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腹腔内液体貯留—傍結腸溝の開大—widening of the paracolic gutter
著者: 佐藤豊1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学放射線科
ページ範囲:P.359 - P.359
文献購入ページに移動 遊離した腹水あるいは血液などは腹腔内で骨盤腔,傍結腸溝,右側の横隔膜下腔などに貯留する傾向がある.腹腔内臓器の後腹膜への付着部位すなわち腹膜の折れ返り(peritoneal reflection)の概略は図1のごとくであり,背臥位ではダグラス窩およびモリソン窩が腹腔中で最も低い部分(すなわちdependent portion)となり,遊離した液体の貯留しやすい部分となる.右の傍結腸溝は左側に比べて幅が広く,深さも深いために液体がより貯留しやすく,下方はダグラス窩に上方ではモリソン窩あるいは右横隔膜下腔に連続する.反面,左傍結腸溝では左横隔膜下腔との間に,横行結腸と横隔膜を結ぶ間膜(phrenocolic ligament)が存在することから遊離液体の貯留に際して右側ほど開大を示さない.
腹部正面単純X線像では,腹腔の外側縁の示標として側腹線(flank stripe)が用いられ,posterior para-renal fatの連続であるproperitoneal fatの透亮像として描出される.ゆえに傍結腸溝の開大は側腹線と上行あるいは下行結腸ガスの開離として観察され,腹水貯留や腹腔内出血などの診断の際のチェックポイントとなる(図2).
腹部正面単純X線像では,腹腔の外側縁の示標として側腹線(flank stripe)が用いられ,posterior para-renal fatの連続であるproperitoneal fatの透亮像として描出される.ゆえに傍結腸溝の開大は側腹線と上行あるいは下行結腸ガスの開離として観察され,腹水貯留や腹腔内出血などの診断の際のチェックポイントとなる(図2).
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