文献詳細
文献概要
臨床報告
食道に原発したleiomyoblastomaの1例
著者: 膳所憲二1 川崎雄三1 末永博1 田辺元1 吉中平次1 福元俊孝1 松野正宏1 丸田憲三1 吉井紘興1 加治佐隆1 西満正1 田中貞夫2
所属機関: 1鹿児島大学医学部第1外科 2鹿児島大学医学部第2病理
ページ範囲:P.265 - P.268
文献購入ページに移動1960年Martin1)らが核周囲に空胞(透明帯)を有する特異な形態を示す胃腫瘍をmyoid tumorとして初めて記載した.ついで1962年にStout2)は,平滑筋腫,平滑筋肉腫,脂肪肉腫,glomus tumor,hemangioperi—cytomaなど多くの名称で報告された胃筋原性腫瘍69例を検討し,その細胞形態,悪性度などより,それら一群の腫瘍を"bizzare leiomyoblastoma"と呼ぶことを提唱した.本腫瘍の最大の特徴は,光顕像で比較的大型の円形腫瘍細胞がびまん性に増殖し,核周囲に空胞(透明帯)を有することである.本邦においても胃原発のものはわれわれの集計した限りでは105例ある.しかし食道に原発したものは極めて稀で,自験例を含めて本邦で2例,欧米で5例をみるにすぎない.今回われわれは虫垂炎術後の腹壁膿瘍の治療中に食道・胃透視を施行し,偶然に発見しえた本腫瘍を経験したので報告する.
掲載誌情報