文献詳細
臨床報告
腎血管性高血圧症に対して血行再建術を施行した後,健側と患側の腎静脈血のレニン活性が逆転した症例
著者: 船木治雄1 大田早苗1 広瀬脩二1 石田秀世1
所属機関: 1国立王子病院
ページ範囲:P.547 - P.550
文献概要
腎血管性高血圧という概念は,1934年Goldblattの提唱以来,沢山の臨床経験の集積によつて大方の支持をえてきている4,5,8).しかし,反面,レニン活性が容易に測定できるようになり,またSaralasin testなど新しい検査法が導入されてより細かなデータの分析がされるようになつてから,腎血管性高血圧はレニンとは関係のない違つたメカニズムで起こる可能性も示唆されるようになつた9).
われわれは30歳の女性の腎血管性高血圧の症例に対して,自家静脈による血行再建のあと,血圧下降の効果がえられたにもかかわらず,腎静脈血のレニン活性が術前正常値であつた健側の方が患側よりも逆に異常高値を示すという珍しい結果がえられたので,ここに報告する.
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