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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科37巻1号

1982年01月発行

雑誌目次

特集 術中エコー

肝切除への応用(1)

著者: 山下宏治 ,   松沢一彦 ,   田中一成 ,   小島正久 ,   竹原靖明

ページ範囲:P.29 - P.35

はじめに
 1976年1月,リアルタイム表示装置の代表とされるリニア電子スキャンが開発実用化されて以来,私達の病院においては,一般外来,人間ドックにおける肝・胆・膵疾患の診断に恒常的に利用してきた.その結果,切除可能な肝癌が多数発見され,そのなかには,従来の診断では描出不可能と思われる早期肝癌が含まれており,肝癌の早期発見の担い手として高く評価している.このように,切除可能な肝癌が多数発見されると,当然の事として当外科においてその治療が要求される.その結果,われわれ一般外科医に対しても,肝切除の要求が高まり,その技術の習得に努力してきた.
 1979年,従来のリニア電子スキャンの探触子を改良した術中探触子が入手でき,肝手術を開始した.諸家1,2)の報告に見るごとく,この探触子を用いる事により腫瘍の局在および腫瘍と周囲脈管との関係を容易に捉えることができ,肝切除における多くの困難が克服されることを知つた.ここに僅かではあるが,私達の経験を述べ,御批判を仰ぎたい.

肝切除への応用(2)

著者: 竜崇正 ,   渡辺義二 ,   佐藤博

ページ範囲:P.37 - P.44

はじめに
 最近のリアルタイム超音波診断装置の発達により,簡単に鮮明な画像が得られるようになり,超音波検査は消化器疾患において必要不可欠な術前検査法として定着してきている.最近ではこのリアルタイム診断装置の利点を生かして術中に超音波検査を施行して,術前検査疑診に対する術中精検や手術施行のガイドとする試みがなされるようになつてきている1-3).特に肝切除施行時には,腫瘍の位置および門脈,肝静脈などの主要血管との関係が立体的に把握でき,切除範囲の決定などに非常に有用である4,5).現在では肝切除の際に必ず施行すべき重要な術中検査法であると考えており,われわれの施行している術中エコーの概要と意義について報告する.

肝切除への応用(3)

著者: 幕内雅敏 ,   長谷川博 ,   山崎晋 ,   万代恭嗣 ,   伊藤徹 ,   渡辺五朗 ,   阿部秀一 ,   室井龍夫 ,   島村善行

ページ範囲:P.45 - P.53

はじめに
 肝切除に際して術中に超音波検査を応用することによつて,深在性の腫瘍や腫瘍栓,肝静脈や門脈枝が認識でき,実質臓器である肝臓の透視をしながら手術を進めることが可能になつた.この事実は,肝切除の歴史に大きな変革をもたらした.すなわち系統的亜区域切除術という繊細で緻密な手術法が生み出されたのである.
 本論文では,術中超音波検査の歴史,系統的亜区域切除術が必要とされる理由,系統的亜区域切除術の実際について述べるとともに,1982年の年頭に当つて,今後の肝切除術と術中超音波検査の展望にも論及する.

肝内結石,肝嚢胞手術時の応用

著者: 秋本伸 ,   由里樹生 ,   羽生富士夫

ページ範囲:P.55 - P.61

はじめに
 消化器外科領域における術中超音波検査は1976年頃に開始されたものであるが,ポータブル電子スキャン装置が使用可能になつた1970年代の終りに至つて,本格的に実用化された.とくに肝疾患における有用性は高く,非定型的肝手術においては,最早や必須の補助手段と言つてよい段階に至つている.われわれは,原発性あるいは転移性肝癌の診断と外科治療に際して本法を最もよく用いているが,その他,肝内結石や肝嚢胞など良性肝疾患に対しても,より精細な診断と治療方針の決定を目的に同様に術中超音波検査を行つており,その有用性等,実際について記してみたい.

