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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻11号

1984年11月発行

文献概要

特集 胃癌—最近の話題

胃癌リンパ節転移のエコー診断

著者: 万代恭嗣1 伊藤徹2 高見実2 大西清2 田中洋一2 出月康夫2 幕内雅敏3

所属機関: 1社会保険中央総合病院外科 2東京大学医学部第2外科 3国立がんセンター外科

ページ範囲:P.1521 - P.1524

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はじめに
 胃癌とくに進行胃癌患者において,正常構造物以外に円形または類円形の低エコー域がしばしば描出されることから,私どもはこれらを胃癌のリンパ節転移と考え,その描出率につき報告してきた1,2).その後,同様の報告もいくつかみられる3,4).しかし,術前超音波検査にて描出された円形の低エコー域が,はたして術中に認められた腫大リンパ節に一致するのか,あるいは組織学的転移を有するリンパ節に一致するのかが,完全に証明されたわけではない.これまでの検討における証明方法は,まず術前超音波検査で描出された低エコー域の部位を判定し,超音波で判定したと同じ部位から摘出されたリンパ節に,肉眼的もしくは組織学的転移があれば,これを正診としていた.これは超音波による部位判定が正しいとの前提条件に立つており,もしこの前提がくずれれば,術前超音波所見と摘出標本の対比検討は何ら意味をなさないことになる.
 低エコー域がリンパ節の転移を表わすことを証明する,より直接的な方法として,水浸超音波像による検討が考えられる.しかし図1に示すように,生体内における像と水の中における像とでは,リンパ節に関する限りその態度を異にするようである.転移の有無にかかわらず,いずれも低エコーを示す傾向がみられ,水浸法では,低エコーすなわち転移巣であるとの証明がしにくい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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