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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科38巻10号

1983年10月発行

雑誌目次

特集 下部消化管出血

原因疾患とその特徴

著者: 八尾恒良

ページ範囲:P.1415 - P.1420

はじめに
 一般に上部消化管とは口腔より十二指腸,すなわちトライツ靱帯までを指し,Treitz靱帯より肛門側の消化管は下部消化管と呼ばれる.そして,Treitz靱帯より肛門側の病変は,空腸憩室など2,3の例外を除けば吐血をきたすことはないとされている1)
 従つて,下部消化管出血とはトライツ靱帯よりも肛門側の病変による肛門からの出血をさすと解釈される.

出血源探索の手順

著者: 安富正幸 ,   田中晃

ページ範囲:P.1423 - P.1428

はじめに
 下部消化管出血は上部消化管出血に比べると大出血の頻度は低いが,小量出血は日常しばしば遭遇する.しかも原因疾患が極めて多く,消化管全体とくに検査の困難な小腸まで含まれることもあつて,出血源探索の手順を正しく進めないと出血部位の推定すら困難になることがある.そこで本稿では下部消化管出血の診断について,特に出血源探索の手順を中心に述べる.

下部消化管出血の放射線診断

著者: 小林茂雄 ,   有山襄 ,   松川正明

ページ範囲:P.1429 - P.1434

はじめに
 下部消化管とは,一般的にはTreitz靱帯以下の消化管とされているが,小腸の病変は症例が少ないので,文中では,大腸病変について論ずる.
 下部消化管出血(大腸)は,ほとんどが顕出血である.時には,緊急の処置が必要なこともある.従つて,顕出血例(肛門部病変を除く)に対しては,通常の検査体系と異なる手順が確立されてきている.これには,ファイバースコープの改良・進歩によるところが大である.この中で,注腸X線検査と血管造影の果たす役割りを考えてみる.

下部消化管出血の内視鏡診断

著者: 吉田豊 ,   福士道夫

ページ範囲:P.1435 - P.1440

はじめに
 出血源の確認,早期診断と早期治療を目的とした緊急内視鏡検査は,上部消化管出血において既に一般的対策として確立されている.最近の内視鏡検査法の進歩およびファイバースコープの改良は,上部消化管出血に対する既念を下部消化管出血に応用することを可能にした.下部消化管出血に対する緊急内視鏡検査は,1971年Pragueで開かれた国際シンポジウム「Urgent Endoscopy of Digestive and Abdominal Disease」においてOtto1)やMarco2)によつて報告され,わが国でも青木3),多田4,5),前田ら6)によつて報告されている.しかし下部消化管出血はその病態および原疾患が多岐にわたることもあつて,上部消化管出血に対する緊急検査法ほど普遍的に施行されるにいたつてはいない.下血例の出血臓器別頻度は大部分が大腸で,小腸は2%以下である7-9)

出血源不明のときどうするか

著者: 土屋周二

ページ範囲:P.1441 - P.1444

出血源不明のときとは?
 下部消化管出血には大量か,少量か,潜出血か,出血の状況が急性か,一過性か,慢性かなどいろいろの出血のしかたがあり,その原因となる疾患の種類も非常に多い.上部消化管についても同様であるが,臨床上出血源探索がもつとも緊要な大量出血についてみると,両者の問に多少の違いがある.すなわち上部消化管大量出血は下部のものにくらべ頻度が高く,量も全身状態に深刻な影響を与える位大量のものが多いが,原因疾患は消化性潰瘍,急性胃粘膜病変,食道静脈瘤その他2〜3の疾患によるものが大部分を占め,診断も比較的容易なものが多い.一方下部消化管の大量出血の頻度は比較的少なく,とくにぬきん出て多い疾患があるわけではなく,また部位的関係から診断もやや手間がかかるきらいがあり,出血源が決定しにくい傾向がある.しかし,近年血管造影,内視鏡検査,核医学的診断1)などが著しく発達し,とくにいわゆる緊急内視鏡2)検査も上部消化管の場合とほぼ同じ位の役割りを持つことが認識されて来た.またこれらと相まつて従来原因不明の大腸出血のなかに包含されていた可能性のある多くの病態,たとえばCampylobacter腸炎3),アフタ性腸炎4),虚血性腸炎,angiodysplasia of the gut5-7),などが解明された.このようにして近年では出血源不明と考えられる下部消化管出血は診断技術を駆使することにより非常に少なくなつたと考えられる.

