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文献概要
特集 脾摘をめぐる話題
外傷性脾損傷—脾摘の是非
著者: 前川和彦1
所属機関: 1北里大学医学部外科・救急センター
ページ範囲:P.209 - P.214
文献購入ページに移動はじめに
脾臓は肝臓,腎臓と並んで鈍的外力により最も損傷を受けやすい腹腔内実質臓器の一つである.また,腹部手術に際しての偶発的脾損傷(副損傷ともいう)は,稀ではあるが目新しいものでもない.偶発的脾損傷の多くは小さな脾被膜の剥離傷であつて,経験のある外科医ならば一度ならず圧迫によつて止血を試みたことがあるはずである.しかし一般的には,外傷性脾損傷,偶発的脾損傷の治療には脾臓摘除術(以下,脾摘と略す)が遍く行われてきたし,現在も行われている.1979年版の外傷外科学の教科書においてもなお"Splenec—tomy remains the only acceptable treatmentfor splenic injury"と記されている1).
一方,1952年KingとSchumacker2)が乳児期の脾摘とその後に起こる重症敗血症の関係を指摘して以来,多くの所謂脾摘後敗血症(post-splenec—tomy sepsis)症例が報告され,外傷外科医の間では脾摘に伴う危険性が認識されるようになつてきた.昨今では損傷脾温存が,外傷外科領域の一大トピックとなつている.
脾臓は肝臓,腎臓と並んで鈍的外力により最も損傷を受けやすい腹腔内実質臓器の一つである.また,腹部手術に際しての偶発的脾損傷(副損傷ともいう)は,稀ではあるが目新しいものでもない.偶発的脾損傷の多くは小さな脾被膜の剥離傷であつて,経験のある外科医ならば一度ならず圧迫によつて止血を試みたことがあるはずである.しかし一般的には,外傷性脾損傷,偶発的脾損傷の治療には脾臓摘除術(以下,脾摘と略す)が遍く行われてきたし,現在も行われている.1979年版の外傷外科学の教科書においてもなお"Splenec—tomy remains the only acceptable treatmentfor splenic injury"と記されている1).
一方,1952年KingとSchumacker2)が乳児期の脾摘とその後に起こる重症敗血症の関係を指摘して以来,多くの所謂脾摘後敗血症(post-splenec—tomy sepsis)症例が報告され,外傷外科医の間では脾摘に伴う危険性が認識されるようになつてきた.昨今では損傷脾温存が,外傷外科領域の一大トピックとなつている.
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