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文献詳細

雑誌文献

臨床外科39巻3号

1984年03月発行

文献概要

特集 外科感染症と免疫

悪性腫瘍患者の免疫不全と感染

著者: 酒井克治1 森本健1

所属機関: 1大阪市立大学医学部第2外科

ページ範囲:P.319 - P.324

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はじめに
 担癌患者の感染防御機構は種々の原因で破綻している.腫瘍による直接破綻のほか,各種の治療によつても免疫機構が影響をうける.悪性リンパ腫や白血病など全身性疾患では広汎な免疫機構の破綻があり易感染状態となるが,固型腫瘍の病態下においては免疫機構の破壊以前に気道,消化管,胆管,血管等の生命維持機構が破壊され,致命的経過をたどる症例が多かつた.
 しかし,最近では黄疸例に対するPTCD,食物摂取不能食道癌例へのIVH,COPD例の呼吸器管理,硬変肝癌例への新鮮生血漿投与などが行われて,侵襲の大きい手術が行われるようになつた.しかし,一方ではドレン,静脈カテーテルの留置などの処置が施されて感染の機会がきわめて高くなつている.また,現在悪性腫瘍患者に対しては強力な癌化学療法が行われ,抗癌剤のなかには強く免疫抑制的にはたらくものもあつて,担癌患者の免疫機能がそこなわれる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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