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文献詳細

雑誌文献

臨床外科38巻3号

1983年03月発行

カラーグラフ 臨床外科病理シリーズ・3

食道の"いわゆる癌肉腫"

著者: 板橋正幸1 廣田映五1 飯塚紀文2 平嶋登志夫3

所属機関: 1国立がんセンター病理 2国立がんセンター外科 3国立がんセンター内科

ページ範囲:P.312 - P.313

文献概要

 食道の隆起性病変の一つとして,念頭においておかねばならぬものに"いわゆる癌肉腫"がある.「癌肉腫」とはもともと,上皮性と非上皮性の各々の悪性成分を,同一病巣内に同時に有する悪性腫瘍と定義づけられ,1904年にHansemanが食道で初めての"癌肉腫"を報告した.以来70症例以上の報告がなされているが,そのcelloriginに関しては種々の議論がある.最近では著者らの意見を含め,本腫瘍の一元説,すなわち,肉腫成分と呼ばれているものは上皮性成分の紡錘状,肉腫様増殖あるいはそれに反応性非腫瘍性間質増生が加わったものであるとの考えが,優勢を占めている.しかし,真の癌肉腫が全く存在しないと断定されたわけではなく,真の癌肉腫(true carcinosarcoma)と,"いわゆる癌肉腫(so-called carcinosarcoma)"〔"carcinoma with sarcom-atous proliferation of carcinoma cells"or "car-cinoma associated with both its spindle cell thans-formation and a reactive desmoplastic change ofstroma"〕とに区別して呼んでいる.
 国立がんセンターで過去約17年間に認めた6例の手術症例は全て"いわゆる癌肉腫"の方であつた.本症例はその代表的な一例である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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