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文献詳細

雑誌文献

臨床外科37巻7号

1982年07月発行

文献概要

カラーグラフ・6

膵体部微小早期癌—膵癌の早期診断におけるアミラーゼの意義

著者: 高木國夫1 竹腰隆男2 大橋計彦2 丸山雅一2

所属機関: 1癌研究会附属病院外科 2癌研究会附属病院内科

ページ範囲:P.1025 - P.1030

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 膵の診断技術はここ10年間に急速に進歩し,膵の形態的異常はUS,CT,ERCP,血管造影で微細な所まで診断しうるようになり,ひいては,膵癌の診断も,病巣の局在,周囲組織との関連まで可能になつて来ている.しかしながら,この膵に対する診断技術の進歩が膵癌の診断につながつても,膵癌の早期診断につながらなかつた.切除可能で治癒の期待しうる膵癌の発見は非常に困難であつた.この切除可能な膵癌の発見に,どのようなスクリーニングを考えれば良いかが問題であつた.近年,切除可能な膵癌,とくに早期膵癌ともいえる症例が報告されて,それらの症例の検討から如何にスクリーニングすべきかが漸次明らかになつている.この連載で,すでに,膵の異常をスクリーニングするのに,特殊な血清学的方法でなく,膵にもつとも密接な関係にある胃のX線所見—胃外性圧排像に注目すべきであり,また,今まで呈示した膵癌例においても,血清,尿アミラーゼ高値が膵癌発見の契機になつたことを述べたが,このアミラーゼ値の上昇が,膵癌発見のスクリーニングの上できわめて重要であることをのべてきた.膵癌の中でも,とくに診断が困難と言われている膵体尾部癌,とくに膵体部癌の早期発見に,胃X線検査による胃外性圧排ならびにアミラーゼ高値がスクリーニングとして有用で,このスクリーニングでひろいあげられた症例にERCPによる膵管造影で膵の異常を見出すことによつて,その中に膵体部の切除可能な膵癌が見出されている.
 今回は,膵体部の径8×8mmの微小早期膵癌がどのように見出され,切除され,組織学的診断がなされるまでの経過を症例によつて述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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