膵手術に対する応用

著者: 宮下正 ,   鈴木敞 ,   内田耕太郎 ,   戸部隆吉

ページ範囲:P.63 - P.71

はじめに
 さまざまな画像診断法が百花妍を競うごとき今日にあつて,とりわけ超音波検査の隆盛には目を瞠るものがある.高度なME技術の産物でありながら,他の大型診断装置にはない親しみやすさがあり,あたかも触診と並ぶ,第三の手であるかのように感じられる点が大きな魅力といえる.
 さて膵癌をはじめとする種々の外科的膵疾患に対するわれわれの超音波検査の方針は,まず術前に体表からの走査を行い,次いで術中にさらに詳細に検討し,最後に膵切除標本の水浸超音波検査をもつて完結するという3つのstepから成り立つている.この三者はいずれをとつても必要不可欠のものであり,殊に最後の膵切除標本水浸超音波像を実際の肉眼所見と対照することによつて得られた情報の蓄積が術中超音波診断を行う上で大きく役立つている.

Editorial

術中エコー—臨床的意義と今後の課題

著者: 竹原靖明

ページ範囲:P.26 - P.27

〈プロローグ〉
 超音波検査の術中利用の歴史を尋ねてみると1950年後半に溯ることができる.当時は超音波の診断的応用が,主として頭部を中心に行われていたので,術中利用も脳手術に用いられた.もちろん,現用の便利なリアルタイム装置はなく,最も基本的なAモード装置が利用されていた.この装置による表示像は一次元像であるため再現性が乏しく,超音波の有する利点が十分発揮されたとはいえない.しかし,当時としては画期的なことで頭蓋内出血の手術には極めて有効であつたと伝えられている.この時期にはすでにBモード装置が一般臨床の場に登場し,多くの注目を集めていたのであるが,何故か1970年前半になつてこの方式が脳手術に利用されている.しかし,これらの装置は走査部(スキャナ)が大きく,操作が不便で,そのうえ表示は残光性ブラウン管による静止画像であつたため実用性に乏しく,しばし放置されていた.
 1976年,リアルタイム装置の代表とされる現用のリニア電子スキャンが開発・実用化され,肝・胆道・膵などの診断に極めて有効であることが判明して,かつて脳手術に導入されたごとく,まず,肝手術に利用された.そしてその有効性が確認されるが,この手術に適応する探触子も開発されて,超音波の新しい利用法の1つとしてクローズアップされたのである.この術中エコーは今や肝手術のみならず,再び脳手術にも利用され始め,さらに,膵・胆道・泌尿器科領域における診断と治療のモニターとして広く活用されつつある.

グラフ Conference 総合画像診断のすすめ方・12

肺癌

著者: 兵頭春夫 ,   岩崎尚彌 ,   宮本正道 ,   手島泰明 ,   堀江昌平 ,   嶋田晃一郎 ,   松村公人 ,   長井千輔 ,   馬場謙介

ページ範囲:P.13 - P.23

〔症 例〕女性,57歳
 〔現病歴〕来院5日前感冒に罹患したためか38.5℃の発熱があり,少し呼吸が苦しかつた.近医を受診し,5日間加療後肺炎といわれ,精検のため来院す.(ただし紹介状には右肺野の腫瘤様陰影として精査の依頼あり).

Topics

頭蓋内手術における術中超音波ガイダンス

著者: 堤裕

ページ範囲:P.73 - P.79

はじめに
 頭蓋内手術における超音波の検査的応用は決して目新らしいものではない.Aモードの時代からBモードの現在に至るまでその試みは種々なapproachによつてなされた1-3)がそれがあまり汎用されるに至らなかつた理由は,Aモードにおいてはその情報の不確実さであり,従来のBモードではその操作が硬膜上でしか行えないための種々の制約を余儀なくされたためであろうと筆者は考えている.
 しかし同じBモードでも最近のいわゆるリアルタイム表示可能の電子走査または機械走査の装置では,ずばりリアルタイムの断層描写が可能でかつ直接皮質上からの検索が行いうることから,多くの可能性をもつ新しい応用法として評価され始めた.そしてそのための新しい装置も開発の途についている.

