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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科39巻10号

1984年10月発行

雑誌目次

特集 胆管癌の外科

胆管癌の早期診断法,切除可能性の判定をどうするか

著者: 竜崇正

ページ範囲:P.1377 - P.1382

はじめに
 胆管癌は胆管壁に沿つて浸潤する特徴を有し,また肝動脈,門脈などに近接しているため容易に浸潤しやすく治療上多くの問題点を有しており,最も治療成績の悪い癌とされている.しかし近年超音波検査(US),X線CT(CT)などの画像診断の進歩により無黄疸もしくは軽度黄疸で発見される例も増加している.また診断法の進歩に加えて,肝切除,血管合併切除などの手術手技の向上により,近年切除例も増加してきている.そこで自験例を中心に胆管癌の早期診断法,切除可能性の判定に関する診断方法について述べてみたい.

切除成績の現況と問題点—上部胆管癌;肝門部胆管癌

著者: 水本龍二 ,   小倉嘉文 ,   赤坂義和

ページ範囲:P.1383 - P.1388

はじめに
 日本胆道外科研究会の胆道癌取扱い規約によれば,胆管癌は肝管癌,上部胆管癌,中部胆管癌,下部胆管癌および広範囲胆管癌に分類されておりさらに左右肝管合流部を占居する癌腫を総称して特に肝門部胆管癌と呼んでいる.
 今回,われわれに与えられた命題は上部胆管癌であったが,われわれの経験した上部胆管癌の5例はいずれも肝門部胆管に及んでいたため,本稿では上部胆管癌の他,左右肝管またはその合流部原発癌(いわゆるKlatskin tumor1))や肝内胆管癌の肝門部浸潤なども含めて,これら肝門部胆管をおかした胆管原発癌を対象として以下の検討を行った.

切除成績の現況と問題点—中・下部胆管癌

著者: 中山和道 ,   福田義人

ページ範囲:P.1389 - P.1392

はじめに
 超音波検査法の普及,経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)の改良により,閉塞性黄疸の診断,処置は大きく進歩し,消化器癌の中でも手術成績の不良な遅れた分野であつた胆管癌も手術成績は漸次向上しつつある.今回は当科における中部および下部胆管癌切除例の手術成績とその問題点について述べる.

切除率を向上させるにはどうするか—上部胆管癌における血管切除,再建術

著者: 都築俊治 ,   尾形佳郎 ,   飯田修平 ,   折井正博

ページ範囲:P.1393 - P.1398

はじめに
 上部胆管癌に対する手術は肝切除を合併した胆管切除が行われるようになつてから切除率が向上しつつあるが,門脈,肝動脈への癌浸潤のため切除不能とされることも多い.われわれは1974年以来21例の切除例を経験したが,このうち6例は血管の合併切除を行つて切除し得た例である.血管の合併切除,血行再建は1例毎に考えながら行つたので未だ完成された標準術式にはなつていないが,現時点で最善と考えている術式について述べる.一種のinterim reportとも言うべきものであるが,試行錯誤の記録の中から何らかの示唆を汲みとつて頂ければ幸いである.

切除率を向上させるにはどうするか—中・下部胆管癌に対する拡大膵頭十二指腸切除術

著者: 宮崎逸夫 ,   小西一朗 ,   永川宅和

ページ範囲:P.1399 - P.1402

はじめに
 第12回日本胆道外科研究会アンケート報告1)によれば,中・下部胆管癌の切除率は約60%,5年生存率は14.4%と低く,他臓器癌に比べ決して満足すべき成績ではない.
 さて,著者に与えられたテーマである単なる「切除率の向上」のためには,例えば血管合併切除を行うことによりかなりその目的は達せられるといえるが,予後の向上という外科手術の最大の目的を達成するには,それだけでは十分とはいい難い.なぜなら,中・下部胆管癌手術においては,治癒切除が施行されたと判断された場合でも実際には非治癒切除であつたということが多いからである.