カラーグラフ 臨床外科病理シリーズ・9

早期胃悪性リンパ腫—表層型悪性リンパ腫の1例

著者: 廣田映五 ,   大坊昌史 ,   板橋正幸 ,   小黒八七郎 ,   北岡久三 ,   笹川道三

ページ範囲:P.1412 - P.1413

 腹痛などの自覚症状が約4カ月続いたので上部消化管の精査を希望し来院して発見された早期胃悪性リンパ腫の1例を提示する.
 症例 33歳.男.

座談会

下部消化管出血をどうするか

著者: 岡部治弥 ,   高橋孝 ,   馬場正三 ,   武藤輝一

ページ範囲:P.1446 - P.1459

 大腸疾患の増加に伴い主訴としての下血が増えているという.
 痔疾との鑑別は勿論大切であるがどこから出血しているのかを見極めることが診断の第一歩であろう.

ここが知りたい 臨床医のためのワンポイントレッスン

高血圧患者術後早期の降圧剤の選び方・使い方は?

著者: 平澤博之 ,  

ページ範囲:P.1462 - P.1462

 A;高血圧症治療の原則は,血圧を適切なレベルに維持し,脳,心臓,腎臓等の高血圧のtarget organの障害の進行を抑え,合併症を予防し,患者の長寿を全うさせる事にある.したがつて,高血圧症患者における術後管理も,あくまでもこの基本方針の延長上にある事を,まず念頭に置くべきである.
 術後高血圧症を呈する患者に接した場合,まずその高血圧の原因が何であるかを十分に検討すべきである.高血圧症患者の大部分は,いわゆる本態性高血圧であるが,他に原因の明らかな二次性高血圧として,腎血管性高血圧症や,副腎皮質ないし髄質の病変(pheochromocytoma)による高血圧症等がある.さらにsymptomaticなものとして,術後疼痛や,排尿困難といつた,ごく単純な原因で高血圧を呈する患者もあり,これらsymptomaticな高血圧症患者では,その原因を除去してやれば,通常血圧は下降して来る.

文献抄録

肝切除150例の経験

著者: 森俊治

ページ範囲:P.1463 - P.1463

 1964年10月から1982年3月までの17年間にStarzlらの肝移植グループがコロラド大学とピッツバーグ大学でおこなつた150例の肝切除の成績を報告している.
 対象は,年齢が11カ月から77歳まで及びこのうち14例は16歳以下である.男女比は,悪性腫瘍に関しては同等であるが,腺腫とfocal nodular hyperplasiaに関しては女性が多い.肝切除例は年々増加し,その内訳は原発性肝癌43例,転移性肝癌43例,良性疾患64例である.腺腫の1例は肝切除後1年で残存肝再発のため肝移植を受けた.

新形影夜話・9

主治医の心掛け

著者: 陣内傳之助

ページ範囲:P.1464 - P.1465

 このたびは主治医として患者を受け持つときの心構えについて話してみたい.
 まずその患者の外来カルテを見て,その人の年齢,職業,結婚歴,家族構成,前病歴などを知り,次いで初診してみて,その患者の性格,日課,習慣,家庭における経済的背景ならびに生活環境をよく把握しておくことが必要である.病歴をとる際,神経質な人は誇張して過大に訴えるものであり,呑気な人はかなり重要な自覚症状があつても,こちらから聞かなければ言わない人もあるからである.

画像診断 What sign?

