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臨床研究
術後疼痛に対する経皮的神経電気刺激装置の使用経験
著者: 定月英一1 西原寛1 近藤芳夫1 小嶋邦昭2 竹添和英2 山田忠義3 石井好明3
所属機関: 1東京大学医学部第3外科 2青山病院外科 3青梅市立総合病院外科
ページ範囲:P.1387 - P.1390
文献購入ページに移動1965年にMelzack1)らは疼痛の伝達についての新しい考え方としてgate control theoryを発表した.この仮説は,経皮的に末梢の太い有髄線維を刺激すれば痛みを抑制できる可能性を示唆している.つづいて1967年,Wall2)らは経皮的に神経電気刺激を行い,疼痛の緩和に成功している.Gate control theoryは,その後概ね否定されるところとなつたが,Wallらの成果は,疼痛緩和の為の新しい方法である経皮的神経電気刺激(Tralns—cutaneous Electrical Nerve Stimulation,TENS)のその後の発展に寄与するところとなつた.すなわち,1972年Shearly,Long3,4)と相次いで慢性疼痛に対するTENS使用が試みられ,その効果が認められた.1973年にはHymes5)らにより,手術後の疼痛緩和に始めてTENSが使用された.
その後,VanderArk6)Cooperman7),Ledergerber8)Solomon9)らも,外科手術後の疼痛に対してTENSを使用し,鎮痛剤として用いられる麻薬の使用量を大幅に減少させ,その副作用を軽減する有効な手段としてTENSを高く評価している.
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