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文献詳細

雑誌文献

臨床外科38巻10号

1983年10月発行

特集 下部消化管出血

出血源不明のときどうするか

著者: 土屋周二1

所属機関: 1横浜市立大学医学部第2外科

ページ範囲:P.1441 - P.1444

文献概要

出血源不明のときとは?
 下部消化管出血には大量か,少量か,潜出血か,出血の状況が急性か,一過性か,慢性かなどいろいろの出血のしかたがあり,その原因となる疾患の種類も非常に多い.上部消化管についても同様であるが,臨床上出血源探索がもつとも緊要な大量出血についてみると,両者の問に多少の違いがある.すなわち上部消化管大量出血は下部のものにくらべ頻度が高く,量も全身状態に深刻な影響を与える位大量のものが多いが,原因疾患は消化性潰瘍,急性胃粘膜病変,食道静脈瘤その他2〜3の疾患によるものが大部分を占め,診断も比較的容易なものが多い.一方下部消化管の大量出血の頻度は比較的少なく,とくにぬきん出て多い疾患があるわけではなく,また部位的関係から診断もやや手間がかかるきらいがあり,出血源が決定しにくい傾向がある.しかし,近年血管造影,内視鏡検査,核医学的診断1)などが著しく発達し,とくにいわゆる緊急内視鏡2)検査も上部消化管の場合とほぼ同じ位の役割りを持つことが認識されて来た.またこれらと相まつて従来原因不明の大腸出血のなかに包含されていた可能性のある多くの病態,たとえばCampylobacter腸炎3),アフタ性腸炎4),虚血性腸炎,angiodysplasia of the gut5-7),などが解明された.このようにして近年では出血源不明と考えられる下部消化管出血は診断技術を駆使することにより非常に少なくなつたと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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