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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科37巻2号

1982年02月発行

雑誌目次

特集 食道静脈瘤手術

予防的手術は必要か

著者: 井口潔

ページ範囲:P.171 - P.174

はじめに
 「食道静脈瘤に対する予防的手術は必要か」という命題は,現在,欧米においては一般には未だ,馴じまないものであるが,わが国では,議論の対象になり得るものと思われる.欧米においては,食道静脈瘤に対する手術法として一般に門脈圧下降手術が用いられていることもあつて,その治療成績は必ずしも満足すべきものでなく,とくに肝脳症候群の発生率等と関連して,予防的手術が直ちに考慮される状態ではない.この点,わが国では直達手術や,選択的シャント手術により,門脈圧を下降させない手術が用いられ,手術死亡率も低率で,後遺症も少ないので,吐血の既往のない食道静脈瘤に対して,予防的に出血防止手術を行うことの是非論が成り立つのであり,とくに内科医との協力の下で行わなければならない外科治療の立場において,この問題は,積極的に取り組まなければならない課題の一つであろう.

緊急手術の時期と適応—肝硬変症例における経胸的食道離断術を中心に

著者: 吉田奎介 ,   武藤輝一 ,   塚田一博

ページ範囲:P.175 - P.182

はじめに
 肝硬変による食道静脈瘤出血,とくにその急性期の処置はしばしば困難であり,その治療方針については種々議論の多いところである.アルコール性肝硬変症例を主な対象とした欧米での緊急シャント手術の直接死亡率は22〜80%1-6),大きなseriesでは40%以上の高率を示すものが多く,一方,食道静脈瘤結紮術7-10)や食道離断術11,12)などの直達手術も,シャント手術と変らない手術死亡率と高い術後再吐血率の問題を含んでいる.本邦では緊急手術を数多く経験した施設が少ないが,杉浦ら13)(東大第二外科)の62例(非肝硬変を含む)の東大二外科法では12.9%の死亡率であり,肝硬変のみについての小山14),そしてわれわれの経胸的食道離断術の成績は死亡率おのおの26.3%,15%で,それぞれの施設の待期あるいは予防手術のそれに比して著しく高率である.このような事実から,吐血急性期の緊急手術はできるだけ避け,保存的処置による止血の後待期手術を行うのが原則である.ただし,諸報告に見る手術死亡率は,その施設の医療機関としての性格や"緊急"の基準などによつて左右される面が大きく,これにこだわつて症例の選択を厳しくすることは正しくないであろう.むしろ,吐血を来たした肝硬変症例の悲惨な予後をまともに直視した上で治療方針を考えて行くべきである.近年,非手術的止血法として内視鏡的硬化15-18)(塞栓)療法や,経皮経肝的塞栓療法19,20)が注目され,これらが確立された場合には食道静脈瘤出血の治療体系は大きく変貌すると思われる.われわれもその方向に沿つて検討を進めているが,長い目での評価は今後に残されており,現時点ではriskを侵して緊急手術に踏み切らざるを得ない場合も少なくない.われわれは従来の保存的止血法の限界を念頭において,止血可能な症例に無闇に手術をしないことと,止血不能な場合には時期を失しないことを原則として,今日まで30例余りの緊急手術を行つて来た.その経験に基づいて保存的止血法の問題点,手術の適応などについて述べる.

直達手術の術式と適応

食道離断術(経胸経腹法)

著者: 杉浦光雄 ,   八木義弘 ,   谷尚志 ,   二川俊二 ,   深澤正樹

ページ範囲:P.183 - P.188

はじめに
 著者らの食道静脈瘤に対する治療手技は経胸的食道離断術(杉浦法)1-3),Hassab手術4,5),経腹的食道離断術,食道内視鏡下硬化剤注入法6-9),経脾経肝門脈副血行路栓塞法10-12)であり,これらの適宜の組み合わせを行つているのが現状である.食道内視鏡下硬化剤注入は直達手術(食道離断術)後の静脈瘤再発例と手術適応外の肝障害例に行つている.
 著者らが行う経胸的食道離断術は胸腔内操作として中下部食道血行遮断,食道離断と,腹腔内操作として脾摘除,腹部食道,胃噴門部血行遮断,選択的迷走神経切離,幽門成形の組み合わせであり,胸腔内操作と腹腔内操作を同時に行うのを1期手術,時期を変えて胸腔内操作,腹腔内操作を別々に行うのを2期分割手術と称している.