超音波監視下前立腺凍結手術

著者: 澤村良勝 ,   安藤弘

ページ範囲:P.81 - P.87

はじめに
 今日,人口の高齢化社会を迎え,前立腺疾患患者が著しく増加しているが,それに伴いhigh riskの症例にしばしば遭遇するようになつてきた.そのため,当教室でも閉塞性前立腺疾患に対する凍結手術の施行頻度が徐々に増加しつつある.
 前立腺の凍結手術を施行するにあたり,尿道より挿入する凍結プローグを正確に前立腺病巣部に位置づけすることが手術の安全性を確保する上で不可欠の条件であるが,従来の凍結プローブの位置決定法は凍結プローブに設置してある小さなリファレンス・ノブを指標とした直腸診による,半ば盲目的操作により行われてきた(図1).凍結プローブが適切な前立腺腺腫部に位置していない場合には,凍結効果が不十分となるばかりでなく重篤な合併症をひき起す原因となる.これらの合併症を防止する目的で先人は多くの工夫と試行をくり返しつつ今日に到つているが,合併症はなおかなりの率に発生しているものと思われ,凍結療法の進展は停滞しがちのようである.その最大の理由は,操作がほとんど盲目的に施行されている点にあり,前立腺腺腫以外の組織を凍結させる危険性が常に存在する.また,凍結効果に関しても,凍結経過を観察することができないため,大部分経験的感触に依存してきた点にも関わりがある.

histoire de la chirurgie・2 外科史外伝—ルネッサンスから"外科の夜明け"まで・1【新連載】

ラテン語医学からの曲り角

著者: 大村敏郎

ページ範囲:P.91 - P.94

□はじめに
 一昨年の1月から6月にかけて「アンブロアズ・パレの世界」という名のもとに5回連載で,近代外科の祖といわれるルネッサンス期の1人の外科医の生涯を中心に,後世に与えた影響,特にその外科がわが国に伝わつてくる過程などにふれて,本誌にかかせていただいた.
 幸,関心をもつて読んで下さる方が多く,改めて第二のシリーズの筆をとる機会を得た.今回は1人に焦点をおくのではなく,時代を超えた流れとして外科をみていきたいと考えている.今日われわれの手にする外科総論各論の書物の中に解剖名や疾患名,手術名などとしてチラッと名が出るだけで,いつの時代の人か,何国人なのかさえ知られずにいる外科医が多数いるが,そのうちの何人かにふれることになるであろう.出来ればその時代背景にふれてみたいものである.外科そのものというよりも外科の育つてきた背景と,他の領域ではよく知られる研究や史実と照らしあわせて浮彫にしたいというつもりで,このシリーズを外科史外伝と命名した次第である.

グラフ・1【新連載】

膵癌の診断—早期発見のために

著者: 高木國夫 ,   竹腰隆男 ,   大橋計彦 ,   丸山雅一

ページ範囲:P.98 - P.102

 膵癌による死亡率は年々増加し,1980年には7,835人に及び,がん部位別死亡の第4位になつて,消化器癌の中で,克服しなければならないものになつている.最近,各種の検査法が開発され,膵癌の診断は従来に比して容易になつて来たが,膵癌の早期診断は,困難で,膵内に限局した癌の報告は少ない.われわれは,1978年に膵頭部の小膵癌をアミラーゼ上昇のきつかけで発見して以来,膵癌の早期発見に努力し,1979年来の3年半に5例の早期膵癌を発見した.
 しかし,膵癌診断の各種検査法(ERCP,US,CT,血管造影)の膵癌診断にしめる役割,すなわち,スクリーニング,病変の発見ならびに診断,切除可能性の検討が重要である.今後,シリーズで膵癌例について供覧し,各種検査の意義を各々の症例について述べてみると共に,膵癌の早期診断についても言及したい.

外科医のための臨床輸液問答・1【新連載】

外科医にとつて輸液とは

著者: 長谷川博 ,   和田孝雄

ページ範囲:P.104 - P.109

 輸液を理解し,正しく実践してゆくためには水・電解質の正しい知識と正確な輸液技術が要求される.そのためどうしても輸液はむずかしいというイメージをぬぐえない.
 今回,この領域に好著を著わされ,深い造詣をお持ちの両氏に対談をお願いした.時に鋭い臨床輸液学の現状批判になり,時に陥り易いpit fallを浮き彫りにし,輸液学入門への好個の糸口となつている.