"windsoch" deformity

著者: 佐藤豊

ページ範囲:P.1467 - P.1467

 十二指腸膜様閉塞は小児期にみられる稀な十二指腸の狭窄性病変である.一部に開口部を有する十二指腸の膜様物(duodenal webあるいはdiaphragin)はVater乳頭の近くに付着し,蠕動により吹流し(windsoch)状に拡張を呈する.腸管回転異常,内臓逆位などの合併奇型を有することも多く,胆管が膜様物の表面に開口する場合もある.通常,近位消化管の閉塞症状で新生児〜乳児期に発症するが,年長児で反復性嘔吐にて発症することもある.腹部単純X線像は十二指腸の不完全閉塞のパターンを呈し,十二指腸狭窄,輪状膵,中腸軸捻などとの鑑別を要する.上部消化管造影所見は非常に特徴的であり,"吹流し"状の十二指腸の拡張("windsoch" deformity)と蠕動亢進がみられ,薄い半月状のwebによる陰影欠損を認める(図1).
 本症は術中直視下でも病変の確認が困難であることもあり術前の造影検査による診断が重要である.治療はVater乳頭を確認した上でwebの切除を行う.

外科医のためのマイコン・ガイド・3

術前・術後の輸液輸血メニュー—メニュー2:電解質異常の診断と治療方針 メニュー3:血液ガス分析からみた診断と治療

著者: 進藤勝久

ページ範囲:P.1469 - P.1475

1.はじめに
 前回のプログラミングではまず流れ図を中心にフォーマッティングをし,変数名と計算式をきめてからBASICを使うという,マクロからミクロへとtop down式に進む方法についてのべた.実際には患者氏名や身長体重など共通項目を入力したあと,プログラムの目次ともいうべきメニューを表示して,その中から実行したいところを選択して入力するという方法であつた.今回はメニューで2を選択した時の分岐先のプログラムを組む.それには前回と逆に細部(末梢)から中枢へとbottom up式にプログラミングをしてみる.

臨床研究

早期乳癌発見のためのDuctgraphyの意義

著者: 岡崎正敏 ,   村松幸男 ,   松江寛人 ,   七沢武 ,   山本浩 ,   板橋正幸 ,   廣田映五

ページ範囲:P.1477 - P.1482

はじめに
 乳頭分泌(Nipple Discharge,以下N.D.と略す)は早期乳癌の症状の1つとして重要である.N.D.を有する患者の頻度は,乳房撮影(以下,M.M.G.と略す)施行例の5%内外である.しかし,N.D.患者の約半数以上は,触診上何ら腫瘤を触れない.すなわち,これらの症例の大多数は乳管内に限局した小病変が多いためである.これらN.D.症例としては乳管内乳頭腫と乳管内進展型の癌が最も代表的である,従つてN.D.を有する患者の取り扱い方が早期乳癌の発見に重要な問題となつてくる.
 著者らはN.D.症例に対して,まず,圧迫スポット撮影を含めたMMGを行い,MMGで明らかな癌の所見がえられない場合,積極的に乳管造影(D.G,)を行つている.

手術後低酸素血症および肺合併症の予防—経皮的気管内細管法の応用

著者: 原田邦彦 ,   浜口伸正 ,   佐尾山信夫 ,   島田良昭 ,   南本智史 ,   畠山茂毅 ,   井上権治

ページ範囲:P.1483 - P.1489

 はじめに
 侵襲の大きい手術,高齢者の手術後などに発生し易い低酸素血症や肺合併症に対する治療は気管支ファイバースコープの汎用により成績が向上して来た.しかしなお,頑固な換気障害が続く場合も少なくない.経鼻法などにより酸素投与を行つてもPaO2が70〜75mmHgまでしか上がらないが,気管挿管や気管切開などの負担の大きい処置はしたくないという場合がしばしば経験される.この様な状態に対してはそれ以後に起こるかもしれない肺合併症や心肺負荷状態への危惧を含め,適切な利用し易い治療法が求められるところであるし,また多くの工夫が報告1)されている.
 著者らは経皮的に頸部気管内に細いチューブを刺入し,そのまま留置して,これより酸素を送気する方法(percutaneous Intra-tracheal Canulation,以下PITCと略す.)を試行したところ,予想以上にPaO2の上昇,PaCO2の正常化が得られ,また,このチューブはそのま気道内分泌物の吸引にも利用出来るなど,呼吸管理法として極めて有効な方法であることが判つた.その臨床効果ならびに実験的に本法施行時の換気の病態生理を検討した.

