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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科39巻5号

1984年05月発行

雑誌目次

特集 外科におけるクリティカル・ケア

IABPによる心臓性ショックの治療

著者: 鰐渕康彦

ページ範囲:P.593 - P.597

はじめに
 大動脈内バルーンパンピング法intraaortic balloon pumping(以下,IABPと略す)は1968年のKantrowitzらによる心臓性ショックに陥つた2人の患者での臨床経験の発表1)を受けて,主としてボストンのMGHグループを中心に積極的に臨床への導入が進められた2).折から,心臓外科における冠状動脈バイパス手術の発達とも相侯つて,この循環補助法は急速に普及し,以後1976年末までの間に,世界中で約22,000例に達したといわれる3)
 本法は,原理的にはClaussら(1961)4)の提唱したsynchronized counterpulsationの効果を,下行大動脈内に挿入したバルーンを使つて得ようとするものである.その詳細については,少し古い文献ではあるがWeber and Janickiの綜説5)があるので,それを参照されることをおすすめする.要点のみを述べると,バルーン付きカテーテルを末梢動脈から左鎖骨下動脈分岐部の直下まで挿入し,心臓周期と同期させながら,拡張期にバルーンを拡張させて大動脈基部での拡張期圧を上昇せしめ冠状動脈血流量の増加をはかる(diastolic augmentation)とともに,収縮期の直前でバルーンを急速に収縮させて,収縮期圧,さらには左心室圧を低下させてafterloadの減少をはかろうとする(systolic unloading)ものである.

ARDSの新しい呼吸管理

著者: 石田詔治

ページ範囲:P.599 - P.604

はじめに
 1950年代にベンチレータが普及し,1970年代にはいつてPEEP,IMVが導入され,近代的呼吸管理は確立されたかに見えた.しかし,ARDSに関しては,期待したほどの救命率の上昇が得られなかつた.そこで,1980年代は現行の呼吸管理の反省期と考えられる.すでにその成果も現われてきている,本稿では,ARDSに関連した最新の成果のいくつかを紹介する.

MOF患者の感染対策

著者: 相川直樹 ,   石引久彌 ,   阿部令彦

ページ範囲:P.605 - P.612

はじめに
 MOFとはmultiple organ failureの略で,心,肺,肝,腎,血液凝固系などの重要臓器の2つ以上が,同時にあるいは経時的に機能障害に陥つた状態に対して,Eisemanら1)が与えた呼称であり,多臓器不全あるいは複合臓器不全と訳されている.MOFは1973年Tilneyら2)により初めて報告されて以来,外傷患者や外科術後患者における検討がすすむとともに,重症患者の予後を左右する重篤な病態として認識されてきている3).とくに一般外科領域にみられるMOFは,手術死亡やショック後の死亡の大半を占める合併症として注目されているが,その発生や病態の重症化には,重症感染症が主役をなしていることが知られている.

DICの薬物療法

著者: 玉熊正悦 ,   平出星夫 ,   柿原稔

ページ範囲:P.613 - P.617

はじめに
—DICとその病態生理—
 DIC(disseminated intravascular coagulation)とは,全身の細小血管内で血液凝固能の異常亢進により多数の微小血栓がびまん性に生じ,そのため一方では流血中の血小板やフィブリノーゲンなど凝固因子が消費されて消費性凝固障害consumption coagulopathyとよばれる出血傾向が出現し,他方ではvital organに血栓による循環障害から機能障害をきたして,しばしばMOF多臓器障害に移行するという病態をさす.
 生体には,血管が破れて出血すると止血のため局所的に凝固を生じるという防衛機構があり,もしこれが障害されると出血性素因をきたすが,血管内では血液凝固は通常生じない.DICとはこれが破綻して血管内で極端に血栓傾向を来たすことである.上記の出血性素因とは逆の現象でありながら結果的には消費性凝固障害という重篤な出血症状を示す一見矛盾した病態で,1960年代の末から急速に注目を集めてきた.

Critical careにおける栄養管理

著者: 小林国男 ,   長谷部正晴

ページ範囲:P.619 - P.625

はじめに
 ショックや呼吸循環不全を伴う重症患者管理に栄養治療の介入する余地は少ないと思われ,今までその重要性が十分理解されなかつた傾向があるが,最近の集中治療医学の進歩とICUの普及により重症患者が長期間集中治療をうけるようになるとともに,これらの患者に対する栄養治療の重要性が改めて認識されつつある.
 しかし,大きな代謝異常を伴う病態の栄養管理については,未知の部分が多く,ましてや集中治療を要する重症患者では種々の病態が混在するため,これらの患者に対する栄養管理の向上は今後の大きな課題である.本稿では重症患者の代謝異常を概説するとともに,われわれの行つている栄養管理の実際を紹介したい.