Q & A外科医のための統計学・1【新連載】

数字の配列法と分布

著者: 草間悟 ,   杉田暉道

ページ範囲:P.111 - P.117

連載をはじめるにあたつて
 草間 今度,連載で「外科医のための統計学」として外科医に必要な統計学の知識をわかりやすく,かつ,実際的に解説するためにquestion and answer方式でやつていきたいと思います.すなわち実際の例を提示して,その中で統計学上の問題を扱つていくということです.
 実をいいますと,私も,統計に浅い知識しかないんですけれども,統計学の必要なことを認め,年とつてから統計学を勉強し始めました.ちようど15年前になりますが,アメリカの癌の病院に1年ばかり留学しておりました.小さな病院なんですけれども,そこに生物統計科という,私たちがいままで聞いたことのない科で統計学的なことをやつていることにびつくりしたわけですね.実はこの病院からの論文は統計学的にしつかりしたものであることは前からわかつていたわけですが….そこのbiostatisticianの親分はDr. F. R. Watsonという人なんですが,たまたまこの人と非常に親しくなつて,統計学的な手法も教えてもらつたという因縁があつて,統計学をどうしても勉強しなくちやいかんと決心したわけです.

臨床研究

先天性総胆管拡張症における胆石合併についての考察

著者: 後藤明彦 ,   鬼束惇義 ,   山内一 ,   乾博史 ,   稲田潔

ページ範囲:P.119 - P.124

はじめに
 先天性総胆管拡張症(以下,本症)は腹痛,黄疸,腹部腫瘤を三主徴としているが,成人例では小児に比して,胆石合併率は高いことが報告され(7〜53%),その結石は大部分ビリルビン系石とされている1-5).胆石の成因には長年月にわたる拡張した胆管内の胆汁うつ滞と細菌感染によるとされているが,本症の初回手術例では細菌感染は意外に少ない6,7).また,合併する胆石のなかには黒色石(純色素石)も認められ,この生成には細菌感染はあまり関与しないとされている8)
 そこで,成人の本症について,自験例10例を含め,本邦報告例のうち,胆石合併について記載の明らかな137例につき,総胆管拡張の形態,膵管胆管合流異常,結石の所在部位,種類について検討した.

内視鏡的直視下電気凝固法は胃潰瘍からの大量出血例に有効か?

著者: 赤坂裕三 ,   中島正継 ,   川井啓市 ,   谷村仲一

ページ範囲:P.125 - P.128

はじめに
 これまでにわれわれは上部消化管出血に対する診断治療体系を提唱し,この中で内視鏡検査の重要性を強調して来た1).これらの緊急・早期内視鏡検査の意義は,(1)出血源となりうる病巣の発見,(2)出血持続の有無の確認,(3)内視鏡的救急止血術の施行,(4)緊急待期手術の適応決定,に要約される2).なかでも多くの内視鏡的救急止血術のうち,われわれは内視鏡的直視下電気凝固法(Endoscopic Electrocoagulation,EEC)を積極的に試みて来た3).本稿では救急止血において最も問題となる胃潰瘍からの大量出血例に対するEECの有用性について述べる.

血液疾患に対する脾摘術の経験

著者: 牛島聡 ,   川浦幸光 ,   疋島寛 ,   金子芳夫 ,   宮下徹 ,   岩喬

ページ範囲:P.129 - P.131

はじめに
 1887年,Spencer Wellsが初めて血液疾患に対して摘脾術を行つて以来,血液疾患に対する摘脾術は広く行われている.血液疾患に対して摘脾術は非常に効果のある反面,摘脾に伴う特有な合併症も当然考えられる.
 われわれは当教室で経験した摘脾症例に対し摘脾術の効果及び合併症について検討した.

X線診断による後腹膜腫瘍の切除可能性の検討

著者: 飯島俊秀 ,   児島高寛 ,   高橋逸夫 ,   桜井慶一 ,   岡田孝 ,   中村卓次 ,   平敷淳子

ページ範囲:P.133 - P.138

はじめに
 原発性後腹膜腫瘍は比較的稀な腫瘍であり発見時にはほとんど腫瘤を触れることが多い.腫瘍の80〜90%は悪性で切除率も予後も悪い1-3).従つて術前に各種の診断法により腫瘍の部位,大きさ,質的診断に関する多くの情報を得ておくことは切除率を向上させる上で重要である.そこでわれわれは過去10年間の原発性後腹膜腫瘍における種々なX線学的検査の所見を検討し,若干の知見を得たので報告する.