補助療法—特に進行肝門部胆管癌に対する切除と術中照射合併療法の評価

著者: 岩崎洋治 ,   岡村隆夫 ,   轟健 ,   大原潔

ページ範囲:P.1403 - P.1408

はじめに
 胆管癌のなかでもいわゆる肝門部胆管癌は下部胆管癌に比較して切除不能例が多く,また切除を行つても非治癒切除となることが多い.その原因としていくつかの要因を挙げることが出来るが,主な原因は主要血管への癌浸潤および胆管壁に沿つての広範囲の癌浸潤の2点である.前者に対しては血管合併切除も試みられ,後者に対しては肝切除を加え,肝内胆管を十分切除することにより治癒切除となる症例もあるが,大半の症例で非治癒切除に終る.しかもこれらの症例のほとんどが遠隔転移はなく,腫瘍は局所のみに限局していることが多いため,局所に対して腫瘍破壊効果のある術中照射を補助療法として導入してきた.本稿では肝門部胆管癌に対してわれわれが現在までに経験した術中照射の補助療法としての臨床的意義およびその問題点について言及したい.

切除不能胆管癌に対する治療の現況と問題点

著者: 小山研二 ,   面川進 ,   後藤浩志 ,   佐藤寿雄

ページ範囲:P.1409 - P.1414

はじめに
 診断技術の進歩により胆管癌の診断は比較的容易になつたが,その切除率はいまだ満足すべきものでなく,切除不能例の対策は胆道外科領域において依然として重要な課題である.本稿では,自験例を中心に切除不能胆管癌の治療の現況をのべ今後の展望についてもふれてみたい.

Editorial

胆管癌をめぐる諸問題

著者: 土屋凉一 ,   角田司

ページ範囲:P.1374 - P.1376

 わが国における肝・胆道・膵癌の年次別発生頻度を日本病理剖検輯報の年次別全剖検例数に対するそれぞれの割合でみると,胃癌が過去10年間ほぼ10%前後で同水準を維持しているのに対し,肝癌は4%から6%へ,胆道癌(胆嚢・胆管癌)や膵癌は2%から3%へ徐々ではあるが増加していることは注目すべきことである1).しかもこれらの治療成績は,胃癌や大腸癌のそれに比べると著しく不良である.
 著者は1982年医学雑誌「日本臨牀」に1981年日本胆道外科研究会,当番世話人の杉浦光雄教授が全国集計2)された胆管癌3,683症例と教室手術症例73例の成績から肝外胆管癌における問題点として,症例の過半数が上部胆管癌+肝管癌すなわち肝門部に近い胆管癌で占められていること,Stage別にはStage Ⅳの症例が過半数で,症例の約3/4はStage Ⅲ,Ⅳで占められ進行癌が多いこと,さらに上部・中部・下部胆管癌症例では5年以上生存例が得られたが,肝管癌においては未だ3年生存率を算出しうる段階でないことなどをあげ,胆管癌の治療成績を向上せしめる要因は肝門部に近い胆管癌を早期に発見し治癒切除を行うことにあると報告した3)

カラーグラフ 臨床外科病理シリーズ・20

先天性胆管拡張症と胆嚢癌

著者: 松峯敬夫 ,   青木幹雄 ,   笹子三津留 ,   瀬戸輝一

ページ範囲:P.1370 - P.1371

 古くから,先天性胆管拡張症は膵胆管合流異常を高率に随伴し,また拡張胆管壁に癌を生じ易いものといわれている.最近に至り,胆管のみならず胆嚢に癌がみられたとする報告や,胆管拡張のない合流異常例に胆嚢癌が見出されたとする報告が相次ぎ,胆嚢癌発生にかかわる要因として膵胆管合流異常の存在が注目を集めている.
 そこで今回は,先天性胆管拡張症(膵胆管合流異常随伴)に胆嚢癌を合併した1症例を選び紹介する.

