指摘されていたが3,4),最近,臨床上においても微小甲状腺癌に注目し始めたこともあり,その症例が増加する傾向にある.
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