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文献詳細

雑誌文献

臨床外科37巻6号

1982年06月発行

文献概要

特集 乳癌の縮小根治手術 縮小根治手術の限界とその根拠

定型的根治手術成績の検討より

著者: 渡辺弘1 福田護1 金杉和男1 山口晋1 長島隆1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学第1外科

ページ範囲:P.897 - P.902

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はじめに
 乳癌の手術には,部分乳房切除術から拡大乳房根治術まで,多くの種類の手術法がある.その中で,Halsted,Meyerにより確立された定型的乳房切断術は,乳癌の標準術式として,今日まで広く使用されてきた.本術式は,乳腺のみならず,それを包む皮膚,皮下脂肪組織,筋膜および大・小胸筋を腋窩リンパ節と共に一塊として切除する方法で,今日でも最も信頼できる乳癌術式として高く評価できる.しかし最近,乳癌の早期症例が比較的多くなるにつれ,早期症例に対しては,胸筋を保存する非定型的乳房切断術でも十分に根治性が得られる,との報告が多く見られるようになつた.一部では,極端な縮小手術である部分切除で十分とする意見さえある.しかし,乳癌早期症例に対する一部の縮小手術の成績が,定型的手術と差がないことだけから,簡単に縮小手術を首肯することは,局所のより高い根治性を求める腫瘍外科医にとつて,厳に慎しまなければならない.
 われわれは,国立がんセンターと聖マリアンナ医科大学第1外科において定型的乳房切断術を施行した症例の5年生存率,10年生存率,リンパ節転移や再発の状況を分析し,縮小根治手術の限界とその根拠を検討した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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