血液浄化法

著者: 寺岡慧 ,   鈴木利昭 ,   本田宏 ,   渕之上昌平 ,   阿岸鉄三 ,   太田和夫 ,   佐藤博司 ,   佐中孜

ページ範囲:P.627 - P.636

はじめに
 近年血液浄化法の進歩は目をみはるものがあり,種々の方法が開発され実に多くの疾患に対して適用されてきた.ある意味では現在initial enthusiasumの時代を終え,より適切なそれらの適応を再検討する時期に来ているといえなくもない.一方,最近多臓器不全(Multiple Organ Failure,以下MOFと略す)などの重篤な患者が増加しており,きわめてクリティカルな病態の下で血液浄化法を施行する機会が多い.このような厳しい条件下での血液浄化法の適応と実施については特別の配慮がなされなければならないのは当然のことである.今回は,クリティカルケアにおける血液浄化法というテーマのもとで,まず血液浄化法のAggressologyともいうべき視点について試論的に触れ,つぎに各種病態下でのその問題点について検討を行つてみたい.

カラーグラフ 臨床外科病理シリーズ・16

膵頭部癌

著者: 岸紀代三 ,   尾崎秀雄 ,   中村耕三 ,   吉森正喜 ,   田尻久雄

ページ範囲:P.590 - P.591

 症例(Ol−29033)54歳,男.
 1983年3月17日,嘔気,全身倦怠感,食思不振が出現し,その2日後,尿が褐色調になり,さらに4日後には黄疸が出現し,便が白くなつてきた.近医を受診し急性肝炎の疑いで入院し,十二指腸ファイバースコープ,胆道造影,HDG,CT等の検査で膵頭部癌と診断された.PTC-Dで減黄効果があり,全身状態良好となり,初発症状出現より1カ月後に当院へ入院し,4月21日膵十二指腸切除術が施行された.

文献抄録

甲状腺分化癌に対する甲状腺ホルモン療法の延命効果

著者: 柵瀨信太郎 ,   西尾剛毅

ページ範囲:P.641 - P.641

 1957年Crileらは甲状腺分化癌の術後補助療法として甲状腺ホルモン療法の有用性を報告している.これは甲状腺ホルモンにより甲状腺癌の発生ならびに進展を促進すると云われている甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌を抑制することによつて再発をおさえようとするものである.しかしその効果についてはいまだ異論もあり,著者らは1976年には延命効果は甲状腺分化癌のうち,乳頭腺癌には認められたものの,濾胞腺癌には認められなかつたとすでに報告している.
 そこで著者らはLahey Clinicにて1931年から1970年の間に手術を受けた761例の甲状腺分化癌について術後甲状腺ホルモン療法による延命効果について再検討を行なつた.

世界の手術室・4

オランダ・アムステルダム アムステルダム大学Wilhelmia Gasthuis—最初の高気圧酸素室とそこで学んだ日本人医師

著者: 隅田幸男

ページ範囲:P.642 - P.644

 特発性食道破裂で知られているHermann Baerhaave(1668〜1728)は当時,Leyden大学教授をつとめ,同時にヨーロッパ医学の頂点に立つていた,「人体生理学要綱Elementa Physiologicae corporis humani 1757」で有名なスイスの解剖学者,外科医,植物学者であるAlbrecht Haller(1708-77)は恩師BaerhaaveをGeneral teacher of all Europeと呼んだ.その著書「医学論Institutiones Medicae 1708」はHippocratesの精神をくんだ名著とされている.
 1588年スペイン無敵艦隊が破れ,ようやく独立したオランダは医学でも最盛期を迎えていたのである.オランダと日本の交渉が始まつたのも,そのすぐ後で,1600年(慶長5)に蘭船リーフデ号が豊後に来たときからといわれる.1609年平戸に商館が置かれ,のち長崎出島(1639年,寛永10年)に移され,日本はオランダと中国とのみの通商をはじめ長くつづいたことは周知の通りである.解体新書5冊が1774年(安永3)に出版され,ドイツ人Philipp Franz von Sieboldはオランダ人と称して1823年に来日し,日本医学の大きな基盤となつた.ミュンヘン大学裏の墓地にある彼の小さな墓石には漢字で「強哉」と彫まれているが,遺言だつたのだろうか.

