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文献詳細

雑誌文献

臨床外科38巻9号

1983年09月発行

ここが知りたい 臨床医のためのワンポイントレッスン

特発性気胸の手術適応は?

著者: 中江純夫1

所属機関: 1杏林大学医学部胸部外科

ページ範囲:P.1331 - P.1331

文献概要

 A; 自然気胸は一般に特発性気胸と続発性気胸とに大別される.特発性気胸はいわゆる自然気胸または自発性気胸ともよばれており,その発生原因は胸膜直下に発生した限局性の気腫性嚢胞(ブラ,ブレブなど)の破裂によると考えられている,しかし,胸膜直下にある気腫性嚢胞の破裂に関する機序はいまだ確定していない.ブラやブレブの好発部位は肺尖部とS6部位である.特発性気胸は20歳台の男子に多く,次いで30歳台と10歳台の男子に発生する.気胸は右左ともほぼ同頻度にみられ,約10%の症例において,発生時期は異なるが,両側に気胸がおこる.
 特発性気胸の手術適応を決定するさい,年齢,合併疾患,胸部X線所見,肺機能,その他の因子などを総合的に検討することが大切である.なお,胸部CTスキャンは胸部X線にて発見し得ない気腫性嚢胞を描出するので,手術適応を決定するのに大変有用であることを付記しおく.前述のように特発性気胸の発生は青年層に多いことから,患者の全身状態や肺機能は良好であり,手術に支障をきたさない例が多い.一般に特発性気胸症例は開胸手術に先立ち,安静,穿刺排気,胸腔ドレナージ,閉鎖性Pleurodesisのいずれかの治療が行われることが多い.筆者は胸腔ドレナージ挿入法を第一選択としている.気胸の初回発症例に開胸術が適応となる例は少ない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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