文献抄録

肛門括約筋傷害—Parks式括約筋修復術の方法と成績

著者: 寺本龍生

ページ範囲:P.1417 - P.1417

 肛門括約筋の断裂は外傷,肛門手術,産道外傷によりひきおこされ,さまざまな程度の排便障害をもたらす.これらの障害は患者を社会より遠ざけ,医師を訪れるまでの期間が長期にわたるものが少なくない.
 肛門括約筋修復術として多くの術式が報告されてきたが,それらを分類すると,間接法と直接法に分けられる.間接法は,他の部位の横紋筋または筋膜移植による補強や外括約筋縫縮術である.直接法は,断裂筋断端を遊離し,端々縫合することであるが,縫合部の膨開,筋断端の牽縮等により,悲観的結果に終つている.そこで,縫合法を重畳法に変えることにより良い成績をあげることができるようになつた.われわれは1961年から1982年に治療された97例の外科的治療につき述べる.

学会印象記

格式ある開会式典—オーストラリア外科学会

著者: 外間章

ページ範囲:P.1418 - P.1420

アカデミズムあふれる前夜祭
 私のメルボルン滞在中にRoyal Australasian Colle—ge of Surgeons and Faculty of Anesthetistsの第57回General Scientific Meetingに出席する機会を得た.American College of SurgeonsのMeetingには日本からも多くの出席者があり,その様子はよく知られているが,本学会への日本からの参加者はあまりいないのではないかと思われ,その様子を報告する意義を感じ筆をとつた.よく晴れた秋空のメルボルンで,5月13日から6日間にわたり行われた.メルボルンの都心の一角にその本部即ちCollegeがある.会場はこのCollegeを中心に近くのExhibition Buildingのほか数カ所で行われた.この学会はAustralasianという名が示す如く,本来はオーストラリァとニュージーランドの学会であるが,最近は,シンガポール,マレーシア,ホンコン,パプァニューギニア,インドからの参加もある.また英国,南アフリカ,米国,ヨーロッパからの演題もあり,単にオーストラリア国内の学会にとどまらない.公式行事は日曜日の聖バトリック寺院におけるEcumenical Serviceから始まつた.学会の行事にこの様な宗教的プログラムが組まれることは,日本の学会ではまずあり得ない.

画像診断 What sign?

renal halo

著者: 佐藤豊

ページ範囲:P.1421 - P.1421

 急性膵炎の単純X線所見としては局所性麻痺性イレウスによる心窩部から左上腹部にかけての小腸拡張像(sentinel loop sign),膵頭部腫大と腸管への炎症波及による粘膜肥厚を伴う十二指腸窓の拡大(epsilon sign),横行結腸(特に脾彎曲近傍)のスパスムスにより,肛門側結腸のガスが消失するleft colon cut-off signなどが挙げられ,壊死性膵炎では後腹膜に泡状のガスの発生をみることもある.
 また左腎周囲に帯状の透亮帯がみられる場合があり,膵炎における"renal halo"signと称される1).これはGerota筋膜内のperlrenal fatが,内側を腎実質に,外側を膵炎の炎症性浸潤により,X線透下性の低下したanterior pararenal spaceの組織により挾まれることにより透亮帯として認識されるものであり,膵炎の臨床症状を有する症例においてこのsignがみられる時はその炎症が広くanterior pararenal spaceに波及していることを示す所見である(図).

座談会

上部胆管癌の治療をどうするか

著者: 跡見裕 ,   柿田章 ,   斎藤洋一 ,   高田忠敬 ,   小山研二

ページ範囲:P.1422 - P.1437

 上部胆管癌についてはここ数年来,学会のシンポジウムなどでとりあげられ,いくつかの成果が報告されている.とはいえ,残された問題は山ほどある.本座談会ではそれら全般にわたり,かなり具体的に,いわば本音をだしていただいた.

腹部エコー像のPitfall・3

肝内腫瘍と鑑別すべき疾患

著者: 松田正樹 ,   井上健一郎

ページ範囲:P.1439 - P.1441

この患者の診断は?
症例 42歳,女性
 ノイローゼにて当院神経科通院中.発作性頻脈および心不全にて内科入院,入院時より右季肋部痛あり,疼痛は日増しに増強したため腹部超音波検査を施行した(図1).