ここが知りたい 臨床医のためのワンポイントレッスン

肛門周囲膿瘍の外来診療のポイントは

著者: 葛西猛 ,  

ページ範囲:P.645 - P.645

A;1)肛門周囲膿瘍Periproctal abs-cess
 診断のポイント
 (1)肛門周囲膿瘍は歯状腺上の肛門小窩,anal cryptから細菌が侵入,肛門腺anal glandを介して肛門周囲に膿瘍を形成したものである.発生部位により図1のように分類され,その発生頻度は低位筋間膿瘍が最も多く,全体の60%を占め,次に坐骨直腸窩膿瘍が20%で続く.
 (2)肛門痛に発熱を合併するのは肛門周囲膿瘍以外になく,従つて病歴のみで診断が可能である.多くの例では肛門周囲に発赤,圧痛を持つ硬結を触れるが,粘膜下膿瘍および一部の低位筋間膿瘍などでは,肛門指診により限局性で圧痛を持つ硬結を触れること,あるいは肛門鏡で該当するクリプトからの排膿を見ることにより,はじめて診断される。

画像診断 What sign?

網嚢内液体貯留 fluid collection in the lesser sac・1

著者: 佐藤豊

ページ範囲:P.649 - P.649

 網嚢は胎生期の腸管回転により胃の後方に陥入した腹膜腔の一部である.網嚢の前縁は小網lesser omentum,胃,十二指腸球部および胃結腸間膜に,下縁は横行結腸および横行結腸間膜transverse mesocolonにまた後縁は膵臓により形成され,左外側は脾門部にて盲端に終り,右内側では十二指腸球部のやや上方,下大静脈の前方にて網?孔foramen of Winslow によりmajor peritoneal cavityに連絡している(図1).また網嚢の一部,superior recessは肝の尾状葉を取り囲むように上方に進展し横隔膜に達する.汎発性腹膜炎の場合にも狭い網嚢孔を通して網嚢内に液体貯留がおこることは稀であるが,網嚢に隣接した胃あるいは十二指腸後壁の穿孔性潰瘍や膵炎に際しては網嚢内に膿瘍や膵仮性嚢胞が形成される.肝不全などによる大量腹水の場合にも網嚢内にまで腹水が浸入することは稀であるとされるが,癌性腹膜炎や腹膜灌流を受けている患者では網嚢内に大量の液体留貯をみることがある.
 腹部単純像および消化管造影における所見としては胃を前上方に,横行結腸を下方に圧排偏位ある軟部陰影を呈する腫瘤像を呈し(図2),膿瘍内にガスの存在する時は立体像にて鏡面像を認める.

座談会

Septic Shockの治療とその考え方

著者: ,   ,   相川直樹 ,   吉岡敏治 ,   石田詔治 ,   島崎修次

ページ範囲:P.650 - P.658

 第11回日本救急医学会(会長・杉本侃大阪大学教授)で来日したDr. ShiresとDr. Pruittを囲んで,septic shockの病態から治療にいたる全般にわたり,現在の最知見を披瀝していただいた.確かな理論と豊富な臨床経験にうらづけされたお2人の話は,分り易くそして含蓄の深いものである.

外科医のためのマイコン・ガイド・9

データベース・マネージメント(DBM)—1.外科のデータを保存する

著者: 進藤勝久

ページ範囲:P.659 - P.668

はじめに
 当連載8回までに行つてきたマイコン機能をまとめてみると,①データを読んで(あるいは入力して)短時間で計算処理する,②比較して判定する,③プログラムによつて自動処理をする,④処理した結果を印字する,⑤データを記憶する,などである.ところで,外科医にとつてマイコンに最も期待するところは,膨大な診療データを蓄積し,それを可成りのスピードで仕訳け,分類,判定,統計処理することである.後者についてはすでにのべたので,今回からデータの蓄積や索引を目的としたデータファイルの作り方を実際にプログラミングしながら考えてみたい.
 さまざまな目的に合うように作られたデータファイル群をデータベースとかデータバンクとかデータプールとかいう.ここでは汎用データベースを作つてみる.

