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文献詳細

雑誌文献

臨床外科38巻5号

1983年05月発行

文献概要

画像診断 What's sign?

腹腔内液体貯留—"dog ear" sign

著者: 佐藤豊1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学放射線科

ページ範囲:P.657 - P.657

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 小骨盤腔はparacolic gutterあるいはsubphrenic spaceなどに先立つて腹水あるいは血液などの腹腔内遊離液体の貯留が認められる部位であり,その所見を見出すことは実質臓器損傷あるいは腹膜炎などの早期診断に有用である,解剖学的に小骨盤腔は後方より,直腸両側のpararectal fossa,膀胱と直腸の間のmiddle fossa(Douglas窩)および膀胱外側のparavesical fossaの三部分に分かれ背臥位ではpararectal fossaが最も低い部位(すなわちdependent portion)となる.少量の遊離液体を検出するためには撮影の前に膀胱を空にして,しばらくの間,座位あるいは立位をとらせ小骨盤腔への貯留を促すなどの工夫も必要である.腹部単純像ではDouglas窩の液体により中央に偏位し上方に挙上された腸管ガスと恥骨上縁とに狭まれる半月形の陰影およびそれに左・右上方で連続するpararectal fossaの液体による陰影として観察される.この陰影は耳をピンと立てた犬の顔に似ていることから"dogear"signと称される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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