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特集 今日の人工肛門
人工肛門用装具の現状—装具全般とその選択基準
著者: 田沢賢次1 永瀬敏明1 笠木徳三1 宗像周二1 唐木芳昭1 斎藤寿一1 伊藤博1 藤巻雅夫1
所属機関: 1富山医科薬科大学医学部第2外科
ページ範囲:P.1184 - P.1193
文献購入ページに移動Dinnick1)によるとcolostomyの初めての成功例は18世紀と報告されている.しかし人工肛門装具の工夫,発展からみると英国で主としてpalliative left iliac colostomyが施行されていた1820年代が興味を引く.人工肛門部に患者の工夫,デザインした腹帯や当物などを用いたという.最近の人工肛門用装具を見るに,長い間使用され続けてきた装具や附属品類などに患者の悩みと努力を読みとることができる.特に人工肛門を有する人々が社会復帰しようとするとき,日常生活に欠くことのできない装具全般にたいしての医師看護婦のきめ細かい配慮とアフターケアーが必要である.しかるに装具の進歩改良は人工肛門造設術式の変遷に加うるに患者からの願いを満たすためという大きな命題でもあつた.またここ数年間の高分子化学の発展が持たらした装具の材質の変化も大きく貢献している.
本稿は本邦における人工肛門用装具全般にわたる現状について報告し,最近のパウチを中心とした皮膚保護剤を併用する全般的装具の選択基準についても解説する.
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