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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科37巻8号

1982年08月発行

雑誌目次

特集 今日の人工肛門

ストーマ・リハビリテーションの実態—現状分析と展望

著者: 進藤勝久

ページ範囲:P.1167 - P.1171

はじめに
 わが国でストーマ・リハビリテーションの必要性が広く叫ばれるようになつておよそ10年が過ぎた.その間,各地で人工肛門や人工膀胱をもつた同憂者のグループが次々と誕生し,組織化されてきた.また,医療従事者の間でも,8年前に人工肛門装具研究委員会が発足し,1980年11月から,毎年2回ストーマ・リハビリテーション講習会がもたれるようになつた.ET(Enterostomal Therapist:ストーマ療士)の会も組織化された昨今である.
 それらの組織的活動が患者のストーマ・リハビリテーションの上にどのように反映されているかをみることは時期早尚かもしれないが,現状を把握して今後の診療指針や装具開発やストーマ会指導の上に役立てたいと思う.

人工肛門—造設術式の歴史的変遷

著者: 鈴木義雄

ページ範囲:P.1173 - P.1182

はじめに
 人工肛門というアイデアがこの世に生れたのは1710年のことである.フランスのルイ14世時代で,日本では,宝永7年,7代将軍家継の時代にあたる.フランスのAlexis Littr'eは,生後6日目,鎖肛で死亡した新生児を解剖し,閉鎖部位を切除して,今日でいう,端々吻合を行うか,少なくとも,閉鎖部位より口側の腸管を体外に誘導すれば,救命できたであろうと示唆した.Académie Royale de Sciencesの歴史学者Fontanelle氏が,上記のような,Alexis Littr'eの文献に着目し紹介したのが初まりである(Tilson Dinnick1)より).現在の高度に発達した医療を十分に理解するために,過去の流れに注目することは意義がある.人工肛門造設術も当然変遷の歴史があり,今回は現在の人工肛門造設術にいたつた過程を年代順にひもといてみたい.

人工肛門用装具の現状—装具全般とその選択基準

著者: 田沢賢次 ,   永瀬敏明 ,   笠木徳三 ,   宗像周二 ,   唐木芳昭 ,   斎藤寿一 ,   伊藤博 ,   藤巻雅夫

ページ範囲:P.1184 - P.1193

はじめに
 Dinnick1)によるとcolostomyの初めての成功例は18世紀と報告されている.しかし人工肛門装具の工夫,発展からみると英国で主としてpalliative left iliac colostomyが施行されていた1820年代が興味を引く.人工肛門部に患者の工夫,デザインした腹帯や当物などを用いたという.最近の人工肛門用装具を見るに,長い間使用され続けてきた装具や附属品類などに患者の悩みと努力を読みとることができる.特に人工肛門を有する人々が社会復帰しようとするとき,日常生活に欠くことのできない装具全般にたいしての医師看護婦のきめ細かい配慮とアフターケアーが必要である.しかるに装具の進歩改良は人工肛門造設術式の変遷に加うるに患者からの願いを満たすためという大きな命題でもあつた.またここ数年間の高分子化学の発展が持たらした装具の材質の変化も大きく貢献している.
 本稿は本邦における人工肛門用装具全般にわたる現状について報告し,最近のパウチを中心とした皮膚保護剤を併用する全般的装具の選択基準についても解説する.

人工肛門—最近の管理

著者: 穴沢貞夫 ,   石田秀世 ,   東郷実元 ,   高橋日出雄 ,   桜井健司

ページ範囲:P.1197 - P.1203

はじめに
 1978年に本誌において「人工肛門とAfter Care」と題する特集1)が掲載されたが,今この特集を読みかえすと今さらながら当時のわが国におけるstoma rehabilitationの遅れと,それ以後遅々とではあるがこの分野の進歩が感じられる.人工肛門装具研究委員会やStoma Rehabilitation講習会の発足はわが国においてstoma rehabili—tationの必要性を喚起する引き金になつたが,現在においてもstoma rehabilitationに対する理解が全国的に十分ゆきわたつている状態とは云い難い.
 このstoma rehabilitationにあつては医師と看護婦が互いに分かちあわなければならない役割分担を明確にすることが必要であり,事実stoma rehabilitationの先進国である米国においては,看護職の中にEnterostomal Therapistという専門職を導入することによりstoma rehabilitationを大いに発展させてきた2).しかしながら現在のわが国においてはstoma rehabilitationの中で本質的にnursingの中に包含されるべき部分を一挙に看護職に委ねる状況には至つてなく,それがゆえに日常の臨床の場では外科医はstoma careの理解と基礎知識が要求される.

