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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科36巻9号

1981年09月発行

雑誌目次

特集 上部胆管癌の外科

胆道癌外科取扱い規約の概要

著者: 宮崎逸夫

ページ範囲:P.1367 - P.1370

はじめに
 1981年4月,日本胆道外科研究会から,胆道癌外科取扱い規約が発刊された.本規約委員の1人として,著者も微力を尽してきたが,こうして規約が出来上つてみると,これからが大変だという感懐を持たざるを得ない.さて,今回の本誌の特集テーマが「上部胆管癌の外科」なので,上部胆管癌を中心に取扱い規約の概要について述べたい.
 癌規約の意義は,共通の内容を,共通の表現法を用いる約束をつくることにあつて,この規約によつて討論あるいは資料の集積が容易かつ正確となり,その病態の解明,ひいては治療成績の向上に資するところ大なるものがある.とくに症例数の少ない胆道癌では,規約の必要性が高いことはいうまでもない.

病理からみた特徴

著者: 林活次

ページ範囲:P.1371 - P.1376

上部胆管癌の名称
 肝外胆管は解剖学的に一般に左右肝胆管,総肝胆管,胆のう胆管,総胆管(膵外(総)胆管,膵内(総)胆管)などに分けられ,癌が発生した部位によりそれぞれ左肝(胆)管癌,総肝(胆)管癌などと呼称している.しかし,臨床上,肝門部癌,上部胆管癌,三管合流部癌等の名称も用いられている.肝門部癌と上部胆管癌の定義は大体同一の意味で使用されているが,若干異なる考えをもつている報告者もいるようである.肝門部胆管癌は左右肝胆管ならびにその合流部に原発するもの,あるいは総肝胆管に原発する癌腫が肝胆管合流部に波及したものに対して用いられている.上部胆管とは胆道外科取扱い規約による分類(案)(「胆と膵」1巻7号801頁〜813頁)では肝外胆管を左右肝胆管の合流部から膵上縁までの部分を二等分し,その肝側を上部胆管と規定しているようである.この上部胆管部に発生した癌を上部胆管癌という訳である.しかし,一般には左右肝胆管に発生した癌も含めているようである.筆者としてはやはり解剖学的規定に従つた分類命名を用いたい.しかし,今回は編集者の依頼に従つて肝胆管癌も含めた上部胆管癌について病理組織学的見地から述べる.

診断のすすめ方

著者: 秋庭真理子 ,   出浦正倫 ,   相沢良夫 ,   銭谷幹男 ,   亀田治男

ページ範囲:P.1377 - P.1382

はじめに
 胆管癌は黄疸以外には特徴的所見に乏しく,上部胆管癌も初発症状に黄疸が多い.ほかの症状で発症したものも比較的短期間のうちに発黄し,一旦黄疸が出現すると急速に増強することが多い.上部胆管癌はその解剖学的関係から根治手術が不可能な症例が多いが,黄疸発現以前に症状をとらえ,あるいは発黄初期に胆道精査を行なうことにより早期発見,根治切除の可能性も高まると考えられる.
 胆道精査法には種々あるが,胆管癌の診断には不可欠の経皮経肝胆道造影法(PTC),内視鏡的逆行性胆膵管造影法(ERCP)に加え,最近では機種の開発によりその診断能がめざましく向上した超音波検査法やコンピュータ断層法(CT)などがひろく利用されるようになつた.そこで,上部胆管癌の診断,とくに早期発見の手がかりをとらえるために,その臨床像を明らかにするとともに,いわゆる画像診断法といわれる各種検査法による診断の実際について述べる.

