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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科38巻3号

1983年03月発行

雑誌目次

特集 腹部外傷の超音波診断

肝臓外傷

著者: 吉井宏 ,   山本修三 ,   茂木正寿 ,   高梨利次

ページ範囲:P.315 - P.323

はじめに
 鈍的外力による腹部実質臓器損傷の映像診断法,すなわち血管造影やCTスキャンなどの診断的意義について,しばしば述べてきたが1-3),近年,目覚しい進歩を示す超音波診断法は,血管造影,CTスキャンにくらべ侵襲が少なく,操作が簡便で,救急処置室のベッド上で患者を診察しながら検査を行えるなどの利点により,腹部外傷に対しても急速に普及しその有用性が評価されつつある4-6)
 本稿では,肝損傷に対する超音波診断の意義について,症例を示しながら,CTスキャンとの比較を中心に検討を加えてみたい.

脾臓外傷

著者: 松本廣嗣 ,   真栄城優夫 ,   当山勝徳 ,   平安山英盛 ,   大久保和明 ,   宮城良充 ,   伊江朝次 ,   上原哲夫

ページ範囲:P.325 - P.333

はじめに
 脾臓は鈍的腹部外傷により,肝,膵に次いで損傷を受け易い実質臓器である1,2).中部病院で過去14年間に手術された脾損傷は107例にのぼるが,単独損傷は25例(23.4%)のみで,他の腹部内臓損傷を伴う合併損傷が24例(22.4%)腹部以外の臓器損傷を伴う多発損傷が58例(54.2%)と過半数を占めており,他臓器損傷にマスクされて見過される場合もあるので,注意を要する.
 最近の画像診断の進歩は外傷の臓器診断を可能にしたが,ことに超音波断層法の果す役割は大きい.またその適応と限界は今後の課題であると思われるが,補助診断法としての超音波検査の意義及び脾外傷の超音波検査所見について自験例をもとにまとめた.

膵臓外傷

著者: 冨田周介 ,   伊吹康良 ,   工藤正俊 ,   藤見勝彦 ,   小森英司 ,   遠藤義彦 ,   沖本芳春 ,   藤堂彰男 ,   北浦保智 ,   高橋朗 ,   林雅造 ,   佐藤守 ,   石川稔晃 ,   黒木輝夫

ページ範囲:P.335 - P.341

はじめに
 超音波検査法は無侵襲にしてかつ装置のポータブル化によりベッドサイドでも施行でき,また即時的に結果を得られる等の利点がある.このことは患者が往々にして重篤で,迅速な診断を求められる急性腹症や腹部外傷の診断法として本検査法は最も適していると思われる.従来このような患者における検査法としては腹部単純写真が最も一般的なものであつたが,われわれは超音波検査法を装置がポータブル化されて以来,first choiceの検査法として用いて来た.その結果多くの腹部疾患について迅速,かつ正確な診断を得ることが可能であつた1).今回著者らは術前に超音波検査を施行し,診断可能であつた数症例について供覧し,膵外傷に対する本法の有用性について検討した.

腎臓,後腹膜外傷

著者: 平敷淳子

ページ範囲:P.343 - P.347

はじめに
 腎外傷の約70%は鈍傷blunt traumaであり,症状は多くの場合出血である.腹壁が薄く,骨格も強靱でない小児では外傷により腎が損傷を受ける頻度は高く,また重篤な外傷性変化ともなりうることが多い.特に馬蹄腎等先天性奇型を伴う時には腎外傷を受けやすい状態にあると言える.
 腎,後腹膜腔の解剖学的な関係やそれらで起こつた病変の内部構築は確かにCT像で明瞭に描画される(図1).しかし任意の断面像が容易に得られ,機能に関係なく実質臓器の形態診断が可能な超音波診断は外傷時の診断にも広く応用されている.

