文献詳細
臨床報告
孤立性大腿深動脈瘤の4例
著者: 瀧本幹之1 東上震一1 前部屋進自1 土橋重隆1 榎本克巳1 横井秀樹1 鈴木淑男1 岡田浪速1
所属機関: 1和歌山県立医科大学胸部外科
ページ範囲:P.1387 - P.1391
文献概要
血管外科学の発達にともない各種人工血管が開発され,近年四肢の血管病変に対する外科的治療が盛んに,かつ安全に行われるようになつてきている.外科的治療の対象としては,何といつても症例数の多い閉塞性動脈疾患が中心となつているが,四肢には動脈瘤の発生も決して稀ではない.大多数の動脈瘤は,総大腿動脈または膝窩動脈に発生するため早期に発見され,処置されることが多い.大腿深動脈に発生した動脈瘤は稀であり,早期に発見され難いためか,破裂してはじめて発見される場合もある.四肢の動脈瘤は大動脈瘤に比べると,その発生頻度ははるかに少ないが,血栓形成による四肢の血行障害や破裂に伴う出血死等を起こす可能性があるので早期に外科的に処置することが望ましい.本論文では,非常に稀とされている大腿深動脈瘤について,私達の経験した症例を中心としてさらに内外の文献上に報告された症例を検討し,その病像,病因,手術方法及び予後等について考察する.
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