臨床報告

後腹膜腔血腫を伴う副々腎被膜静脈破綻の1例

著者: 田中廸夫 ,   笹平秀一 ,   山中茂樹

ページ範囲:P.139 - P.142

はじめに
 副々腎は1,2)胎児や新生児では正常副腎周囲3)や骨盤腔内4),精索内5),広間膜内6)に存在することが知られており,副腎のHeterotopia7-11)やRest12)とともに腫瘍発生母地となつたり,内分泌異常の原因となつたり13),また副腎無形成例では主臓器の機能の一部を代償することなど臨床的にも重要な組織の一つといえる.一方,後腹膜腔出血は各種の原因で発生するが14,15),今回,後腹膜血腫を生じた成人の副々腎被膜静脈破裂の1例を検索したので報告する.

多彩な病像を呈した消化管平滑筋肉腫の1例

著者: 江上哲弘 ,   水谷純一 ,   多田隈和雄 ,   河野通文 ,   岡部道大 ,   内田守一

ページ範囲:P.143 - P.146

はじめに
 小腸平滑筋肉腫は,消化管悪性腫瘍のなかでも比較的まれなものであり,術前の確定診断は困難であることが多い.
 最近著者らは,呼吸困難にて来院,その診断と治療に苦慮し,剖検の結果,興味ある病像を呈した本症の1例を経験したので,多少の考察を加えて報告する.

多彩な肉眼所見を呈した急性回腸末端炎の1例

著者: 山口晃弘 ,   蜂須賀喜多男 ,   磯谷正敏 ,   近藤哲 ,   堀明洋 ,   安井章裕 ,   廣瀬省吾 ,   山田育男 ,   深田伸二 ,   宮地正彦 ,   嶋芳成

ページ範囲:P.147 - P.151

はじめに
 回腸終末部に見られる急性炎症は,従来クローン病の急性型として報告されていたが,近年ではその概念に疑問が持たれ急性回腸末端炎と呼び,起因菌としてはYersinea Enterocoliticaが注目されている.
 急性回腸末端炎はほとんどの症例が保存的治療で治癒するため,その切除例は少なく,したがつて粘膜病変の肉眼的形態はあまり記載されていない.著者らは急性虫垂炎の診断のもとに開腹術を行い,回腸終末部に腫瘤様病変と所属リンパ節の腫大を認めたため回盲部切除術を行つたところ,肉眼的には隆起や陥凹を伴う多彩な所見を認め,組織学的にはYersinea Enterocolitica感染による急性回腸末端炎に酷似した症例を経験したので報告する.

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雑誌「SURGERY」最新号目次

ページ範囲:P.89 - P.89

SURGERY—Contents, December 1981 Vol.90, No.6 ©By The C. V. Mosby Company
 今回,米国Mosby社の御好意により,世界的な外科雑誌"Surgery"の最新目次を,日本の読者にいち早く,提供出来るようになりました。下記の目次は,発売前にファックスで送られてきたものです。この雑誌"Surgery"御購読は、医学書院洋書部(03-814-5931)へお申込み下さい。

文献抄録

著者: 西尾剛毅 ,   棚瀬信太郎

ページ範囲:P.90 - P.90

腹部膿瘍の治療(手術的ドレナージとCT・超音波ガイド経皮的ドレナージの比較)
 Treatment of Abdominal Abscesses;Comparative Evaluation of Operative Drainage versus Percutaneotts Catheter Drainage Gaided by Computed Tomography or Ultrasound / Johnson, W. C., et al.:Ann. Surg., 194:510〜520, 1981.
 目的 1976年以降,著者らは経皮的ドレナージを腹部膿瘍の主たる治療法として施行した.経皮的ドレナージと手術的ドレナージとの有効性の差,合併症の率の違いなどを比較した.(Retrospectiveに)
 患者の選択と適応 腹腔内・外の感染性液体(グラム染色と培養にて細菌を同定)の貯留が,横隔膜より下で会陰より上に局在するものを腹部膿瘍とする.経皮的ドレナージの適応は,①CTまたはUSで確診された単胞性液体の貯留.②安全な経皮的ルートの存在(腸管その他の臓器損傷のおそれのない事).③外科,放射線科の協同で判断する.④合併症やドレナージが不成功なら直ちに手術を行える環境にあること.⑤全麻下の手術リスクが非常に高い患者(最近の心筋梗塞など).

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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