腎血管性高血圧症に対する経皮的血管拡張術

著者: 佐々木久雄 ,   前山俊秀 ,   大熊恒郎 ,   大原到 ,   阿部圭志 ,   樋渡正夫 ,   三浦幸雄 ,   富岡洋

ページ範囲:P.1491 - P.1494

はじめに
 腎血管性高血圧症の治療は従来の外科的な腎動脈血行再建術に加え,最近ではアンギオテンシン変換酵素阻害剤を中心とした内科的治療が主体をなしているものの,外科的治療は手術侵襲の点で,内科的治療は患側腎の腎機能低下の点で不利な面を有している.
 最近,Gruntigら1)はバルーンカテーテルを用いて腎動脈狭窄部を経皮的に拡張するPercutaneous Transluminal Angioplasty(PTAと略す)法を発表し,外科的治療ならびに,内科的治療法を補う治療法として期待されている.しかし,本法について,カテーテルを通した遠隔操作であること,単に狭窄部を拡張する術式であることから,長期開存性,拡張の可能性,合併症の発生を危惧する意見も多い.

臨床報告

開業医にて経験した悪性高熱症の1例

著者: 土居治 ,   木山敞

ページ範囲:P.1495 - P.1499

はじめに
 悪性高熱症(以下,MHと略)の報告は,年々増加しているが,いまだに半数以上が死亡している.それだけに,術前診断の困難な本症は,重篤な麻酔合併症であると言わざるをえない.最近,胃癌手術中に,MHと思われる症例に遭遇したので,ここに報告する.

外傷性胆道出血の治験例

著者: 石田薫 ,   菅野千治 ,   金直樹 ,   森昌造 ,   桑田雪雄 ,   増山仁徳 ,   星秀逸

ページ範囲:P.1501 - P.1505

はじめに
 吐下血をきたす上部消化管出血のうち,胆道出血は比較的まれとされている.われわれは,肝生検後に肝管動脈瘻を形成し,胆道出血で出血性ショックに陥つた症例に対し,術前の血管造影で出血部位を診断し,手術により治癒せしめたので文献的考察を加え報告する.

後腹膜線維症の1治験例

著者: 夏越祥次 ,   田辺元 ,   松野正宏 ,   西満正 ,   坂江清弘

ページ範囲:P.1507 - P.1511

はじめに
 特発性後腹膜線維症は世界中では500例以上の報告があるが,本邦では比較的稀な疾患である.線維塊摘出と左腎摘による1治験例を報告する.

総腸間膜症を伴つた右旁十二指腸ヘルニアの1症例

著者: 炭山嘉伸 ,   小沢義行 ,   草地信也 ,   鈴木秀明 ,   鶴見清彦

ページ範囲:P.1513 - P.1516

はじめに
 内ヘルニアは,比較的稀な疾患であり,労十二指腸ヘルニアが,過半数を占める.今回われわれは,総腸間腸症を伴つた右旁十二指腸ヘルニアという極めて稀な一症例を経験し得たので,本邦文献的考察を加え報告する.

特発性大網捻転症の1例

著者: 横井公良 ,   鄭淳 ,   木内博之 ,   飯田安彦 ,   井出裕雄

ページ範囲:P.1517 - P.1520

はじめに
 大網捻転症とは,大網の一部あるいは,全体が捻転し,その末梢が血行障害に陥るものであるが,定型的臨床症状を欠くため適確な術前診断の極めて困難な疾患のひとつである.
 本症は捻転を生ずる器質的原因の有無により,続発性と特発性に大別されているが,1858年Marchetteによりはじめて報告されたものは続発性であつたとされ,特発性のものは1899年Eitelにより最初に報告された.以後1981年までに欧米では,Basson1)の集計によれば223例の特発性大網捻転症が数えられている.

