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臨床報告
スキルスと診断困難であつた胃サルコイドーシスの1例
著者: 杉浦勇人1 佐久間温己1 松崎正明1 堀尾静1 神谷勲1 寄藤和彦1 林衆治1 寺本いほり2 坂田教雄3
所属機関: 1西尾市民病院外科 2西尾市民病院消化器内科 3名古屋市立大学第1病理学教室
ページ範囲:P.535 - P.539
文献購入ページに移動汎発性肉芽腫性疾患であるサルコイドーシスは,1869年Hutchinsonにより報告されたが,リンパ節,肺,脾,肝,皮膚などに好んで出現し,脳・神経系を含めて全身のあらゆる組織,器官を浸潤するといわれるが,胃における病変はまれであり,1936年Schaumannが全身サルコイドーシスの剖検例で局所病変として報告したのが最初であり,その後,Liehr1)の38例の報告があるが,本邦では長村2)の初報告以来24例を見るにすぎない.そしてほとんどが胃X線検査や内視鏡検査で胃癌あるいは胃潰瘍を疑われ,胃切除を受けた後に組織学的に胃サルコイドーシスの病変が発見されたケースであり,その他は少数ながら剖検時,あるいは生検で発見されたものである.われわれは最近胃X線検査,胃カメラ検査にてスキルスを疑つた42歳の男性の術後の病理組織学的検索において胃に発生したサルコイドーシスと診断した症例を経験したので報告する.
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