人工肛門—合併症とその対策

著者: 田村泰三

ページ範囲:P.1205 - P.1210

はじめに
 人工肛門の合併症には直ちに手術的処置を必要とするような重篤なものから,装具の適切な選択によつて解決できるような軽度のものまで種々のものがあげられる.最近では一次的に開放される人工肛門が一般的になるなど手技の進歩によつて重篤な合併症は減少しているが1,2),術後管理に対する関心が高まつて今までは余り注目されなかつたような合併症にも注意が向けられ,それらに対する対策が必要になつてきている.機能的に完壁な人工肛門を望むことはできないが,そのマイナス部分を適切な装具を適切に装着する指導等を行うことによつて補つていくことが大切で,これがEnterostomal Therapyである.しかし,いくらEnterostomal Therapyが頑張つても人工肛門に大きな問題があれば十分な効果は発揮されない.合併症の少ない,術後管理の容易な人工肛門がつくられることは人工肛門をもつて内容のある社会復帰をするための必要条件であり,それに適切な術後管理が加わつてはじめて社会復帰が実現することになる.
 もし人工肛門に何らかの合併症があれば,手術と術後管理の両面から検討され解決にあたらなければならない.このような合併症とその対策について述べ,さらにそれらを予防するための基本的な手技についても触れる.

カラーグラフ・7

胃切除(Billroth Ⅱ法)後の切除可能な膵頭部Islet cell carcinoma—アミラーゼ高値が契機で発見

著者: 高木國夫 ,   竹腰隆男 ,   大橋計彦 ,   丸山雅一

ページ範囲:P.1159 - P.1164

 近年,胃切除後の残胃新生癌が注目を集めているが,胃切除後の症例について,肝,胆,膵の検査が必要となる場合が少なくない.胃切除例の中で,Billroth Ⅰ法例では十二指腸や膵,胆道系についてX線検査や,ERCPは容易に行いうるが,胃切除でBillrothⅡ法例(B-Ⅱと略)では,十二指腸や膵胆道系の検査は,簡単ではない.とくにB-Ⅱ法例のERCPについては胃空腸吻合口から輸入脚をさかのぼつて,Treitzから十二指腸乳頭部まで逆行性に十二指腸内視鏡を挿入することは,困難であろうと考え,また実際に試みてうまくゆかない場合を経験するとあきらめてしまう傾向にある.
 我々は,1969年ERCPに成功して以来胃切除(Billroth Ⅱ法)後のERCPについて,種々検討し,現在では31例中11例(35.5%)に成功している.とくにGIFP2では10例中4例(40%),JF-ITでは7例中4例(45%)にERCP成功している.