食道離断術(経腹法)

著者: 遠藤光夫 ,   高崎健

ページ範囲:P.189 - P.193

はじめに
 食道静脈瘤に対する直達手術の目標とするところは食道と門脈系の血行路との連絡を遮断することにある.そこで手術を行うに際してはこれらの連絡路を形態的に把握しておかなければならない.わずかにでも連絡路が残る時には静脈瘤はそのわずかに残存した連絡路からの圧を受けて静脈瘤として残存してしまうという結果となつてしまう.われわれは約9年前より経腹的食道離断術を行つてきており現在までに126例に施行してきたが,初期に行つた症例のうち数例に再吐血が起こつており,これらに対する反省から食道静脈瘤の成り立ちに関する検討を深め,血行郭清の方法を更に徹底すべく改良を加えてきた,と同時によりriskの悪い症例に対しても手術適応を拡張しようという観点より術式の簡約化を図つてきた.そして現在では手術時間はほぼ2時間に短縮され,術中出血も平均1,000mlに満たないという程度までに改善され,術前,術後管理の工夫と合まつて,安全な手術となつてきた.そこで本誌ではわれわれが現時点で考えている本術式及びそれにともなう術前,術後管理などについて総論的な点について述べるとともに,同じく現時点でのわれわれの手術適応に関する考えを述べる.

胃上部切除術

著者: 山本貞博

ページ範囲:P.195 - P.200

はじめに
 門脈圧亢進状態において,症状として脾腫貧血が重視されBanti病あるいは同症候群という病態観があつた昔には,脾摘出手術が汎用された.しかし門脈圧亢進症という病態観のもとでは,血管吻合による門脈圧減圧手術が常識とされ,わが国でも1950年代を中心に多用されたのは記憶に新しい.
 1963年以降,門脈下大静脈吻合術後成績の判断から,私どもが病態観を門脈圧亢進症から食道静脈瘤症に転換し,門脈減圧手術を放棄して胃上部切除術を典型とする静脈瘤直達手術に決定的な移行を行つて以来,わが国では門脈圧減圧手術から各種直達手術あるいはいわゆる選択的血管吻合法が普及し,世界的な趨勢を誘導するに至つた.

シャント手術の適応と術式

選択的遠位脾腎静脈シャント術

著者: 磯松俊夫

ページ範囲:P.201 - P.206

はじめに
 食道静脈瘤の治療は今日なお論議の多い分野である.現在行われている多くの術式が共通に目ざしているのは,食道静脈瘤形成に関与する遠肝性副血行路の郭清である.しかしそれのみでは消化管壁の静脈網の発達が著しく1),当然それを通じて静脈血の逆流が起こるため食道静脈瘤の消失が得られないので,消化管の離断再縫合を行うか,残された一本の胃静脈を系統静脈に吻合することによつて食道静脈瘤の消失をはからなければならない.前者の代表的術式として食道離断術2),胃上部切除術3)があり,後者の代表的術式として左胃静脈下大静脈吻合術4),遠位脾腎静脈吻合術5,6)がある.そしてそれらの術式は各施設の努力によつて,現在一応満足すべき成績をおさめているのであるが,それらの術式がもたらすであろう病態また適応に関して,必ずしも一致した見解が得られている訳ではない.著者が北大第二外科で行つた胃上部離断術10例,選択的遠位脾腎静脈吻合10例について,術前と術後1ヵ月の門脈造影所見を対比したのが表1である.直達療法施行例では術前門脈径を1.0とすると術後は1.41±0.47と拡大傾向にあり,選択的遠位脾腎静脈吻合施行例では術後0.95±0.11とむしろ縮小傾向にある.直達療法と選択的シャントは,その目的とするところは同じであつても,術後の門脈血行動態はそれぞれ異なつていると言わざるを得ない.
 われわれは従来門脈圧亢進症に対し,第一選択として遠位脾腎静脈吻合を行つているので,以上の状況をふまえて選択的遠位脾腎静脈吻合の適応を述べ,さらに術式の概要について述べる.

左胃静脈下大静脈吻合術

著者: 小林迪夫 ,   若杉健三 ,   武藤庸一 ,   井口潔 ,   別府知茂

ページ範囲:P.207 - P.213

はじめに
 左胃静脈下大静脈吻合術とは,門脈圧を下降させずに食道静脈瘤の圧のみを選択的に下降させる選択的シャント手術の概念を具体化したもので,1967年,著者の一人,井口の考案になるものである1)−5).現在まで,われわれは肝硬変症例を中心に200余例に本術式を施行し,すでに術後10年以上の長期例の検討も果し得ているので,ここに本術式の手術適応,手技,治療成績についてとりまとめ報告したい.