切除療法

私はこうしている

著者: 川原田嘉文 ,   鈴木英明 ,   水本龍二

ページ範囲:P.1383 - P.1390

はじめに
 肝外閉塞性黄疸の中で最も治療が困難なものは肝門部胆管の閉塞をきたしたいわゆる肝門部胆管癌であり,この部に原発する癌には左右肝管合流部の癌,いわゆるklatskin tumorの他,上部胆管癌による肝門部閉塞や肝内胆管癌いわゆるcholangiomaの肝門部浸潤などがあげられる.PTC,ERCPなどの胆道系診断法の進歩により,これらのいわゆる肝門部胆管癌の診断の下される機会が増加しているが,本症は切除率が低く切除不能例が多いばかりでなく,黄疸軽減術さえも困難なことが多い.
 われわれは1981年4月までの過去4年8ヵ月間にいわゆる肝門部胆管癌21例を経験し,うち15例に手術を行ない14例を切除,切除率93.3%と積極的に切除につとめている.その内訳をみると肝内胆管癌肝門部浸潤の2例に右三区域切除を行なつた他,左右肝管合流部に原発した1例には肝床部を含めて肝左葉切除を,上部胆管癌の4例,中部胆管癌肝門部浸潤の1例,左右肝管合流部の4例の計9例に肝外胆管切除兼肝門部胆管空腸吻合術を,また左右肝管合流部の癌2例には肝門部切除(hilar hepatic resection)兼肝門部肝内胆管空腸吻合術を施行しており,61歳,女性,右三区域切除の1例は術後2年3ヵ月の現在も再発の徴なく生存中であり,ほぼ満足すべき結果をえている.

私はこうしている

著者: 岩崎洋治 ,   岡村隆夫 ,   西村明

ページ範囲:P.1391 - P.1396

はじめに
 左右肝管合流部の胆管癌をわれわれは肝門部胆管癌と呼んで1),その手術術式に工夫を加え2),手術手技を考慮しながら4型に分けてみた3)
 この特集は上部胆管癌の外科であるが,日本胆道外科研究会編の胆道癌取扱い規約によれば,上部胆管はLongmireの記載に準じて,解剖学的な総肝管に相当する.すなわち左右肝管合流部を上縁として,胆のう胆管合流部を下縁と規定している.ところがこの上部胆管に原発したと思われる胆管癌の大部分は,左右肝管合流部に浸潤し,逆に左右肝管合流部や左右主要肝管に発生したと思われる胆管癌は,上部胆管まで浸潤しているものが多い.このこともあつて同規約でも肝門部胆管癌を左右肝管合流部付近を占居する癌腫(本来ならば胆管癌と記載すべきであろう)を総称するとして,その名称を温存している.別に規約について述べるつもりは毛頭ないが,厳密な意味で上部胆管癌に話題を限定すると症例は極めて少数となり,また実際には上部胆管癌と肝管癌すなわち肝門部胆管癌についての特集になるものと想像される.言葉というものは厄介なもので,一度決めると次から次とそのためだけの註釈が必要となり,言葉の解釈を職業とする人さえ必要となつて来る.

私はこうしている

著者: 都築俊治 ,   尾形佳郎 ,   飯田修平

ページ範囲:P.1399 - P.1404

はじめに
 外科の進歩によつて10年前には切除不能と考えられていた上部胆管癌も切除可能であることが判明し,急速に切除例が増加しつつある.1981年2月に行なわれた第17回消化器外科学会では肝門部胆管癌がシンポジウムとしてとりあげられ,また一方では胆道癌取扱い規約が作られて治療成績を共通の場で討議しようとする気運がみられている.
 われわれは過去8年間に27例の上部胆管癌を取扱い,そのうち16例(59%)を切除したが,その経験に基づいて切除の実際について述べてみたい.

私はこうしている

著者: 原田昇 ,   角田司 ,   篠崎卓雄 ,   内山和雄 ,   岡進 ,   山口孝 ,   吉野尞三 ,   伊藤俊哉 ,   土屋凉一

ページ範囲:P.1405 - P.1412

はじめに
 肝門部胆管癌を肝管合流部および左右肝管を占拠する胆管癌と規定すると,肝門部胆管癌は胆道系悪性腫瘍のうちでも,最も外科的治療が困難な部位に位置し,その治療成績は現在なお不良といわざるをえない.切除率も諸家の報告1-3,6-9)をみても30%前後である.しかし,近年の診断技術の進歩により,かなり早期に診断がなされた症例も増加し,長期生存例も増加しつつある.本症の治療成績の向上を阻む諸因子を教室例を用いて検討を加え,特に積極的外科治療法の意義について言及する.

