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文献詳細

雑誌文献

臨床外科37巻5号

1982年05月発行

特集 外科外来マニュアル

私の治療 胸部

心嚢穿刺

著者: 真栄城優夫1

所属機関: 1沖繩県立中部病院外科

ページ範囲:P.716 - P.717

文献概要

□概説
 心嚢穿刺は,心嚢内滲出液の診断と治療,心タンポナーデの救命処置として緊急で実施される.心膜炎による滲出液の場合,結核その他の感染症,尿毒症,悪性腫瘍,膠原病などが原因となるが,慢性の貯溜であるので,数百mlの液が貯溜してはじめて症状が発現する.しかし,外傷にみられる心タンポナーデのような急性の貯溜の場合は,心膜は伸展することができず,150ml程度の貯溜でも症状が出現し,200mlでも致死的となる,何れの場合でも,25〜50ml程度の少量の排液でも,著明な症状の改善がみられる.
 心タンポナーデでは,血圧低下の出現する前に脈圧が減少する.また,血圧低下の程度に比して,脈拍は早くならない.頸部静脈の怒張やCVPの上昇は,出血などによる循環血液量の減少を伴つている場合には,前面には出現して来ない.ショックに対する急速輸液によつて初めて,潜在していた心タンポナーデの典型的な症状が出現してくる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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