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文献詳細

雑誌文献

臨床外科38巻6号

1983年06月発行

文献概要

特集 吻合法—目でみるポイントとコツ 消化管吻合法

胃切除術—幽門形成術

著者: 中村紀夫1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学第2外科

ページ範囲:P.813 - P.815

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適応
 幽門形成術は,十二指腸潰瘍に対する各種迷走神経切断術とともに行われるが,選択的近位迷走神経切断術では,幽門狭窄症状が著明のものにのみ付加する.このほかに,先天性幽門輪肥厚症や噴門側胃切除術,食道胃管吻合術など幽門輪の機能障害が予想される場合には適応となる.
 幽門の器質的変化による通過障害が考えられる場合に,幽門形成を施行すべきかどうかの判断は困難なこともある.とくに潰瘍にともなう一時的な狭窄により狭窄症状が出現することがあるからで,迷走神経切断術による減酸の結果,潰瘍の治癒にともなつて狭窄症状が改善されることがある.当教室の切除胃における幽門輪の計測では,胃潰瘍,十二指腸潰瘍で狭窄症状の全くなかつたものは,直径18.5から19.5mmであり,狭窄症状の強かつたものは15.0mmであつた.Waltonによる術中測定の結果では,正常が18mmから22mm,軽度狭窄が15mmから18mm,高度狭窄が15mm以下としており,いずれにしても,直径15mm以下では幽門形成術の必要があると考えられる.開腹時の判定の方法としては,胃前壁切開により,金属チップのサイザーを挿入して測定してもよいが,簡単な方法としては,栂指と示指の双合診で幽門輪の大きさを判断してよい.この場合は,栂指と示指の一部が幽門輪をこえて接するようであれば,形成術は必要なしと判断する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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