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特集 がんの集学的治療をどうするか 乳癌
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著者: 冨永健1
所属機関: 1東京都立駒込病院外科
ページ範囲:P.196 - P.197
文献購入ページに移動 乳癌に対する治療法について論述する場合,まず乳癌のもつ性格を十分把握した上でなければそれは不可能である.榎本論文は,この点について乳癌の再発転移状況をまず自験例を参考に実態を検討し,これら再発および進行乳癌に対する各種治療法とその成績を示している.それに加えて各種治療法の基礎的研究の結果を引用して,臨床例における各種治療法を組合せたいわゆる集学的治療の現在までの成果と将来の展望を記述している.
Fisherは「乳癌はprimary caseであつてもその腫瘤径が1cm以上であればもはやadvanced stageと考えるべきである」と記述しているが,欧米人における乳癌が,日本人のそれよりも予後が比較的悪いということを考えに入れたとしても,乳癌の治療にたずさわる医師にとつて念頭におくべき事柄であると思う.ましてやStage Ⅱ,Ⅲの乳癌症例ともなれば,その5〜10年生存率から考えて当然全身疾患として取扱つても行き過ぎではないと考えられる.さらに近年,両側乳癌やmulticentricな乳癌がかなり多くみられるようになつてきていることもその考えを別の意味で支持するものである.
Fisherは「乳癌はprimary caseであつてもその腫瘤径が1cm以上であればもはやadvanced stageと考えるべきである」と記述しているが,欧米人における乳癌が,日本人のそれよりも予後が比較的悪いということを考えに入れたとしても,乳癌の治療にたずさわる医師にとつて念頭におくべき事柄であると思う.ましてやStage Ⅱ,Ⅲの乳癌症例ともなれば,その5〜10年生存率から考えて当然全身疾患として取扱つても行き過ぎではないと考えられる.さらに近年,両側乳癌やmulticentricな乳癌がかなり多くみられるようになつてきていることもその考えを別の意味で支持するものである.
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