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臨床研究
乳腺疾患の診断—視触診,乳房撮影,超音波像と組織診断
著者: 山本泰久1 岩藤真治1 酒井邦彦1 石原清宏1 庄達夫1 田口忠宏1 浦上育典1
所属機関: 1おおもと病院
ページ範囲:P.255 - P.260
文献購入ページに移動乳癌の発生率は生活様式の欧米化が進むにつれて高くなつているが,同様に死亡数の増加も著しい.乳癌の予後は腫瘍径1cm以下の10生率90.6%,1.1〜2cm76.5%となつており1,2),小さいうちに発見されたものほど予後がよいことは,他の悪性腫瘍と同様で,1cm以下の小さい乳癌を確診するための努力が必要となつてくる.
乳房内の腫瘍を自己検診で発見する場合,1〜3cmのものが最も多いが,10年前は平均3cmといわれていた.3cmの乳癌のリンパ節転移率は約40%であり1,2),5生率,10生率も決して良いとはいえない.10年以前に外科医が取り扱う患者の多くは,このような症例であつたが,最近の乳癌検診活動や自己検診法の普及などで,小さい乳腺腫瘍を診断する機会が多くなつている.触診で発見できる腫瘍は,日本人の平均的乳房では,5mm前後,大きい乳房では1cm位と考えられるが,1cm径のものが大きい乳房の深部にある場合,触診だけによる診断は容易ではない.
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