切除不能例の治療

手術療法

著者: 高田忠敬 ,   礒辺孝司 ,   安田秀喜 ,   金山成保 ,   佐藤裕一 ,   内山勝弘 ,   羽生富士夫

ページ範囲:P.1413 - P.1420

はじめに
 上部胆管癌はその解剖学的位置関係から,従来は外科的アプローチが困難とされていた領域であつたが,診断法,術前術後の管理ならびに手術手技の進歩により徐々に切除率も向上しつつある.しかしながら,切除率も一般に14.3〜40%であり1-6),いまだ多くの症例が姑息的治療の対象である現状といえる.
 切除不能例の治療として,第1は黄疸軽減処置であり,第2は放射線療法などを主体とした対癌治療があげられる.本稿では自験例を中心に,切除不能上部胆管癌の治療について述べてみたい.

内科的療法

著者: 竹本忠良 ,   播磨一雄

ページ範囲:P.1421 - P.1425

はじに
 時実利彦先生の没後に,1冊の本としてまとめられた,「生命の尊厳を求めて」(みすず書房)の一文を引用することから,この原稿をものする作業を始めよう.
 それは,「神によつて与えられ,その処分権が神の手に委ねられた私たちのいのちを,『生命の尊厳』という人類の良識あるコンセンサスによつて,神の手から奪つて私たちお互いの手に収め,そして,そのコンセンサスを,私たちおのがじしの責任において,全人類のもろもろの行為のなかにまで浸透させることによつてのみ,宇宙船地球号に乗りあわせた私たち,そしてまた乗りあわすであろう次の世代の人類の将来の存在と繁栄が期待されるのではなかろうか」という文である.

グラフ Conference 総合画像診断のすすめ方・8

嚢胞性腎腫瘤

著者: 宗近宏次 ,   斉藤和彦 ,   富家文孝 ,   小林裕 ,   伊東紘一

ページ範囲:P.1355 - P.1363

 〔症例〕53歳男性,家族歴,既往歴に特記すべき事項はない.
 〔現病歴〕約10年来の糖尿病のコントロールを目的に1980年6月,自治医大内科に紹介され入院した.入院時検査にて右腹部腫瘤がはじめて指摘され,腎腫瘍が疑われ検査が進められ,同年8月に手術を目的に本学泌尿器科に転科した.

わが教室自慢の手術器具・21

Fevaloro sternal retractorを利用した胸骨縦切開による両側肺嚢胞手術

著者: 庄司佑 ,   中條能正

ページ範囲:P.1427 - P.1427

 胸骨縦切開による両側性肺嚢胞の同時手術は,術後の疼痛が軽く呼吸制限が少ないこと,術中に患者の体位を変える必要がなく,また術中に対側の緊張性気胸が発生しても,直ちに対処できることなどの利点があり,この方法を好む術者もある.
 しかし,この切開法を用いた場合,胸膜の癒着が強固な時の剥離はやや難かしく,また肺葉切除などで肺門処理が必要となつた時の視野は良好とは言えない.

外科医のための臨床MEの知識・5

電気メスの安全使用—その原理から事故対策まで

著者: 小野哲章 ,   尾本良三

ページ範囲:P.1431 - P.1435

はじめに
 今世紀初頭,外科医H.Cushingが電気工学者W.T.Bovieの協力のもとに,電気メス(正式名称は電気手術器:Electro-Surgical Unit)を発明し,初めて脳外科手術に使用して以来,半世紀以上を経た今日,現代外科手術はこれなくしては語れないほど普及している.
 これは,電気メスが次のような数々の利点を備えているからにほかならない.
 ①生体組織を出血を抑えつつ切開することができる.
 ②出血や生体組織を凝固することができる.
 ③切開・凝固をスイッチ1つで切り換えられる.
 ④生体組織の壊死層が比較的薄く,治癒性が高い.
 ⑤比較的熟練を要さずに取扱うことができ,かつ特別の設備も必要としない.
 ⑥装置の構造が単純で廉価である.