解説

Enterostomal Therapist(E. T.)について

著者: 大村裕子

ページ範囲:P.1212 - P.1213

Enterostomal Therapistとは
 Enterostomal Therapist(以下E. T.と略す)とは日本では「ストーマ療法士」と訳されており,消化器系・泌尿器系stomaなどのstomaの患者のtotalなcareをする看護婦の専門職の名称である.
 E. T.の歴史は,1954年ulcerative colitisに罹患し,米国Ohio州Cleveland Clinicにおいてileostomy造設術をうけたNorma N. Gill(初代E. T.)を当時,彼女の主治医であつたDr. Turnbullがより高度なstoma careの必要性を感じ,stoma careに従事させたのがその始まりである.最初はNorma N. GillがDr. Turnbullの外来などでostomateのcareを手伝う形にすぎなかつたが,日本に比べ大腸疾患,特にI. B. D. などが多い米国では管理の難しいileostomy症例が多いため,必然的に専門職の必要性を求める声が高まり,1968年同ClinicにおいてE. T. Training Schoolを開校する運びとなつた.E. T. School発足時は全課程6週間のコースで教育内容も技術面に重点がおかれclinical practiceが多かつたと聞いている.当時は入校資格の制約はなく,その後stoma careには医学的知識が不可欠と考えられるようになり准看護婦以上の資格が要求されるようになつた.そのため現在E. T. の中には看護婦の資格を全く持たないものでE. T. としてstoma careに従事しているものもいる.現在では,正看護婦で2年以上の臨床経験があること,E. T. school終了後E. T. として働く職場が確実にえられることが入校資格となり,1コース8週間の中で講義と実習期間を義務づけられている.さらに今後5年以内には入校資格が,大学卒の看護婦に限定され1コースも10週間になるというはなしもきいている.米国・カナダには現在は14校のE. T. schoolがあり,年5回のコースで1回あたり5〜6名の入校生で構成されている.ただし各々のE. T. schoolによってコースの人数編成,年間の教育回数は異なつている.

座談会

ストーマ・ケアをめぐる諸問題

著者: 田村泰三 ,   登坂有子 ,   大村裕子 ,   穴沢貞夫 ,   安富正幸

ページ範囲:P.1214 - P.1224

嘗て本誌で「人工肛門のアフターケアをどうするか」と題した座談会を収載した(第32巻第1号)
 爾来,5年余を経過し当時,将来像として描かれたいくつかの指摘が今やルーチンの処置になり,Enterostomal The—rapistも数人であるが活躍中である.しかし,この5年はこの領域に新たに変化をもたらせた.それは各種皮膚保護剤の出現による長期皮膚管理に立つStoma careであり,到底,医師のみでなし得ることではない.

histoire de la chirurgie 外科史外伝—ルネッサンスから"外科の夜明け"まで・7

パリ病院小史

著者: 大村敏郎

ページ範囲:P.1229 - P.1232

□病院の果す役割
 19世紀初頭のフランス医学は,フランス以外のすべての国々の業績を積みかさねても,それに劣らぬ程見事な華麗な展開をみせた.その背景には革命とそれにつぐナポレオンの時代によつて,旧体制が完全に崩壊したこと.それまで古典の文献にこだわつて保守的だつた内科医達が自ら解剖にとり組みはじめたこと.それも従来のような系統解剖ではなく,死因や病態を見極める病理解剖に手を染めてきたのである.ビシャー(Bichat),コルビサール(Corvisart),ラエネック(Laënnec)などが代表的な内科医といえる.
 一方,外科も手術手技をみがくと共に,その基礎となる理論へも肉迫していた.すなわち内科・外科が同じく従来の歴史的な経過を捨てて相交わり,医学を大きく躍進させるエネルギーとなつたのである.

外科医のための臨床輸液問答・6

どんな輸液剤を用いるか

著者: 長谷川博 ,   和田孝雄

ページ範囲:P.1235 - P.1240

1.計算法と科学性
 和田 体液の欠乏量で計算法というのは,この間もお話に出たんですけれども,結局,臨床的な判断のほうが大事なんだと,だいたいの臨床家というのは普通そう思うんですけれども,学生さんとか,フレッシュ・マンになりたての人だと,どうしても科学性というものを求めるわけですね.
 長谷川 そうですね.

Q & A外科医のための統計学・最終回

生存率の計算と有意差の検定—Generalized Wilcoxon法,Cox-Mantel法

著者: 草間悟 ,   杉田暉道

ページ範囲:P.1243 - P.1247

 草間 今回はGeneralized Wilcoxon testとCox-Mantel testについて前回と同じ資料(表1)を用いて計算してみましよう.

REPORT FROM OVERSEAS【新連載】

米国における超音波診断(その1)—術中への応用

著者: 町淳二 ,   ,   ,   ,   横山三男

ページ範囲:P.1250 - P.1256

はじめに
 臨床でのレントゲンの適応のなかで,重要なことの一つに,レントゲンを手術中に使用して,手術の補助にする,ということがある.例えば,骨折の固定などの整形外科での術中レントゲンや,造影剤を使用した術中の胆道造影や血管造影などで,術中におけるレントゲンの応用範囲は非常に広い.
 一方,超音波を用いた臨床診断のスタートは,レントゲンよりかなりおくれたが,メディカルエンジニアリングの急速な進歩を通して,超音波システムを含む診断機器の改良と実用によつて,この分野のめざましい発展がみられている.ことに,レントゲンと同様に,超音波方式を術中に応用して,手術の助けとする可能性が生まれて来たことが注目される.

