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文献詳細

雑誌文献

臨床外科36巻7号

1981年07月発行

文献概要

臨床研究

膵頭十二指腸切除後の内因性セクレチン分泌

著者: 山崎軍治1 黒田吉隆1 竹下八洲男1 小西孝司1 倉知圓1 永川宅和1 宮崎逸夫1

所属機関: 1金沢大学医学部第2外科

ページ範囲:P.1131 - P.1135

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はじめに
 1902年Bayliss & Starling1)は自律神経切除犬を用いて,十二指腸内に塩酸を注入すると膵液の分泌が亢進することを発見し,塩酸によつて十二指腸粘膜から賦活されて放出する,膵液促進物質をセクレチンと命名した.これが歴史的にみる最初の消化管ホルモンの発見であり,これを契機としてガストリン,パンクレオザイミンなどの多くの消化管ホルモンが発見されるようになつてきた.
 ところで,これらの消化管ホルモンの宝庫である胃前庭部,十二指腸および空腸上部が膵とともに切除される膵頭十二指腸切除(以下PD)では,術後にこれらの消化管ホルモンの脱落による代謝障害の出現が懸念される.とくにセクレチンは膵外分泌,胆汁分泌を刺激するとともに,糖代謝にも関与していることが明らかにされつつあるgut hormoneであるが,PDではその分泌母地のみならずtarget organである膵も一部切除されるので,術後にセクレチンがいかなる推移を示すのかについては,いまだ不明の点も多い.そこでわれわれはPD後の血中セクレチン分泌動態を塩酸負荷により検索し,さらに残存膵の外分泌能についても検討を加え若干の知見を得たので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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