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特集 肝硬変と手術
術前・術後の管理—肝切除術
著者: 山崎晋1 長谷川博1 幕内雅敏1
所属機関: 1国立がんセンター病院外科
ページ範囲:P.1307 - P.1312
文献購入ページに移動肝硬変では,健全な生体がもつ各種の防御機構が障害されており,平常では代償機能がギリギリのところでもちこたえていても,手術という侵襲が加わると破綻を来し,従来の外科学総論の知識をもつてしては,回復不能なことがある.肝切除では一般的手術侵襲に加え,肝機能量の減少,門脈床の減少という他の手術には見られない特異的な,かつ肝硬変にとつては極めて影響の強い変化が起きる.肝切除によつて肝硬変は確実に悪化することはあつても決して改善はしない.手術侵襲を克服したとしても,長期的には肝不全,門脈圧亢進を促進する因子として残る.
国立がんセンターでは,1976年に肝硬変合併肝癌の切除第1例を行い,爾来96例を経験した.図1には当科の年次別肝切除数を示してある.肝硬変,肝炎合併例は最近急増し,原発性肝細胞癌(成人)の70.5%を占めている.この群の手術成績は術死が6/96(6.25%)である.このような実績を背景とした当科の現在の術前・術後にわたる管理方法について述べる.
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