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文献詳細

雑誌文献

臨床外科38巻7号

1983年07月発行

文献概要

文献抄録

単純な裂創に対する予防的抗生剤の価値

著者: 窪地淳1 石引久弥1

所属機関: 1慶応大学外科

ページ範囲:P.1042 - P.1042

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 単純な裂創の縫合閉鎖に引き続いて予防的抗生剤投与をつけ加えることは広く行われているが,これを支持する成績はほとんどない.術前に適切な組織内濃度をうるための抗生剤早期使用という確立された外科的原則に反して,閉創後の経口用抗生剤投与は続けられている.この研究はこのような抗生剤による予防対策の有効性を検討するために実施された.
 1980年5月から10月までのParkland Memorial Hospital救急部における499名の小裂創患者を無作意に2群に分け,第1群にはcephalexin 250mg 1日4回3日間投与(11歳以下の小児には1日25mg/kgを4分割投与),第2群は抗生剤非投与対照群とした.汚染創は肉眼的に異物を認めたものとし,受傷後8時間以上経過した創,咬創,口腔内創,手術室での閉創を要した症例,糖尿病やステロイド,化学療法剤投与例,セファロスポリンアレルギー患者は除外した.裂創は局所麻酔後,ヨード剤で清浄化し,異物除去,鋭的デブリドマンを行い,生理食塩水で洗浄した.皮下組織はPGA糸で,必要ならば皮膚はナイロン単線維糸で縫合した.感染の判定は抜糸または感染のため来院した時点の蜂巣炎,排膿,化膿,創哆開を指標とした.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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