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文献詳細

雑誌文献

臨床外科38巻8号

1983年08月発行

新形影夜話・7

納得のいく手術

著者: 陣内傳之助12

所属機関: 1大阪大学 2近畿大学医学部附属病院

ページ範囲:P.1166 - P.1167

文献概要

 開腹してみていちばん困ることは,開腹所見が術前にあつた症状から想像していたものとまつたく違つていて,どうしても納得のいかない場合である.こんなときには全身状態の許す限り,納得がいくまで探索してみることが大切である.納得がいかぬままにお腹を閉じたときほど嫌なことはない.
 右下腹部に疼痛を訴え,筋性防御がみられ,白血球数が増加している場合,ふつう多くは急性虫垂炎を考えるのであるが,開腹してみたら虫垂はほとんど正常というような場合がある.こんなときには虫垂以外の他の部の腸管に炎症ないし穿通,穿孔がないかと考えて入念に探してみることが必要である.めつたにないことではあるが,回腸下端から口側に辿つてゆくと,メッケルの憩室があり,これが炎症を起こして,それが穿孔しかかつていたことがあるし,また最近では欧米食のためか,盲腸後壁に,昔はあまりなかつた憩室が生じ,これが穿孔して同様の症状を起こすことがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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