臨床研究

乳輪下膿瘍

著者: 成瀬隆吉 ,   鈴村和義 ,   石井俊昭 ,   加藤健一 ,   金光泰石 ,   小池明彦

ページ範囲:P.1257 - P.1260

はじめに
 乳房の急性化膿性疾患のうち,特殊なものとして,しばしば乳輪または乳輪近くの皮膚に自然に瘻孔を形成する乳輪下膿瘍がある.これは発赤や瘻孔などの局所所見のみで,発熱,白血球増多のような全身的な症状を伴わず,小切開による排膿で容易に炎症は消褪する.しかし,こうした処置によつて治癒したかにみえても,数週間より数ヵ月,症例によつては数年の間隔で膿瘍が再燃し,ふたたび同様の加療がくりかえされることがある.このため,なかには乳頭の切除のみならず,乳房切断までおこなわれた例もある1).最近,乳癌についての社会的啓蒙が進むにつれ,幾度も再燃する場合には医師の否定にもかかわらず,乳癌に対する不安感に怯える患者も多い.したがつて初回治療時より積極的な根治療法を行うことが必要である.
 最近経験した3症例を呈示すると共に,その治療法について考察した.

術後における一過性心筋梗塞様心電図についての臨床的検討

著者: 佐々寛己 ,   水口一衛 ,   蜂須賀喜多男 ,   山口晃弘 ,   磯谷正敏 ,   近藤哲 ,   堀明洋 ,   安井章裕 ,   山田育男 ,   広瀬省吾 ,   宮地正彦 ,   深田伸二

ページ範囲:P.1261 - P.1267

はじめに
 近年外科学や麻酔学の進歩に加えICUを中心とした術後管理体制の完備が背景となつて手術人口も高齢化が著しい.このため術中術後に循環器疾患を併発する機会が高くなり,とりわけ急性心筋梗塞はその予後の面からも術者の重大な関心事とされてきた.急性心筋梗塞の診断は自覚症状,心電図所見及び血清酵素により下されるのが普通であるが,術後の症例に関しては鎮痛剤の使用や創部痛の為,患者自身典型的な胸痛を訴えることは少なく術後に心電図を撮影しなければ見逃す場合の多いことが予想される.また術後の心電図でST上昇や異常Qを示し,明らかに急性心筋梗塞と考えられるものが経過を追つてみるとその心電図所見が一過性であり,また血清酵素の上昇も極く軽度の場合が多いとする事実も指摘されている1)
 以上の如く手術に際して遭遇する急性心筋梗塞は通常経験されるものとはかなり異なつた様相を呈する点で非常に興味を抱かせるが,大切なのはこれが実地臨床面でいかなる臨床的意義を有しているかという点である.この課題を検討するため,今回著者らは術後の心電図で一過性の心筋梗塞様所見を呈した16例の成績をまとめ,①この心電図変化がはたして心筋壊死に基づくものかどうか,②心筋壊死だとしたら通常の急性心筋梗塞と発生機序に関して相違があるか否か,また③その臨床的意義はどうかという点を中心に考察を加えた.

肝転移を伴う胃癌症例の検討

著者: 林正泰 ,   吉沢順一 ,   平井隆二 ,   和田豊治 ,   高嶋成光 ,   松浦久明 ,   得能輝男

ページ範囲:P.1269 - P.1273

はじめに
 胃癌の早期発見が著しく向上したにもかかわらず,なお未だ残念ながらそれに洩れた進行胃癌もしばしば見られるようである.肝転移を伴う胃癌症例についても過去種々報告されているが,手術時治癒切除は不可能と判断された場合にも,全身状態や局所所見より主病巣を除去しようとする試みは必要だと考えられる.今回当外科において1971〜1981年までの10年間に経験した胃癌症例の中で肝転移を伴う胃癌症例135例について検討したので報告する.