外科医の工夫

開腹術後創哆開症例の検討および再縫合法の1工夫

著者: 天野実 ,   前田潤平 ,   宮城直泰 ,   中田剛弘 ,   宮田昭海 ,   森英昭 ,   林田政義 ,   佐伯辻六

ページ範囲:P.669 - P.672

はじめに
 開腹術後の創哆開は今日でもまれにではあるが経験する重篤でかつ緊急の処置を要する術後合併症の一つである.
 ICUに代表される重症患者管理の進歩やIVH,EDの導入による栄養管理の改善などにより以前は手術適応外とされたpoor riskの患者や超高齢者にも積極的に拡大手術がなされるようになつた.いいかえると医学の進歩により腹壁創哆開の危険が必ずしも減少しているわけではなく,消化器外科医は常にこの危険を伴つて手術をおこなつているものと考えたい.

臨床研究

微小循環からみた上腸間膜静脈—大腿静脈バイパス法の安全性の検討

著者: 安藤久実 ,   宮川秀一 ,   弥政洋太郎

ページ範囲:P.673 - P.679

はじめに
 門脈は膵臓に抱き抱えられるように位置しているので,この部位での悪性腫瘍は容易に門脈への浸潤を来し,腫瘍摘除のためには門脈の合併切除が必要とされる場合も少なくない.しかし,門脈遮断時間が20分以上に及ぶと,動物ではショックに陥る場合が多いということが,Ore,Claude Bernard,Shiff以来多くの研究者達によつて明らかにされてきた1-4).このために門脈はNoli me tangere(Touch me not!)ともいわれ5),この領域の手術を行う場合の大きな障害となつており,安全な門脈遮断は膵臓手術を行う場合の夢とさえいわれてきた5)
 われわれは,抗血栓性カテーテル(Anthron® bypasstube)を用いて上腸間膜静脈と大腿静脈とをバイパスし,一時的に門脈血を大循環系に還流させた上で門脈遮断を行つたところ,門脈圧の上昇も来さず安定した循環動態を保つことができた.この方法については,すでに上腸間膜静脈一大腿静脈バイパス法として報告した6,7,8).しかし,門脈バイパスの腸間膜微小循環に及ぼす影響については不明であつた.本論文では,動物実験および臨床例について,腸間膜微小循環動態と腸管の絨毛形態の面から検討を加えた.

腹部大動脈瘤の外科治療

著者: 岡本好史 ,   粟津篤司 ,   中山健吾 ,   山田公弥 ,   児玉啓介 ,   大仏正隆 ,   渡辺裕

ページ範囲:P.681 - P.684

はじめに
 近年,わが国においても,人口構成の高齢化に伴い腹部大動脈瘤の症例は増加の傾向にある.またこれに対する手術成績もほぼ満足しうる段階に達したと考える.高齢者が主として対象となつたわれわれの症例に検討を加え報告する.

臨床報告

臨床経過の比較的緩慢な悪性胸膜中皮腫の1例

著者: 木村敏明 ,   大倉充博 ,   岡本康久 ,   松井武志 ,   松尾慎一郎 ,   古林太加志 ,   山根行雄 ,   戸谷拓二 ,   溝淵光一

ページ範囲:P.685 - P.687

はじめに
 悪性胸膜中皮腫は,1年以上の生存がまれな比較的悪性度の高い疾患であるが,われわれは発見後約2年を経過し,手術によつて症状の軽快を得て,現在もなお生存中である1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.

横隔膜弛緩症合併胃捻転による噴門部狭窄の1手術例

著者: 加納正道 ,   桑原悦美 ,   西平哲郎 ,   葛西森夫 ,   小野寺博義

ページ範囲:P.689 - P.692

はじめに
 横隔膜弛緩症は横隔膜筋線維の形成不全などにより,横隔膜の1側が異常に高い位置にある状態と定義されている1).従来本疾患は先天性で強い呼吸器症状を示す新生児例や乳幼児例が多く知られていたが,最近では胸部X線撮影の普及により,成人例の報告も多くなり,また時に本症が胃捻転の原因となることも知られてきた2).今回われわれは左横隔膜弛緩症に合併した胃捻転による噴門部狭窄症例の手術を経験したので,若干の考察を加えて報告する.

