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文献詳細

雑誌文献

臨床外科38巻8号

1983年08月発行

特集 臓器全摘後の病態と管理

副腎全摘後の病態と管理

著者: 榎本耕治1 池田正1 菊池潔1 小林英之1 洪淳一1 石井誠一郎1 阿部令彦1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部外科

ページ範囲:P.1133 - P.1136

文献概要

はじめに
 副腎全摘は副腎両側過形成あるいは腺腫によるCushing病,両側性褐色細胞腫,乳癌,前立腺癌の進行・再発癌を対象に行われて来た.副腎両側過形成によるCushing病のうち,術前に下垂体にmicroadenomaが認められた場合にはHardyの経蝶形骨洞的下垂体手術(Transphenoidal microsurgery)1,2)で下垂体の腫瘍摘出が行われるようになつているが,下垂体より高位の間脳からのCorticotropin releasing factor(CRF)の分泌過剰あるいは両側副腎の多発性過形成の場合には現在なお両側副腎全摘術が適応とされる.進行・再発乳癌に対して外科的内分泌療法として両側卵巣副腎合併切除術が行われて来たが,乳癌のホルモンリセプターによる腫瘍の内分泌依存性が測定されるようになり,また,同時に抗エストロジェン剤の薬物が開発されて来て,外科的内分泌療法としての副腎全摘術の適応は少なくなつて来ている.しかし,適応を選べば捨てがたい魅力をもつている.一方,肝癌・膵癌・腎癌等の副腎に隣接する臓器の進行癌で副腎に直接浸潤している場合,郭清の目的で副腎を合併切除されることがある.この場合,多くは片側副腎切除であるが,稀に両側全摘されることもある.このように副腎全摘術の適応は狭くなつて来ているが,副腎全摘は今なお必要な手術であり,その全摘後の病態を十分把握し術後管理にあたる必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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