食道離断術における吻合法の問題点

器械吻合と手縫い吻合

著者: 出月康夫 ,   萩原優 ,   河野彰文 ,   守屋仁布 ,   渡辺弘

ページ範囲:P.215 - P.222

はじめに
 食道静脈瘤直達手術は門脈圧減圧手術に代わる有効な術式として,1964年以来わが国で検討が進められてきた1).とくに食道離断術(経胸的または経腹的)は広く普及しており,食道静脈瘤出血に対する標準術式としている施設が多い.この手術の要点は,広汎な血行遮断と食道離断を確実に行うことであるが2),この手術における食道吻合ではとくに①広汎な血行遮断による吻合部局所の循環不全が存在すること,②なるべく吻合部上下の粘膜下血管再疎通による静脈瘤の再発が起こりにくい離断,吻合法であることなどの点で,通常の消化管吻合とは異なる特殊性がある.したがつて吻合法にはとくに慎重な配慮が必要であろう.
 最近わが国でも消化管の自動吻合器が普及し,食道離断術にもこれが使われている3,4).この器械吻合には,①離断と吻合が同時に行われるため簡便である,②吻合部局所の消化管が開放されないため,離断,吻合部の汚染が少ない,③食道鉗子で狭む必要がないため組織損傷や血流障害のおそれがない,④画一的で均等な吻合が可能である,⑤迅速である,などの特色がある.これらの器械吻合の特色は食道離断術における吻合法としても有用なものと考えられる.そこでわれわれは,この器械吻合を食道離断術に利用する場合の安全性と妥当性を検討するために,従来の手縫い法と器械吻合の両者を実施して比較検討しているので,これについて紹介してみたい.

カラーグラフ・2

膵頭部癌—膵癌のDecision treeを考える

著者: 高木國夫 ,   竹腰隆男 ,   大橋計彦 ,   丸山雅一

ページ範囲:P.165 - P.170

 膵の形態学的診断について現在各種の検査法は急速に進歩し,新しく登場した検査法をどのように臨床的に用いるか極めて重要であり,スクリーニングに用いるべきか,精癌検査としての役割が大きいかの問題がある.新しい検査法と従来から用いられている検査法との組合せが大切である.
 我々は,ERCP・血管造影を主として用いた時期には,Symptom,Physical sign,Biochemical test(主としてAmylase高値),upper G. I. seriesでチェックされた症例に積極的にERCPを行い,膵の異常所見を呈する例に血管造影を行つてOperabilityを検討して来た.近年超音波検査(US),CT-scan(CT)が加つて,この検査法をどのようにDecision treeに入れるかについて,我々の経験から表の如く,USは,Screeningの一環として組込み,ERCPで膵の異常所見を見出し,血管造影と共にCTにより,切除可能性を診断している.この膵癌診断のDecision treeの流れを前後すると,診断上または手術するまでに時間を要してしまうことがある.

座談会

食道静脈瘤手術をどうするか

著者: 堺隆弘 ,   朔元則 ,   八木義弘 ,   竹重言人 ,   二川俊二

ページ範囲:P.224 - P.236

 食道静脈瘤の外科治療は今日でもその複雑な病態ゆえに確かに外科医泣かせといえよう.
 本誌では,内視鏡でRed color signをみつけたらどうするか,に始まり,緊急止血法の実際,手術の適応と術式の選択,そして外科治療の仕上げとも言うべき術後管理の実際を具体的かつ平易にお話し合い願つた.

histoire de la chirurgie 外科史外伝—ルネッサンスから"外科の夜明け"まで・2

フランス王家と外科

著者: 大村敏郎

ページ範囲:P.243 - P.246

□外科医と伝染病
 16世紀は解剖の世紀と呼ばれるくらい解剖領域に大きな進歩があつた.ベザリウスことアンドレ・ベザール(AndréVésale,1514〜1564)の「ファブリカ」(De corporis humani fabrica,1543)がその代表的なものであり,レオナルド・ダ・ビンチ(Leonardo da Vinci,1452〜1519)の業績も忘れてはならない.すぐれた観察力と描写の能力が解剖学を科学にまで持上げたといえる.医学にとつて大切な基礎であるが,まだ生理学や病理学が確立していない時代であるから,すぐこれが内科的医療に役立つというわけにはいかなかつた.だが外傷を中心とした外科に寄与する所は多かつた.解剖と外科は一体になつて進歩し,臨床に役立つたと考えてよいのである.アンブロアズ・パレ(Ambroise Paré,1510頃〜1590)の場合がよい例である.
 外科医の需要は戦争のために高まつていた.王家も領主たちも有能な外科医をかかえていることで,兵士の士気にまで影響を与えたようである.そして需要を高めたもう一つの理由に疫病の流行があつた.それはコロンブス(Christophar Colombus,1451〜1506)一行がアメリカ大陸からもち帰つてヨーロッパに広めてしまつた梅毒であり,時々猛威をふるつて人口をすつかりへらしてしまうペストであつた.

