臨床外科37巻11号

1982年11月発行

histoire de la chirurgie 外科史外伝—ルネッサンスから"外科の夜明け"まで・10

知られざる外科の著名人たち

著者： 大村敏郎¹

所属機関： ¹川崎市立井田病院手術室

ページ範囲：P.1685 - P.1688

文献概要

□再び歴史の流れにのつて
　このところ3回ほどは時代を追つて外科史を展開する方式でなく，病院の歴史や臓器別の手術手技といつたことを中心に述べてきた．場所もパリにこだわらず各国に及び，時代についてもかなり自由に前後させ，このシリーズのテーマである「外科の夜明けまで」という時代の限界をはるかに通りすぎて20世紀近くまで筆がすべつた部分もある．
　しかし，こうすることによつて多数の身近な外科医の名に接することが出来，現代の外科との結びつきも明らかに出来たように思われる．このように後の時代と比較することによつて，19世紀中期の「外科の夜明け前」の時代を浮彫りに出来るのではないかと考えたのであつた．