臨床研究

腹部大動脈血行再建術後にみられる吻合部仮性動脈瘤の検討

著者: 大城孟 ,   高橋顕 ,   向井清 ,   神前五郎

ページ範囲:P.1437 - P.1442

はじめに
 人工血管移植後にみられる重篤な合併症のひとつに吻合部仮性動脈瘤(anastomotic false aneurysm)1-10)がある.このうち腹部大動脈血行再建術後に発生する同動脈瘤は急速にかつ容易に拡張し破裂する点で,今日でもなお予後不良の合併症のひとつである.そこで同動脈瘤の原因解明および予防対策が一層重要視される.
 ここでは最近われわれが経験した腹部大動脈—腸骨・大腿動脈血行再建術後に発生した吻合部仮性動脈瘤の4例を紹介するとともに,改めてその予防策を再検討した.

上腸間膜動脈性十二指腸閉塞症の治療方針—主として術式の考察

著者: 福田一典 ,   登野城勲 ,   伊藤剛 ,   泉文治

ページ範囲:P.1443 - P.1446

はじめに
 上腸間膜動脈性十二指腸閉塞症は比較的稀な疾患であるが,近年種々なる診断法の進歩とともにその報告例も増加している.しかし,その病態生理の複雑さゆえに,手術時期,手術術式などについて多くの問題点を有している.最近われわれは本症の手術治験例を経験したので報告し,特にその治療方針,手術術式について若干の文献的考察を加える.

生体腎移植直後の急性尿細管壊死症例の臨床的検討

著者: 白水倶弘 ,   岡直剛 ,   杉町利喜雄 ,   江崎武春 ,   米村智弘 ,   鶴丸廣長

ページ範囲:P.1447 - P.1451

はじめに
 腎移植直後から1週間以内に十分な利尿が得られず,血液透析を必要とする症例における原因の鑑別と,患者の管理は困難であり,また移植腎の生着はもちろん,受腎者の生命をもおびやかすものである.
 これら症例における腎移植後急性腎不全の原因は,腎動脈血栓,尿路閉塞,超急性拒絶反応が除外されれば,そのほとんどが急性尿細管壊死(以下,ATNと略)である.もちろん促進急性拒絶反応の可能性は否定できない.

臨床報告

Hypercalcemic crisisを合併した上皮小体癌の外科治療経験

著者: 石塚玲器 ,   小野寺功 ,   小野功一 ,   石塚百合子 ,   森田穣 ,   篠原正裕

ページ範囲:P.1453 - P.1457

はじめに
 近年,血清カルシウム(Caと略す)スクリーニングの普及により原発性上皮小体機能亢進症(Primary Hyperparathyroidism,以下PHPと略)はすでに稀な疾患ではなくなつてきた.筆者らも8例のPHP(腺腫と過形成)を経験しているが,PHPの原因が癌である場合は一般に少ない.また高Ca血症の増悪は上皮小体クライシスを招き,時に緊急手術も必要となる.このようにPHPの中で上皮小体癌とクライシスを合併する例は幸い稀であるが今回筆者らは本症例の経験から,クライシス管理と外科治療により良好な結果を得たので報告する.

28年前の胸廓成形術に起因した胸腔内異物性肉芽腫の1例

著者: 武田泰隆 ,   萩原哲郎 ,   江里口正純 ,   長田功 ,   宮本洋寿 ,   佐丸義夫 ,   関口守正 ,   藤井源七郎 ,   須田耕一 ,   若林とも ,   西谷肇

ページ範囲:P.1459 - P.1463

はじめに
 胸腔内腫瘤は,一枚の胸部平面写真のみで比較的発見し易い.しかし,肺癌をはじめとしてそれほど稀なものではないが,特徴的な所見に乏しい場合,その原発巣が肺・胸膜・胸壁などのどこか不明で,診断・治療に苦慮する例がしばしばある.
 胸廓成形術後28年間を経て,徐々に増大してきた胸腔内腫瘤で,術前診断が非常に困難だつた症例を経験したので報告する.

