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文献詳細

雑誌文献

臨床外科37巻9号

1982年09月発行

カラーグラフ・8

急性膵炎様症状で発症した無黄疸の早期膵頭部癌

著者: 高木國夫1 竹腰隆男2 大橋計彦2 丸山雅一2

所属機関: 1癌研究会附属病院外科 2癌研究会附属病院内科

ページ範囲:P.1313 - P.1317

文献概要

 膵癌の早期発見には,膵内に限局した膵癌そのものを直接発見することは,容易でないが,癌による主膵管の狭窄や閉塞にもとずく末梢膵の二次的膵炎をアミラーゼ高値,胃X線検査における胃外性圧排像や超音波検査による主膵管拡張によりチェックし,ERCPによつて膵内の異常を見出すことが肝要であることを症例をあげてのべてきた.主膵管の狭窄による二次的膵炎が臨床的には胃部不快感や,上腹部の軽度疼痛等の上腹部愁訴によるものが多いが,時に二次的膵炎が急性膵炎様の症状を呈することがある.急性膵炎はERCPによつて増悪することが危懼されて,ERCPの禁忌とされているが,急性膵炎が軽快した時点で,膵内の状態をチェックすることがなおざりにされている傾向がある.急性膵炎例に対して,軽快した時点で血管造影をまず施行する必要をのべている報告があるが,急性膵炎が膵癌によつてひきおこされた場合のあつたことが考慮されていたものであろう.
 急性膵炎の原因には,種々あるが,その中に膵癌による主膵管の狭窄によるものがあることを銘記したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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