外科医のための臨床輸液問答・2

各種の電解質について

著者: 長谷川博 ,   和田孝雄

ページ範囲:P.249 - P.256

1.Kの投与量
 和田 先回,Kの投与についてお話が出て,かなり多い量を先生方がお使いになつているようでしたね.しかし一般にKを維持輸液として私たちが内科的な輸液といつている場合には40mEqぐらいやつているわけですけれども,先生方は多いと,この間だと,150〜160mEqぐらいまでいくような‥‥.
 長谷川 そうですね,体重1kg当たり2mEqぐらいはむしろ入れます.内科の患者さんというのはわりあいに慢性的な経過をとる人が多いけれども,外科の患者は急激なストレスにさらされるから,そのストレスにさらされた時にKがデッと出る.これは尿中のK/N比ではつきり判ります.つまりおとなしく断食している時には1日でNが8〜9g,Kが30mEq前後は尿に出る.つまりK/N比は30/9≒3ですか.ストレスに会うとK/N比で6〜10にまで上るのです.というふうに考えると,Kの補給というのは,内科に比べると外科のほうが多くなくてはいけない.

Q & A外科医のための統計学・2

Chi-square test

著者: 草間悟 ,   杉田暉道

ページ範囲:P.257 - P.263

はじめに
 草間 前回では統計学と臨床研究との関係,次いで統計の基本となるデータの配列法,分布についてお話しいたしましたが,今回から早速実地の計算に入りたいと思います.幾つかの統計学的方法として,chi-square test3),相関関係,平均値の差の検定,生存率のとり方という基本的なものを挙げてみたいと思いますが,いかがでしよう.前回話題になつた先生の本でも,だいたいこれぐらいのところが臨床研究にまず必要な主題になつているように思います.
 Chi-square testを覚えると,何でもかんでもchi-square testをやつてしまつて,なんていうような悪口をいう人がいるそうですけどね,まずchi-square testあたりが統計学の入門としてはいいんじやないでしようか.

臨床研究

小児鼠径ヘルニアの自然治癒に関する考察

著者: 堀隆 ,   野沢博正 ,   間浩明 ,   今泉了彦

ページ範囲:P.267 - P.269

はじめに
 小児鼠径ヘルニアの家族歴を綿密に調べると小児期に出現していたがそのうち出現しなくなつた(自然治癒)ものが無視できないほど多いことに気付く.従来外科側においては,この点を考慮することなく手術治療が行われていた.1973年梶本ら1)は自然治癒について大規模な調査を行い,手術適応についても考察を行つている2).著者らは成人まで含めた視点から,自然治癒を考えて来たが3,4),実態を把握することはなかなか困難である.
 今回われわれの調査結果をまとめたので,現時点での本症の手術適応に対する考えをのべたいと思う.

当院における食餌性イレウス14例の検討

著者: 木下平 ,   山口晃弘 ,   磯谷正敏 ,   桜井恒久 ,   近藤哲 ,   堀明洋 ,   安井章弘 ,   広瀬省吾 ,   山田育男 ,   蜂須賀喜多男

ページ範囲:P.271 - P.275

はじめに
 食餌性イレウスは決して稀な疾患ではなく,従来イレウスの診断を受け,保存的治療により軽快した症例中にもかなりその存在の可能性があると思われる.また最近胃切除後の食餌性イレウスの報告も散見されるようになつた.当院で経験した,保存的治療により軽快した3症例を含む14例の食餌性イレウスにつき報告し,検討する.

臨床報告

胃癌手術時発見した膵頭部癌の7年生存例

著者: 三輪晃一 ,   松木伸夫 ,   山岸満 ,   米村豊 ,   小西孝司 ,   宮崎逸夫

ページ範囲:P.277 - P.280

はじめに
 近年,胃癌患者に他臓器癌が合併することは稀ではない.
 私どもは,胃癌手術時,偶然膵頭部癌を触知し,両臓器癌に根治手術を施行,7年健在な症例を経験したので報告する.

