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文献詳細

雑誌文献

臨床外科37巻10号

1982年10月発行

文献概要

カラーグラフ・9

切除不能な膵体部癌—開創照射と胃切除(B-Ⅱ法)

著者: 高木國夫1 竹腰隆男2 大橋計彦2 丸山雅一2 金田浩一3

所属機関: 1癌研究会附属病院外科 2癌研究会附属病院内科 3癌研究会附属病院放射線科

ページ範囲:P.1459 - P.1464

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 膵癌の治療成績向上には,切除可能な膵癌の発見—早期発見,早期治療が最も有効なものであつて,本シリーズで,切除可能であつた早期膵癌,進行膵癌をのべて来たが,現実には診断がついた時点で,すでに切除不能な進行癌にしばしば遭遇し,その対策には,頭をなやますものである.われわれも,1969年にERCPを臨床的に用いて以後,10年間に遭遇した膵癌はほとんどの症例が診断のつく時点で切除不能で,開腹しても試験開腹に終つたことが多い.進行して切除不能な膵癌では,臨床的にもつとも多くみとめられる上腹部痛,頑固な背部痛や食欲不振になやまされることが最も多い.体重減少が10kgから15kgと一般の病気では考えられない程である.
 切除不能な膵癌に対して,当院放射線科で放射線による外照射により,疼痛の軽減を来したりして,稀であるが,照射後7年生存した症例の経験もある.開腹して直接病巣に放射線をかける開創照射は,膵癌巣にある程度組織学的にも癌巣の壊死を来し,疼痛の消失をみとめている.しかし,進行した膵癌では,膵頭部癌による十二指腸浸潤や膵体部癌による十二指腸から空腸起始部にわたる浸潤がしばしばみとめられ,通過障害を来している症例が多い.開腹時,単に病巣に直接照射するのみでなく,同時に胃切除を行つて,Billroth Ⅱ法で吻合を行えば十二指腸から空腸起始部の通過障害を避けることが出来る.両者の意味で放射線科と外科との協調による切除不能な膵癌のPalliationとして,開創照射と胃切除を行つている.この術式は,麻酔科,放射線科,外科の協調のもとに,放射線治療室で胃切除と開創照射を同時に行つている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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