6歳児,末梢気管支Adenoid cystic carcinomaの1例

著者: 半沢隆 ,   串田則章 ,   鹿志村香 ,   山崎東 ,   児玉喜直 ,   阿部伸夫 ,   伊坪喜八郎

ページ範囲:P.1465 - P.1468

はじめに
 気管支腺腫(bronchial adenoma)は,1882年,Müller1)により剖検例が報告され,1930年,Kramer2)により提唱された名称である.その後,1937年,Ha—mperl3)によりcarcinoidとcylindromaに分類され,1951年,Huizingaら4)により,mucoepidermoid tu—morが追加された.しかし最近では,carcinoidは原腸系組織臓器に散在性に存在する内分泌系細胞に母細胞を求めうるホルモン産生腫瘍5)であり,気管支carci—noidは気道に分布しているargentaffine cellに由来するという概念が一般的である.また,分泌上皮細胞に由来するとされているcylindromaの名は,組織学的に腫瘍細胞の配列を表わす名に改められ,悪性腫瘍としての性格が強いことから,Reid6)が提唱したadenoid cy—stic carcinomaの名称が一般化された.さらにmu—coepidermoid tumorも悪性腫瘍としてmucoepider—moid carcinomaと呼ぶようになり,1977年WHOの分類および1978年の本邦の肺癌分類でも,それぞれ個別の分類を受けている.著者らは6歳児にみられた末梢気管支adenoid cystic carcinomaの一例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

男子嚢胞内乳癌の1例ならびに本邦20例の臨床統計学的考察

著者: 野口昌邦 ,   松葉明 ,   木下元 ,   高橋信樹 ,   広沢久史 ,   小島靖彦 ,   三輪晃一 ,   木南義男 ,   宮崎逸夫 ,   松原藤継 ,   末浩司

ページ範囲:P.1469 - P.1473

はじめに
 男子乳癌の発生頻度は一般に全乳癌の1%前後であるといわれ,比較的まれな疾患であるが,近年,本邦でもその報告例は増加し1975年までに242例になると述べられている1).一方,嚢胞内乳癌は単発性の嚢胞壁内に発生するまれな乳癌で,本邦では女性を含めてその報告例は極めて少ない.
 最近,私どもは男子嚢胞内乳癌の1症例を経験した.男子の嚢胞内乳癌は他に報告をみないので女性の嚢胞内乳癌報告例とともに集計し臨床統計学的に考察を加え報告する.

巨大な十二指腸憩室穿孔の1治験例

著者: 富田濤児 ,   丸谷巖 ,   藤田博正 ,   大山廉平 ,   中村修三 ,   高野眞澄 ,   福田健文 ,   西田一巳

ページ範囲:P.1475 - P.1478

はじめに
 十二指腸憩室は消化管の憩室のうち最も多く発見されるが,合併症を伴わない限り,それ自体が治療の対象となることはほとんどない.合併症のうち最も重大な穿孔例の報告は非常に少ない.われわれはこのような症例を経験し,手術により治癒しえたので報告する.

回盲部アメーバ性肉芽腫(アメボーマ)の1例

著者: 平野達雄 ,   下山孝俊 ,   高木敏彦 ,   原田達郎 ,   中山博司 ,   福田豊 ,   橋本茂廣 ,   藤井良介 ,   野川辰彦 ,   石川喜久 ,   小武康徳 ,   石井俊世 ,   内田雄三 ,   三浦敏夫 ,   辻泰邦 ,   関根一郎

ページ範囲:P.1481 - P.1485

はじめに
 アメーバ症は赤痢アメーバEntamoeba histolyticaの経口感染によりおこり,近年わが国において本症をみることは比較的まれとなつた.しかもその報告のうち多くはアメーバ性肝膿瘍などの腸外アメーバ症であり,腸アメーバ症は少ない.最近われわれは,回盲部に巨大な潰瘍を伴う肉芽性腫瘤を形成し,切除標本の病理組織学的検査によりはじめてアメーバ症と診断された症例を経験した.本症例の炎症性腫瘤はわが国ではきわめてまれなアメボーマamebomaと呼ぶべきものと思われるため,ここに報告していささか考察を加えたい.

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雑誌「SURGERY」最新号目次

ページ範囲:P.1428 - P.1428

SURGERY—Contents, August 1981 Vol.89, No.8 ©By The C. V. Mosby Company
 今回,米国Mosby社の御好意により,世界的な外科雑誌"Surgery"の最新目次を,日本の読者にいち早く,提供出来るようになりました。下記の目次は,発売前にファックスで送られてきたものです。この雑誌"Surgery"御購読は,医学書院洋書部(03-814-5931)へお申込み下さい。本年の年間購読料は,施設\22,100,個人\15.600です。雑誌は,ST. LouisのMosby社より,直送いたします。

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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