迷入膵より発生した胃壁内嚢腫の2例

著者: 生駒夏彦 ,   堀向憲治 ,   大久保真二 ,   所昌彦 ,   伊藤保源 ,   星昭二 ,   桜井護 ,   褚賛発 ,   大井成子

ページ範囲:P.281 - P.285

はじめに
 胃嚢腫は稀な疾患であり,病理組織学的には多彩で,文献上種々の症例が報告されている.著者らは最近迷入膵より発生した胃嚢腫の2手術例を経験した.胃迷入膵は粘膜下腫瘍としては比較的よく経験される疾患であるが,嚢腫化したものの報告は少ない.そこで自験例を報告し,若干の文献的考察を加えてみた.

ハンドル外傷による総胆管狭窄の1例

著者: 富田濤児 ,   高橋任天 ,   丸谷巌 ,   佐藤正典 ,   藤田博正 ,   大山廉平 ,   中村修三 ,   高野眞澄 ,   前田耕太郎

ページ範囲:P.287 - P.291

はじめに
 鈍的腹部外傷による肝外胆管の損傷は極めて稀である.われわれは自動車事故後に黄疸を来し,ERCPで総胆管狭窄を診断し,手術を行つた症例を経験したので報告する.

虫垂軸捻転症の1例

著者: 謝家明 ,   野田晋 ,   武富勝郎 ,   飛永晃二

ページ範囲:P.293 - P.295

はじめに
 虫垂軸捻転症はまれな疾患であり,最近われわれはその1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

術前に局在診断を下しえた原発性上皮小体機能亢進症の2例

著者: 高見博 ,   三村孝 ,   阿部令彦 ,   平松京一 ,   久直史 ,   久保敦司 ,   市川陽一 ,   丸山博 ,   松川重明 ,   小山雄三 ,   村井勝 ,   入久己

ページ範囲:P.297 - P.300

はじめに
 血中カルシウム(Ca)や上皮小体ホルモン(PTH)の高値により上皮小体機能亢進症と診断できても,その病的上皮小体の部位診断は容易でない.しかし,近年のcomputed tomography(CT),ultrasonography(US),選択的血管造影法および201Thallium-chloride scintigraphy(201Tlシンチ)等の開発や,選択的静脈採血による血漿PTH測定(選択的静脈採血—PTH)の進歩により,かなり小さな腫瘤まで局在診断ができるようになつてきた.
 われわれはこれらの手法によつて,術前に局在診断しえた腎結石型と不顕性型原発性上皮小体機能亢進症の2例を報告し,これらの検査法について若干の考察を行つた.

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雑誌「SURGERY」最新号目次

ページ範囲:P.241 - P.241

SURGERY—Contents, January 1982 Vol.91, No.1 ©By The C. V. Mosby Company
 今回,米国Mosby社の御好意により,世界的な外科雑誌"Surgery"の最新目次を,日本の読者にいち早く,提供出来るようになりました。下記の目次は,発売前にファックスで送られてきたものです。この雑誌"Surgery"御購読は,据学書院洋書部(03-814-5931)へお申込み下さい。

文献抄録

著者: 西尾剛毅 ,   柵瀨信太郎

ページ範囲:P.242 - P.242

頭頸部腫瘤に対する針吸引生検による細胞診について
 Needte Aspiration Cytologic Biopsy in Headand Neck Masses/Young, J. E. M., Archibald, S. D. & Shier, K. J.:The American Joumal of Surgery, 142:484〜489, 1981.
 目的:頭頸部の腫瘤は種々の病因により起こり,治療もその病因により異なる.それだけにアプローチの方法が非常に重要となる.考えられる病因としては,軟部組織由来,リンパ系由来,甲状腺由来,副甲状腺由来,唾液腺由来,頭頸部,肺,消化管などよりの転移性悪性腫瘍など多種多様である.また頭頸部腫瘤を主訴として外来をおとずれる患者は比較的多い.これらの患者に対して全ての可能性を考えて検査を行えば膨大な時間と費用がかかり,無駄も多い.しかしその反面検査なしに診断を急ぎ気軽に摘出生検を行えば,転移性リンパ節では主病巣の検索に時間もかかり,その後の頸部清掃術が適応となつた場合は手術が困難かつ不十分なものとなる.また放射線治療にあたつては生検創への再発率が高くなると言われている.
 そこで簡単なNeedle Aspirationの方法を頭頚部腫瘤に導入し,その診断的意義,合併症の有無等について検討を加えてみた.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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