カラーグラフ 臨床外科病理シリーズ・3

食道の"いわゆる癌肉腫"

著者: 板橋正幸 ,   廣田映五 ,   飯塚紀文 ,   平嶋登志夫

ページ範囲:P.312 - P.313

 食道の隆起性病変の一つとして,念頭においておかねばならぬものに"いわゆる癌肉腫"がある.「癌肉腫」とはもともと,上皮性と非上皮性の各々の悪性成分を,同一病巣内に同時に有する悪性腫瘍と定義づけられ,1904年にHansemanが食道で初めての"癌肉腫"を報告した.以来70症例以上の報告がなされているが,そのcelloriginに関しては種々の議論がある.最近では著者らの意見を含め,本腫瘍の一元説,すなわち,肉腫成分と呼ばれているものは上皮性成分の紡錘状,肉腫様増殖あるいはそれに反応性非腫瘍性間質増生が加わったものであるとの考えが,優勢を占めている.しかし,真の癌肉腫が全く存在しないと断定されたわけではなく,真の癌肉腫(true carcinosarcoma)と,"いわゆる癌肉腫(so-called carcinosarcoma)"〔"carcinoma with sarcom-atous proliferation of carcinoma cells"or "car-cinoma associated with both its spindle cell thans-formation and a reactive desmoplastic change ofstroma"〕とに区別して呼んでいる.
 国立がんセンターで過去約17年間に認めた6例の手術症例は全て"いわゆる癌肉腫"の方であつた.本症例はその代表的な一例である.

文献抄録

脾の機能温存のための脾切片の大網内移植法

著者: 稲田高男 ,   石引久彌

ページ範囲:P.351 - P.351

 脾摘に伴う障害は外科領域で急速に関心が深まつており,外科医は種々の方法で脾機能の維持をはかつている.脾の修復が不可能な場合,脾のスライスを大網で作つたポケットに移植することは安全,容易,かつ合理的な脾機能温存法である.

新形影夜話・3

母性愛と父性愛

著者: 陣内傳之助

ページ範囲:P.352 - P.353

 医師,看護婦に限らず,医療従事者のすべてが病苦を背負つている患者に対して常に仁愛の情をもつて接すべきものであることは当然のことである.
 しかしながら,同じく愛情といつても,対象である患者の年齢や性格や病状によつて,また患者が現在置かれている状態や家庭環境や経済状態によつて,患者への愛情の表現はその場その場で違つた形をとるべきものである.あるときは励まし,あるときは慰め,小児などに対しては騙しすかし,またあるときは叱らねばならないこともある.

ここが知りたい 臨床医のためのワンポイントレッスン

一次救急に最少限そろえたい器具薬剤は?

著者: 福島恒男 ,  

ページ範囲:P.354 - P.354

 A;一次救急外科外来には一応すべての外科的救急患者の来院が予想され,大部分はそこで処置を受け,ごく一部は二次,三次の救急病院へ転送される.理想的にはほとんどの外科的処置用器具と薬剤,ならびに転送するまでの間,患者の状態を維持する器具と薬剤,それらを熟知した外科医の存在が必要である.しかし現実にはすべてのものを設置することは容易ではなく,最少限と言う条件のもとに列記していきたい.

画像診断 What's sign?

腹腔内液体貯留—傍結腸溝の開大—widening of the paracolic gutter

著者: 佐藤豊

ページ範囲:P.359 - P.359

 遊離した腹水あるいは血液などは腹腔内で骨盤腔,傍結腸溝,右側の横隔膜下腔などに貯留する傾向がある.腹腔内臓器の後腹膜への付着部位すなわち腹膜の折れ返り(peritoneal reflection)の概略は図1のごとくであり,背臥位ではダグラス窩およびモリソン窩が腹腔中で最も低い部分(すなわちdependent portion)となり,遊離した液体の貯留しやすい部分となる.右の傍結腸溝は左側に比べて幅が広く,深さも深いために液体がより貯留しやすく,下方はダグラス窩に上方ではモリソン窩あるいは右横隔膜下腔に連続する.反面,左傍結腸溝では左横隔膜下腔との間に,横行結腸と横隔膜を結ぶ間膜(phrenocolic ligament)が存在することから遊離液体の貯留に際して右側ほど開大を示さない.
 腹部正面単純X線像では,腹腔の外側縁の示標として側腹線(flank stripe)が用いられ,posterior para-renal fatの連続であるproperitoneal fatの透亮像として描出される.ゆえに傍結腸溝の開大は側腹線と上行あるいは下行結腸ガスの開離として観察され,腹水貯留や腹腔内出血などの診断の際のチェックポイントとなる(図2).

