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文献詳細

雑誌文献

臨床外科37巻11号

1982年11月発行

文献概要

カラーグラフ・10

膵癌と黄疸

著者: 高木國夫1 竹腰隆男2 大橋計彦2 丸山雅一2 金田浩一3

所属機関: 1癌研究会附属病院外科 2癌研究会附属病院内科 3癌研究会附属病院放射線科

ページ範囲:P.1621 - P.1626

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 切除可能な膵癌の発見に,スクリーニングとして,アミラーゼ高値,胃X線所見における胃外性圧排像をチェックし,これら異常所見を示すものに,積極的にERCPを行うことの有効性について症例を供覧した.しかしながら,日常診療において,黄疸が発生して,発見される膵頭部癌が数多くみとめられている.黄疸の発生を示す膵頭部癌がどのような癌であるか,切除可能であるかの点についてみると,我々の過去6年間の膵頭部癌62例中に黄疸を呈して見出されたものが30例と多い.さらに,これら症例は,切除可能な症例から,切除不能な症例まで含まれている.種々の検査で切除可能と判断されて,開腹した症例には,27例中19例と切除率がかなり良好であつた.しかしながら,切除された膵頭部癌は多くが膵頭部の後面に位置し,膵被膜に浸潤したものがみとめられ,たとえ,膵頭部前面に位置しても,黄疸をひきおこす症例では,病巣がかなりの大きさを示して,膵被膜に浸潤している.黄疸を発生した膵頭部癌で膵被膜内に止まるものは,総胆管近くに発生し,むしろ乳頭部近傍のものである.
 我々の黄疸を呈した膵頭部癌で切除したものをみると,膵被膜に及んでいないものがわずか2例にすぎず,そのうち1例は,粘液産生癌で産生された粘液が主膵管壁を破つて膵頭部後面で総胆管を圧排した特殊型の膵癌で他の1例は直径3cmの比較的小さい癌であつた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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