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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻12号

1984年12月発行

特集 大腸切除と機能温存

回腸肛門造設術式—とくにKock' ileostomy

著者: 小山真1 畠山勝義1

所属機関: 1新潟大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1719 - P.1724

文献概要

はじめに
 潰瘍性大腸炎や家族性ポリポーシス(家族性大腸腺腫症)など大腸全摘を必要とする疾患に対して永久回腸瘻(回腸肛門)が造設されるが,単に回腸断端を引き出して皮膚に固定する従来の回腸瘻では消化液を含む多量の腸液の流出は人工肛門周辺皮膚の損傷や栄養障害の原因となるほか,常に装具を用いる事が求められるという心理的な障害も大きく,患者の悩みは深刻である.これに対し腸液の失禁を防ぐ手術法が種々検討されて来たが,臨床的に明らかな効果を認められるようなものは1979年Kockの報告になるreservoir or continent ileostomy1)(Kock' ileostomy)までなく,今日では本術式が世界的に広く用いられるようになつている.しかし,これとても完壁なものとは云い難く,改良法が検討される一方,簡便,容易な従来の回腸瘻造設法も広く行われており,その合併症を防ぐための装具の開発,改善が続けられているのが実情である.
 ここでは永久回腸瘻としてのKock' ileostomyについてのべることとするが,回腸痩についての総説としてはG. L. Hillの著書1)が優れており,Kock' ileostomyに関するまとまつた知識を得るにはGoligherの著書3)を参照することを奨めたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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