Report from overseas

米国における超音波診断(その5)—腎臓の手術への応用

著者: 町淳二 ,   ,   ,   ,  

ページ範囲:P.361 - P.366

はじめに
 超音波法の手術中への応用は,1961年,Schlegelらが1),腎結石の手術にA-mode装置を使用したことにはじまる.その後,このA-mode超音波法による腎臓の術中での報告がみられたが2),腎結石によるA-mode spikeの判別の困難さから,この方法はあまり広く応用されなかつた.
 これに対し,1977年,CookとLyttonは3),B-mode超音波法を腎結石の手術にはじめて応用した.彼らは10MHzのtransducerを用い,11例の臨床例を通して,B-mode法が腎結石の存在部位の決定と,結石の除去に有用な方法であることを強調している.彼らはまた,術中における腎結石の検索および結石除去を行う上で,operative X-ray,nephroscope,Plasma coagulumの使用などと比較しても,B-mode超音波法が非常に優れていると述べている4,5)

外科医の工夫

新しい内シャント作製術の考案

著者: 船木治雄 ,   広瀬脩二 ,   大田早苗

ページ範囲:P.367 - P.369

はじめに
 われわれは1971年2月末から1982年7月末までに160例の慢性腎不全の患者に対し,222回の内シヤント作製術を施行した.222回の手術のうち,2度以上にわたる再手術の回数は62回である.
 内シャント手術で再手術を要するような症例は,──技術的な要因をこえて──閉塞し易い全身的3),局所的な要因1)があつて,作つても作つても次々と閉塞を起こして,ついに両前腕のどこにも,もはや内シャントを作る場所がなくなつてしまうという症例に遭遇する.

臨床研究

先天性胆管拡張症の手術成績

著者: 菅野千治 ,   岡田恒良 ,   大森英敏 ,   平田善久 ,   小野寺健一 ,   斉藤和好 ,   森昌造

ページ範囲:P.371 - P.376

はじめに
 先天性胆管拡張症はDouglas1)により1852年に独立疾患として最初に報告された,その後,報告が相次ぎ,1975年にはFlanigan2)が955例を集計報告している.本邦でも,1981年8月に開催された第17回胆道疾患研究会では「成人にみられた先天性総胆管拡張症」が主題の1つとなり,81題で1,203例の症例が発表された.本症は比較的稀な疾患とされているが,本邦に多く,Flanigan2)の955例の報告でも3分の1以上は本邦例であるとしている.
 近年,PTCやERCPといつた直接胆道造影法や超音波エコー,CT等の開発,普及により本症に遭遇する機会がさらに増加するものと思われる.一方,本症の治療においては種々の問題点が指摘されている.つまり,本症には,肝内結石3),胆道癌4),膵管胆管合流異常5)を伴う率が高いことなどから,治療に難渋する例も少なくなく,本症の外科的治療法については議論の多いところとなつている.

原発性上皮小体機能亢進症の局在診断—選択的静脈採血法の問題点

著者: 森田穣 ,   篠原正裕 ,   石塚玲器

ページ範囲:P.377 - P.382

はじめに
 原発性上皮小体機能亢進症は,本症に対する関心の高まりと共に,臨床病型上での骨病変型が減少し,不顕型,腎結石型が増加する傾向にある.これらは症状も軽微で,腫瘍径は小さく,腫瘍重量も軽いため,術中の病巣診断に苦慮する場合が少なくない.いつぽう,本症の局在診断は超音波診断法,201Tl-chlorideと99mTc-per—technetateを用いた核医学的診断法,Computed to—mographyなどがスクリーニング法として用いられるようになり,その局在診断率も向上しつつあるが,過機能性腫瘍である本症の局在診断法としては,腫瘍の所属還流静脈より選択的に採血し,Parathyroid hormone値(以下PTH値と略す)よりその局在を推定する選択的甲状腺静脈採血法が最も合理的である.今回われわれは,自験例を中心に選択的甲状腺静脈採血法の問題点に検討を加えたので報告する.

大腸癌による急性大腸閉塞例の検討

著者: 豊島宏 ,   板東隆文

ページ範囲:P.383 - P.387

はじめに
 大腸癌による狭窄が進行し,完全閉塞となり,排ガスや排便が停止し,高度の腹部膨満をきたすいわゆる急性大腸閉塞は,以前は比較的めずらしい疾患であつたが,最近は日常の臨床でむしろしばしば遭遇するようになつてきている.高齢の患者で,開腹手術の既往歴のない腸閉塞では,まず本症を疑う必要がある.
 本症は緊急手術の適応であり,充分な術前準備はできず,また,水様便によつて高度に拡張した結腸に対して手術操作を加えるため手術riskが高く,遠隔成績も不良とされている.安全に手術を行い,かつ遠隔成績の向上を計るためにどのような術式を選ぶかについて種々意見の分かれるところである.