臨床報告

表層型早期食道癌の2例

著者: 長堀順二 ,   紙田信彦 ,   佐々木喜一 ,   岡崎護 ,   石川鋭 ,   竹田泰 ,   木島泰興 ,   立之芳源 ,   朝田農夫雄 ,   黒川博之 ,   斉藤寛文 ,   山口善友

ページ範囲:P.1275 - P.1278

はじめに
 最近早期食道癌の報告はわずかながら増えつつあるが,進行食道癌に比してはいまだ稀なものである.われわれは今まで2例の表層型早期食道癌を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

多発性膵仮性嚢胞の1例

著者: 栗田啓 ,   末光浩也 ,   吉田英生 ,   佐藤源 ,   寺本滋 ,   佐藤融司 ,   寺岡正

ページ範囲:P.1279 - P.1282

はじめに
 膵嚢胞は比較的まれな疾患であるが,そのうちで仮性嚢胞は70〜80%を,真性嚢胞は10〜20%を占めると言われる.その大部分は単発性であり,多発性のものは比較的少ない.われわれの教室では,最近5個におよぶ多発性膵仮性嚢胞症例を経験した.これを報告するとともに,若干の考察を加えた.

小膵体尾部癌の1治験例

著者: 船木治雄 ,   大田早苗 ,   広瀬脩二 ,   又井一雄 ,   石田秀世 ,   竿代文夫 ,   林博隆

ページ範囲:P.1283 - P.1286

はじめに
 膵体尾部癌の初発症状には,膵頭部癌における黄疸のように顕著なものがなく診断がむずかしい.
 われわれは膵体尾部に発生した微小癌を術前に診断し手術に成功したので報告し,診断,術式などについて若干の検討を加えてみた.

小網異常裂孔による内ヘルニアの1例

著者: 深川裕明 ,   谷口正哲 ,   渡辺昌彦 ,   花谷勇治 ,   横山茂樹 ,   横山勲 ,   新井健之 ,   山田良成 ,   斉藤敏明

ページ範囲:P.1287 - P.1289

はじめに
 内ヘルニアは稀な疾患であるが,その中でも小網異常裂孔によるものの報告は少なく,また,その成因等不明な点が多い.今回われわれは,小網異常裂孔による内ヘルニアの1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

子宮広間膜の異常裂孔に生じた内ヘルニアの2例

著者: 松山茂樹 ,   山本賢輔 ,   黒田豊 ,   織部孝史 ,   持永信夫 ,   伊藤俊哉 ,   土屋凉一 ,   天野実 ,   佐伯壮六 ,   大久保紘基

ページ範囲:P.1291 - P.1294

はじめに
 腹腔内ヘルニアは比較的まれな疾患であるが,なかでも子宮広間膜(Broad Ligament)の異常裂孔に嵌入したヘルニァは極めて少ない.1861年Quainがその剖検例をはじめて記載したが欧米でも報告例は非常に少ない1-6).本邦では過去4例の報告があるのみである7,8).最近,著者らは2症例を経験したので発表する.

イレウス症状を呈した腸アニサキス症の1手術治験例

著者: 鄭正勝 ,   中村昭光 ,   田中承男 ,   橋本勇 ,   池田誠

ページ範囲:P.1297 - P.1299

はじめに
 アニサキス症は,中間宿主である海産魚類やイカを生食したとき,アニサキス幼虫がヒトの胃壁や腸壁に穿入することによつて惹き起こされる幼虫移行症として知られている.最近われわれは,急性腹症を呈し,イレウスの診断のもとに開腹し,腸管に穿入したアニサキス虫体を摘出した症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

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雑誌「SURGERY」最新号目次

ページ範囲:P.1233 - P.1233

SURGERY—Contents, July 1982 Vol.92, No.1 ©By The C. V. Mosby Company
 今回,米国Mosby社の御好意により,世界的な外科雑誌"Surgery"の最新目次を,日本の読者にいち早く,提供出来るようになりました。下記の目次は,発売前にファックスで送られてきたものです。この雑誌"Surgery"御購読は,医学書院洋書部(03-814-5931)へお申込み下さい。

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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