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文献詳細

雑誌文献

臨床外科38巻1号

1983年01月発行

文献概要

特集 よくみる肛門部疾患診療のポイント

緊急処置を要する肛門疾患

著者: 吉田鉄郎1

所属機関: 1吉田外科病院

ページ範囲:P.29 - P.37

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はじめに
 肛門疾患では緊急に処置しなければ患者が死亡するといつた疾患は少ない.しかし激しい苦痛を訴えて来院し,適切で迅速な治療を求められるcaseは多い.
 強い肛門部痛を訴えるものとしては,内痔核脱肛嵌頓,直腸脱脱出嵌頓,直腸肛門周囲膿瘍,裂肛などがあり,激しい肛門出血を示すものには内痔核よりの出血があるが,これは出血性素因や血液疾患等の合併症のないものではそれ程大出血とはならない.しかしながら痔核手術後の出血は時には大量に出てショック状態となる事あり,これこそ緊急に処置しないと危険である.但し下記の疾患による大腸からは出血もかなり鮮やかな赤い色調の事もあり,疑わしい場合には内視鏡による肛門〜大腸の検査を必要とする.すなわち大腸憩室症,潰瘍性大腸炎,Angio dysplesia(Haemangioma),若年性大腸ポリープなどである.止血法としては,①ガーゼタンポン圧迫法.②結紮止血.③創の閉鎖.④局所止血剤アビテン Avitene ⑤接触性赤外線コアグレータがある.また排便障害(糞便栓塞)はイレウス様症状を示し,仙骨麻砕の下に,摘便を要することもある.肛門直腸内異物,糞便内異物,肛門から挿入された異物では思いもよらない物を入れる事あり摘除に苦労する事がある.肛門直腸外傷,刺杭創,分娩時外傷などでは時期を失せずに適切な処置が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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