臨床報告

脾動脈瘤の1治験例

著者: 亀山雅男 ,   岡本信洋 ,   土井修 ,   岩永剛 ,   北村次男 ,   大川元臣 ,   建石竜平

ページ範囲:P.389 - P.392

はじめに
 脾動脈瘤は,1770年Beaussier1)の報告以来,欧米では数多くの報告がみられ,本邦でも1911年吉田2)の剖検報告以来,自験例を含めて72例の報告がある.元来特異的な症状に乏しいため,剖検時または動脈瘤の破裂,あるいは手術中偶然に発見されることが多かつたが,近年選択的血管撮影の普及でかなりの症例が術前に診断されるようになつた.われわれも胃集検で発見し,術前に脾動脈瘤の確定診断を得て,手術により治癒せしめた1症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

3個の原発性癌巣を有する食道多発癌の1例

著者: 森正樹 ,   松崎浩一 ,   松浦弘 ,   桑野博行 ,   杉町圭蔵 ,   井口潔 ,   小宮山荘太郎 ,   岩下明徳

ページ範囲:P.393 - P.396

はじめに
 食道内に主癌巣以外に副癌巣が存在する場合,多中心性に発生したもの(多発癌)と壁内転移によるものとが考えられるが,その鑑別が困難な場合も少なくない.今回われわれは術前に3個の癌巣を確認し,切除標本の病理検索にて原発性多発癌と診断しえた症例を経験したので,若干の考察を加え報告する.

Glucagonomaの1例及びその報告例に関する文献的考察

著者: 高在完 ,   竜崇正 ,   山本宏 ,   佐藤博 ,   松嵜理

ページ範囲:P.397 - P.402

はじめに
 極めてまれな疾患とされるGlucagonomaは,その特徴的といわれる皮膚病変がGlucagonoma症候群として重視され,歴史的にも初期には皮膚科領域で扱われる事が多かつた.しかし最近の免疫化学的検索法の進歩及び普及により,血中glucagon(lmmnoreactive glucagon以下IRGと略す)の測定や,病理組織標本の免疫組織化学的検索が比較的容易に行われるようになるにつれ,機能性島細胞腫としてのGlucagonomaの診断がより的確に下されるようになつてきている.われわれも最近,残念ながら術前にGlucagonomaとの診断を下し得なかつたものの,膵腫瘍として手術を施行し,その摘出標本の免疫組織化学的検索によりGlucagonomaと確定診断された1例を経験したので,外国報告例を含めた従来の報告例に関する若干の文献的考察を加え報告する.

糖尿病患者にみられたNon-clostridial Gas Gangreneの1例

著者: 沢田幸正 ,   菅野邦明 ,   山原慎一 ,   友岡和彦 ,   野村和夫 ,   小川俊一

ページ範囲:P.405 - P.408

はじめに
 Non-clostridial Gas Gangreneの1例を経験したので報告する.本症は,本邦での報告が少ないものの予後不良であり,早急にデブリドマンなどの外科的措置が必要であるという特徴を有する.

十二指腸狭窄を伴つた胆石合併成人型輪状膵の1治験例

著者: 星野澄人 ,   中村従之 ,   佐藤晴男 ,   沈秀明 ,   土江健嗣 ,   山田満昭 ,   鈴木正康 ,   市川正章

ページ範囲:P.409 - P.413

はじめに
 輪状膵は,膵頭からのびた過剰の膵組織が,十二指腸下行脚を輪状に取り囲む発生異常である.新生児期には,十二指腸閉塞または狭窄で緊急手術され,しかも他の合併奇形を多くみとめるのに対し,成人では,十二指腸狭窄症状に乏しく,無症状に経過する場合が多く,胃十二指腸潰瘍,胆石症,急性膵炎などの合併症で発見されることが多く,新生児輪状膵とは,病像を異にしている.成人型輪状膵は,本邦にては,現在まで66例の報告があるが術前診断並びにその導管系を明らかにしているのは,数例のみである.われわれは,最近低緊張性十二指腸造影及び内視鏡的膵管造影にて,術前診断しえた症例を経験したので,本邦報告例と合わせて,若干の文献的考察を加え報告する.

