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手術手技
乳頭温存1期的乳房再建乳癌根治術
著者: 櫻井武雄1 滝本幹之1 児玉憲1 岡田一男1 横井秀樹1 土橋重隆1 前部屋進自1 岡田浪速1
所属機関: 1和歌山県立医科大学胸部外科
ページ範囲:P.1841 - P.1845
文献購入ページに移動定型的乳癌根治術がHalsted(1894)1),Meyer(1897)2)等によつて確立されて以来,欧米を含めて大多数の施設では,乳癌根治術に際して病期に関係なく乳頭をも併せて切除しているのが現状である.しかし,集団検診や自己触診法の普及,診断技術の進歩等により,最近では早期乳癌症例が増加の傾向にある.この様な早期乳癌症例に対して,従来の定型的乳房切断術を行うことは手術後の醜形,上肢の浮腫および機能障害等をもたらし,女性の心理的ないし精神的影響をほとんど無視した残酷な手術といわざるをえない.それ故,ここに古典的な定型的手術に対する反省が台頭したものと思われる.
Patey(1948)3),Auchincloss(1963)4),Madden(1965)5),Robinson(1976)6)等による胸筋温存術式の安全性の確認,伊藤(1972)7),児玉(1982)4)等による皮膚切除範囲縮小の可能性の検討,私共の教室による乳頭温存の安全限界の組織学的検討等9)を理論的根拠として,教室では,約1年前から早期乳癌症例に対して1期的乳房再建根治術を実施しているのでその手術適応条件,術式等について報告する.
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