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文献詳細

雑誌文献

臨床外科38巻11号

1983年11月発行

新形影夜話・10

術者の責任感

著者: 陣内傳之助12

所属機関: 1大阪大学 2近畿大学医学部附属病院

ページ範囲:P.1620 - P.1621

文献概要

 医師としてもつとも欠くべからざる条件は責任感である.細心の注意をもつて一分の隙もない処置をとることは,生命を預かる医師にとつては当然のことである.なかでも外科医には直接生命の危険に曝される手術ということがあり,その上これは常に数人のチームによつてなされるものであるから,自分一人の問題ではなく,チームの一員の失敗でも術者が責任をとらねばならない.この点,内科系の医師となると,自分一人単独で患者の診察,治療を行うことが可能であるので,自然立場が違つてくる.すなわち内科では一人一人の自己の責任で自分の思うような治療ができるが,外科では術者を中心とした一致協力がなければ,いい手術はできない.したがつて外科医にはおのずからチームの一人一人に協調の精神がなくてはならないし,術者には助手を手足のように使いうるあたかもシンフォニーの指揮者のような統率力が必要となつてくる.
 もちろん,必要な場合には参加している各員の衆知を集めることもないではないが,これは術前のカンファレンスでほぼ方針は決つていることが多い.それでも手術の途中で思わぬ所見に遭遇したり,不慮の事故が起こつたりすると,術者は各メンバーの意見を聞かねばならぬこともある.しかし,協議の結果,方針の決定は,術者自身が毅然とした態度で全責任をもつてなすべきものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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