食道気管支瘻をきたした肺放線菌症の1治験例

著者: 碓氷章彦 ,   蜂須賀喜多男 ,   山口晃弘 ,   磯谷正敏 ,   近藤哲 ,   堀明洋 ,   安井章裕 ,   広瀬省吾 ,   山田育男 ,   深田伸二 ,   宮地正彦 ,   渡辺英世 ,   井上広治 ,   石川裕 ,   堀場通明

ページ範囲:P.415 - P.419

はじめに
 肺放線菌症を成因とする食道気管支瘻は非常に稀な疾患で,近年の抗生物質の進歩により放線菌症が激減したせいもあり,1951年Coleman1)の集計中に2例をみるのみで,本邦での報告例はみられない.最近われわれは,切除標本の病理学的検査により成因を肺放線菌症と診断し得た食道気管支瘻の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

術前に診断しえた同時性肝・胃重複癌の1治験例

著者: 李東雨 ,   長田栄一 ,   鈴木範男 ,   井川澄人 ,   広橋一裕 ,   成山多喜男 ,   木下博明 ,   酒井克治 ,   関守一 ,   朝井均

ページ範囲:P.421 - P.425

はじめに
 肝細胞癌ならびに胃癌は本邦では比較的多い疾患であるが,同時性肝・胃重複癌1)(以下本症)はこれまでに30例報告されているにすぎず,しかも術前に診断され,根治手術の施行された症例はきわめて稀である.われわれは最近,術前に本症と診断し,両者に根治手術を施行しえた症例を経験したので報告する.

早期食道癌の1切除例(胃癌との異時性重複癌)

著者: 門口幸彦 ,   和田康雄 ,   本間春城 ,   遠山和成 ,   山口雅崇 ,   冨元一彦 ,   大石恒夫

ページ範囲:P.427 - P.430

はじめに
 本邦における食道癌の死亡数は年間5,000名前後におよび,これは胃癌死亡の10分の1に相当する.食道癌の予後は一般に不良であるが,早期癌に関する限り予後良好である.しかし年間報告例は20名程度にすぎない.われわれは胃癌術後の経過観察中に内視鏡で食道癌を発見され,手術の結果早期食道癌であつた症例を経験したので,若干の文献的考察を加えここに報告する.

術前診断しえた極めて稀な胆嚢単独外傷

著者: 炭山嘉伸 ,   長尾二郎 ,   武田明芳 ,   鶴見清彦 ,   島田長也 ,   横山隆捷

ページ範囲:P.431 - P.434

はじめに
 非開放性腹部外傷における損傷臓器としての胆嚢内血腫は,肝胆道系損傷の合併例の形としてみられ,腹部内臓器損傷のうち1%前後と報告されている1).なかでも胆?単独の損傷は,極めて稀とされている.今回われわれは,家人の暴力に起因する外傷性非開放性胆嚢内血腫の一手術例を経験し,しかも術前,胆嚢単独損傷を診断しえたので,報告する.

腹部シンチグラフイ(99mTc標識赤血球)で術前診断しえた小腸大量出血の1例

著者: 里見昭 ,   石田清 ,   高田勇則 ,   小林雅朗 ,   高岡敦 ,   時松秀治

ページ範囲:P.435 - P.437

はじめに
 消化管出血の診断は,急速に進歩した近年のX線的診断法,内視鏡的診断法をもつてしても出血巣の部位や,出血の程度によつては困難な事が多い.とりわけ,小腸や回盲部からの出血の診断は極めて難しい.今回,われわれは,ショック状態で来院した患者にラジオアイソトープシンチグラフィ—99mTc標識赤血球—(99mTc-RBC)を用いて,術前に空腸からの出血と診断,手術により治癒せしめえた症例を経験したので報告し,若干の文献的考察と共にラジオアイソトープシンチグラフィの有用性についてのべる.

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雑誌「SURGERY」最新号目次

ページ範囲:P.355 - P.355

SURGERY—Contents, February 1983 Vol.93, No.2 ©By The C. V. Mosby Company
 今回,米国Mosby社の御好意により,世界的な外科雑誌"Surgery"の最新目次を,日本の読者にいち早く,提供出来るようになりました。下記の目次は,発売前にファックスで送られてきたものです。この雑誌"Surgery"御購読は,医学書院洋書部(03-814-5931)へお申込み下さい。

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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