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文献詳細

雑誌文献

臨床外科38巻9号

1983年09月発行

文献概要

特集 肝硬変と手術

術前・術後の管理—肝切除術

著者: 山崎晋1 長谷川博1 幕内雅敏1

所属機関: 1国立がんセンター病院外科

ページ範囲:P.1307 - P.1312

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はじめに
 肝硬変では,健全な生体がもつ各種の防御機構が障害されており,平常では代償機能がギリギリのところでもちこたえていても,手術という侵襲が加わると破綻を来し,従来の外科学総論の知識をもつてしては,回復不能なことがある.肝切除では一般的手術侵襲に加え,肝機能量の減少,門脈床の減少という他の手術には見られない特異的な,かつ肝硬変にとつては極めて影響の強い変化が起きる.肝切除によつて肝硬変は確実に悪化することはあつても決して改善はしない.手術侵襲を克服したとしても,長期的には肝不全,門脈圧亢進を促進する因子として残る.
 国立がんセンターでは,1976年に肝硬変合併肝癌の切除第1例を行い,爾来96例を経験した.図1には当科の年次別肝切除数を示してある.肝硬変,肝炎合併例は最近急増し,原発性肝細胞癌(成人)の70.5%を占めている.この群の手術成績は術死が6/96(6.25%)である.このような実績を背景とした当科の現在の術前・術後にわたる管理方法について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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