両側大腿動脈瘤の再発を繰り返したVasculo-Behcet病の1例

著者: 梅林雄介 ,   村田和武 ,   有川和宏 ,   下川新二 ,   丸古臣苗

ページ範囲:P.1521 - P.1524

はじめに
 ベーチェット病(以下BD)は,広範かつ多彩な症状を反復再燃しつつ慢性遷延性の経過を辿るが,血管系に主病変を来すものはVasculo-Behcetと呼ばれている.最近われわれは,両側の大腿動脈に動脈瘤が反復発生し,5回の手術を行つたVasculo-Behcetの1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

Pneumatosis Intestinalisを伴つた多発外傷の1治験例

著者: 水野弘 ,   栗原正典 ,   山田国正 ,   大舘敬一 ,   亀谷忍 ,   飯島登

ページ範囲:P.1525 - P.1529

はじめに
 Pneumatosis Intestinalis1)(以下P-Iと略す)は,腸管壁内ガス,腸間膜静脈内ガス,門脈内ガスの経路をたどり予後不良の合併症あるいは徴候として知られ,Pne—umatosis Cystoides Intestinalis2)とは,臨床症状及び経過が異なつている.P-Iによる門脈内ガス血症の報告は少なくわれわれの集計では,本邦5例の報告があるにすぎない.われわれは,全身多発外傷受傷後腹部単純撮影にて経過観察中にP-Iを発見し,腹部血管造影にて,上腸間膜動脈(以上SMAと略す)及び下腸間膜動脈(以下IMAと略す)にわたる広範囲の虚血部位を確認したが,全身状態不良のため大量腸管切除は致命的だと考えた.このためプロスタグランディンE13))(以下PG—E1と略す)の持続動注をSMA,IMAへの留置カテーテルより行い腸管虚血範囲の縮小を図り,受傷後第8病日に開腹,腸管壊死部を切除し,P-Iにより発見した外傷性虚血性腸炎を救命しえたので若干の文献的考案を加えて報告する.

結節性動脈周囲炎による多発性小腸穿孔および大腸壊死の1例

著者: 瀬藤晃一 ,   西尾幸男 ,   野村秀明 ,   中村守 ,   木全博巳 ,   山本正博 ,   藤田茂夫 ,   五百蔵昭夫 ,   植松清 ,   大西一男 ,   種本基一郎

ページ範囲:P.1531 - P.1536

はじめに
 結節性動脈周囲炎(以下PNと略す)は全身の中小動脈に好発する系統的血管炎で,極めて多彩な臨床症状を呈する比較的予後の悪い疾患である.われわれは最近PNの血管性変化のために回腸に多発性の潰瘍と穿孔,下行結腸より直腸にかけて腸管の硬塞,壊死をきたした症例を経験したので,若干の文献的考察を加えることともに本邦のPNの腸管穿孔,壊死症例を集計し報告する.

Exulceratio simplex(Dieulafoy)の1症例

著者: 近藤肇彦 ,   西島早見 ,   西井博 ,   小笠原邦夫 ,   高井茂治 ,   赤木郷

ページ範囲:P.1537 - P.1540

はじめに
 上部消化管出血は適切かつ迅速な救急処置を必要とする重篤な疾患であり,しかも第一線の臨床医にとつて,しばしば遭遇する緊急事態のひとつといえよう.出血をきたす原疾患は種々のものがある.その疾患のひとつとしてExulceratio simplex(以後Esと略す)がある.
 今回,著者らは本症を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

内分泌非活性ステロイド過剰産生型副腎皮質癌の1例

著者: 石神博昭 ,   山中義秀 ,   佐藤英樹 ,   小川清 ,   山路正文 ,   谷山新次 ,   柏木福和 ,   伊藤健次郎 ,   藤本茂 ,   奥井勝二

ページ範囲:P.1541 - P.1544

はじめに
 副腎皮質癌は極めて稀な疾患であるが,そのうちホルモン産生能を有するものは産生ホルモン過剰より起こる特徴的病態により早期診断が可能である.一方,ホルモン産生能を有しないものは,他の後腹膜腫瘍と同様巨大腹部腫瘤によりはじめて発見される事が多く,従つて予後も不良である.
 今回著者らは,右下腹部痛を主訴として来院した本症の1例を経験し手術前後の内分泌学的検索を行つたので報告する.

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雑誌「SURGERY」最新号目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.1476 - P.1476

SURGERY—Contents, September 1983 Vol.94, No.3 ©By The C. V. Mosby Company
 今回,米国Mosby社の御好意により,世界的な外科雑誌"Surgery"の最新目次を,日本の読者にいち早く,提供出来るようになりました。下記の目次は,発売前にファックスで送られてきたものです。この雑誌"Surgery"御購読は,医学書院洋書部(03-814-5931)へお申込み下さい。

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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