臨床研究

pm胃癌の予後—sm浸潤からみた術式,術後療法選択の可能性も含めて

著者: 内藤寿則 ,   友清明 ,   江里口直文 ,   西田博之 ,   徳安敏行 ,   沢田勉 ,   渕上量三 ,   福田義人 ,   桑原義明 ,   三好敦生 ,   久原敏夫 ,   中山陽城 ,   吉田晃治 ,   磯村正 ,   鍬先清一郎

ページ範囲:P.1443 - P.1449

はじめに
 胃癌の予後を左右する因子について諸家はさまざまな方面から検討を加えているがH(肝転移)因子,P(腹膜播腫)因子のない固有筋層にとどまる胃癌(以下,pm胃癌と略す)は,断端をとり残さず,かつ十分なリンパ節郭清を行つても早期胃癌に比べ予後不良で5年生存率は70%前後に落ちている1).このpm胃癌の予後について諸家は肉眼型,組織型,浸潤様式,リンパ節転移,脈管侵襲等より検討している2,3).これは諸因子別の予後が推測できる事から考えれば症例ごとの手術術式や術後療法選択の上からは不適当といわざるをえない.そこで著者はpm胃癌を粘膜下層(以下smと略す)浸潤の大きさから細分類し,症例ごとの予後について検討し,その術式,術後療法選択の可能性についても追求したので報告する.

動脈瘤の外科治療(脳動脈を除く)—とくに発生部位別による治療成績

著者: 西沢直 ,   鈴木一郎 ,   白松一安 ,   田宮達男

ページ範囲:P.1451 - P.1453

はじめに
 心臓血管外科の進歩に伴ない,大動脈から小動脈まで各種の動脈瘤の外科治療が行われ,良好な成績を納めているが,発生部位の相違によつて治療成績は不満足なものがある.とくに解離性胸部大動脈瘤は,ほぼ治療成績の安定した腹部大動脈瘤に比較して直接・遠隔成績とも劣つている1-3).また主幹動脈瘤は大動脈瘤に劣らず大きなものがあり,瘤切除後の再建術の要否も検討の余地があり,末梢動脈瘤は医原性を含めて,外傷性のものが多く,化膿性炎症を伴うものがあり,術前・術後の感染症対策が重要である.
 われわれは1973年1月より1983年10月の間に各種動脈瘤の外科治療を行い,発生部位別手術成績を比較検討し,今後の治療指針として報告する.

臨床報告

Ball thrombusの症例

著者: 梅林雄介 ,   山下正文 ,   森下靖雄 ,   丸古臣苗 ,   平明 ,   南幸弘 ,   中村一彦

ページ範囲:P.1455 - P.1458

はじめに
 左房内巨大浮遊血栓(ball thrombus)は,比較的稀ではあるが,僧帽弁口への嵌頓をはじめとして大動脈弁口への嵌頓,さらには全身への塞栓と重大な危険をもつている.最近経験した2症例についてこれらの点を中心に検討を加える.

先天性多発性食道狭窄症の1手術治験例

著者: 正木康史 ,   石上浩一 ,   三井俊明 ,   川村明 ,   丹黒章 ,   梶原達観 ,   長谷川博康

ページ範囲:P.1459 - P.1462

はじめに
 先天性食道狭窄症は先天性食道閉鎖症に比べ,はるかに稀な疾患であり,たとえばBattersby1)は新生児期に先天性食道異常と診断した90例のうち,食道閉鎖症の70例に対し,食道狭窄症はわずか2例であつたと報告している.また1974年の大川2)らの全国集計でも,乳幼児食道アカラシヤ45例をも含めた先天性食道狭窄症の報告は159例と少ない.
 最近われわれは両側無眼球症の先天奇形を合併し,気管原基迷入による腹部食道の狭窄に加え,胸部中部食道にも狭窄を認めた先天性多発性食道狭窄症の非常に興味ある1手術治験例を経験したので,若干の考察を加えて報告する.

