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文献詳細

雑誌文献

臨床外科38巻12号

1983年12月発行

特集 プラスマフェレーシス

治療への応用—腎疾患

著者: 塚田隆1 田島惇1 阿曽佳郎1

所属機関: 1浜松医科大学泌尿器科

ページ範囲:P.1727 - P.1731

文献概要

はじめに
 血漿交換療法(plasmapheresis;plasma ex-change)を臨床上初めて用いたのは,1963年のSolomon,Fahey1)である.彼らはマクログロブリン血症の治療に応用した.1975年,Lockwoodら2)によりGoodpasture症候群に対し血漿交換が施行され,それ以降種々の腎疾患の治療にも応用されてきた.
 これまでに血漿交換の応用が報告された腎疾患の一覧を表1に示す3).ループス腎炎(SLE腎症),急速進行性糸球体腎炎(RPGN),Goodpas-ture症候群,原発性糸球体疾患,多発性骨髄腫における腎障害(いわゆるmyeloma kidney),移植腎拒絶反応など数多くの疾患の治療に応用されている.その効果は主として循環血液中ないし組織に沈着した抗基底膜抗体やimmune complexの除去に基づいていると考えられているが,依然その詳細な機序は不明である.血漿交換は概念的には古くからあるが,臨床への応用という見地からはまだ新しい試みである.血漿交換の腎疾患への適応については,抗原,抗体,免疫複合体が複雑にからむ腎の免疫疾患や移植後拒絶反応,異常蛋白が血中に増加する高粘度症候群(hyperviscosity syndrome),悪性腫瘍における免疫異常,蛋白と結合する薬物の中毒などが考えられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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