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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻12号

1984年12月発行

文献概要

原典を繙く・1【新連載】

Dieulafoy潰瘍(その1)—Exulceratio simplex L'intervention chirurgicale dans les hématémèses foudroyantes consécutives à l'exulcération simple de l'estomac.

著者: 島津久明1

所属機関: 1東京大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1735 - P.1737

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 急性大量胃出血を主症状とするDieulafoy潰瘍の症例報告がいろいろな学会や関係誌上に散見されるが,この病変の本態や急性出血性病変のなかにおける位置づけなどに関して,必ずしも十分な理解と統一した見解が得られていないように思われる.この病変の原典であるDieulafoyの論文は,1898年のBulletin de l'Académie Médicale(49:49-84)の誌上に上記の標題のもとに掲載され,その副題に「胃の単純性潰瘍に起因する激烈な吐血における外科手術」とあるように,本文中でも緊急手術の重要性が強調されている.35頁にわたる長文のものであるが,いわゆる原著論文ではなく,ある会合での講演内容がそのまま記録されたもので,最後に聴衆との質疑もつけ加えられている.その全訳はいささか冗長のきらいもあるが,全体が物語調に語られているので,19世紀末のパリの情景を想像しながら比較的気楽な読物として御通読頂ければと思う.なおNew Century Cyclopedia of Names,Vol 1(Barnhart, C. L. 編,1954)と岩波:西洋人名辞典,増補版(1981)によると,Georges Dieulafoy(1839-1911)はトウルーズ生れのフランス内科医で,パリのHôtel-Dieu病院に勤務し,1886年にはパリ大学医学部教授になつている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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