胃と脾臓にみられたHodgkin病の1例

著者: 中野芳明 ,   塩崎均 ,   松浦成昭 ,   宮本徳広 ,   城戸良弘 ,   藤山武雄 ,   川崎勝弘 ,   藤本二郎 ,   小川道雄 ,   小川嘉誉 ,   森武貞 ,   毛野義明 ,   南雄三 ,   姫野誠一 ,   青笹克之

ページ範囲:P.1463 - P.1466

はじめに
 Hodgkin病は,1832年Hodgkinによつて初めて記載されWilks(1856)によりHodgkin病と名づけられた全身リンパ組織を侵す疾患である.Hodgkin病は,一般に全身性系統的リンパ節腫脹を併う疾患であるが,ごく稀に,腸管や脾臓に原発したHodgkin病も報告されている.われわれは,胃肉腫と脾腫の診断のもとに,胃切除および摘脾術を施行し,その組織学的検査により,Hodgkin病と判明した症例を経験したので若干の文献的考察を加えて,これを報告する.

十二指腸球部に脱出・嵌頓したBorrmann 1型胃癌の1例

著者: 的場直行 ,   慶田祐一 ,   売豆紀雅昭 ,   佐藤和洋 ,   増田弘志 ,   井上強 ,   末永和之 ,   渡辺恵幸 ,   為近義夫

ページ範囲:P.1467 - P.1470

はじめに
 胃のX線・内視鏡検査の進歩により胃悪性隆起性病変は日常しばしば遭遇する疾患となつた.しかしこのような胃病変が幽門輪を越えて十二指腸内に逸脱した症例は比較的少なく,文献上,最近30年間に32例の報告があるにすぎない.われわれは,巨大な1型胃癌が十二指腸内に逸脱した1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

残胃に癌と平滑筋肉腫が併存した1例

著者: 鴻江俊治 ,   田中靖邦 ,   藤本要 ,   坂本清人 ,   小川清 ,   桑野博行

ページ範囲:P.1471 - P.1475

はじめに
 同一胃における癌腫と肉腫の併存は稀である.また残胃に発生する悪性腫瘍として残胃癌の報告は多数あるが,残胃肉腫は極めて珍しい.われわれは最近,胃切除25年目の残胃に未分化癌と平滑筋肉腫が併存した1例を経験したので文献的考察を加え報告する.

経皮的膿瘍ドレナージが有効であつたアメーバ性肝膿瘍の1治験例

著者: 近藤秀則 ,   武田淳志 ,   飯島崇史 ,   三輪恕昭 ,   頓宮廉正

ページ範囲:P.1477 - P.1481

はじめに
 アメーバ性肝膿瘍は本邦ではまだ比較的稀な疾患とされているが,最近われわれは,超音波検査にて肝膿瘍と診断し,経皮的膿瘍ドレナージ(percutaneous transhe—patic abscess drainage,以下,PTADと略す)を行い治癒せしめたアメーバ性肝膿瘍の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

十二指腸平滑筋肉腫の1手術例

著者: 船木治雄 ,   大田早苗 ,   広瀬脩二 ,   石田秀世 ,   竿代丈夫

ページ範囲:P.1483 - P.1487

はじめに
 十二指腸の平滑筋肉腫は非常に珍しい疾患とされている.著者が文献上で知りえた1983年末までの報告では,英文の文献で約130例,本邦でも約130例であり,合計しても世界中で300例に満たない.われわれはこのたび,十二指腸の第2部に発生した平滑筋肉腫の症例を手術する機会をえたので,ここに文献的考察を加えて報告する.

胆石イレウスの1例—本邦報告170例の検討

著者: 渡辺幸康 ,   板東隆文 ,   豊島宏

ページ範囲:P.1489 - P.1493

はじめに
 胆石イレウスは胆石が腸管に嵌頓して生じる機械的イレウスであり,本邦では比較的稀な疾患とされ,1903年江口ら1)の報告以来現在まで180数例を数えるのみであり,胆石の腸管への通過経路,嵌頓部位,診断・治療法など多くの興味が持たれている疾患である.われわれは最近術前に消化管造影にて診断し,術後胆嚢十二指腸瘻の経過を内視鏡的に観察し得た症例を経験したので報告する.また本邦報告170例について胆石の大きさと嵌頓部位,内視鏡診断,外科的治療法と予後に関して検討を加えた.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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