食道癌手術後6年後に発生した再建胃管癌の1例

著者: 紙田信彦 ,   朝田農夫雄 ,   山口善友 ,   佐々木喜一 ,   長堀順二 ,   岡崎護 ,   黒川博之 ,   立之芳源 ,   斉藤寛文 ,   渡会敏之 ,   田中公啓 ,   郡良文 ,   関口昭彦 ,   原田伸

ページ範囲:P.693 - P.696

はじめに
 食道,他臓器重複癌は,それほど珍しいものではないが,初発が食道癌で代用食道とした挙上胃管に発生した胃癌の報告は,まだ少ない.
 われわれは,食道癌根治手術6年後に発生した挙上胃管癌の1例を経験したので若干の考察を加え報告する.

巨大な非活動性ラ島腫の1例

著者: 後藤剛貞 ,   竜崇正 ,   佐藤博 ,   松崎理

ページ範囲:P.697 - P.702

はじめに
 膵Langerhans島腫瘍は,その産生ホルモンによる特異的な臨床症状により,functioning tumorとして一括され,最近のradioimmunoassayの進歩に相伴つて多くの報告がなされてきたが,一方,何ら特異的臨床症状を呈さないnonfunctioning islet cell tumorの報告は極めて少なく,その予後も未だ不明である.今回われわれは巨大な腫瘤形成をみたnon-functioning islet cell tumorの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えてここに報告する.

腹部鈍的外傷による胆嚢破裂

著者: 松崎正明 ,   林衆治 ,   神谷勲 ,   堀尾静 ,   佐久間温己

ページ範囲:P.703 - P.705

はじめに
 近年交通外傷および労働災害の増加に伴い,腹部臓器損傷は増加している.特に,肝,脾,膵,腎臓等の実質臓器は鈍的外傷によつて損傷されやすく,市中病院で遭遇する機会は多い.その他に,十二指腸,小腸,大腸の損傷もしばしば経験する.一方,胆道系の損傷は比較的稀である.特に胆嚢の穿孔例はきわめて少ない.最近,われわれは腹部鈍的外傷による胆嚢破裂を経験したので報告する.

イレウス症状をきたした小腸アニサキス症3例の検討

著者: 深田伸二 ,   蜂須賀喜多男 ,   山口晃弘 ,   近藤哲 ,   堀明洋 ,   安井章裕 ,   広瀬省吾 ,   山田育男 ,   宮地正彦 ,   碓氷章彦 ,   渡辺英世 ,   石橋宏之 ,   加藤純爾 ,   神田裕

ページ範囲:P.707 - P.711

はじめに
 アニサキス症は今や3,000例にもなるといわれており,とくに胃アニサキス症は内視鏡の進歩によりその症例数は急速に増加している.一方,腸アニサキス症は急性腹症として開腹されて判明する場合がほとんどである.今回われわれはイレウス症状をきたし,開腹により腸壁に刺入したアニサキス虫体を証明した3症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.

下血をきたした多発性空腸憩室症の1例

著者: 堀明洋 ,   蜂須賀喜多男 ,   山口晃弘 ,   近藤哲 ,   山田育男 ,   広瀬省吾 ,   深田伸二 ,   宮地正彦 ,   碓氷章彦 ,   渡辺英世 ,   石橋宏之 ,   神田裕 ,   加藤純爾

ページ範囲:P.713 - P.716

はじめに
 空腸憩室症は比較的稀な疾患であるが,憩室炎,腸閉塞症,消化管出血等の合併症をおこすことが知られている.われわれは大量下血をきたした多発性空腸憩室症の1例を経験したので報告する.

大網原発平滑筋肉腫の1例

著者: 井上善文 ,   横田博志 ,   弓場健義 ,   松木修 ,   川田博昭 ,   福井博 ,   越智昭博 ,   大下征夫 ,   山本久義 ,   小林春秋男 ,   桐本孝次

ページ範囲:P.717 - P.720

はじめに
 消化管系に発生する平滑筋肉腫は,その報告に接する機会も多いが,大網および小網に発生するものはきわめて稀である.
 われわれは偶然腹部エコーにて発見された大網原発と考えられる平滑筋肉腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

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雑誌「SURGERY」最新号目次

ページ範囲:P.647 - P.647

SURGERY—Contents, April 1984 Vol.95, No.4 ©By The C. V. Mosby Company
 米国Mosby社の御好意により,世界的な外科雑誌"Surgery"の最新目次を,臨床外科の読者にいち早く,提供いたします。下記の目次は,発売前にファックスで送られてきたものです。この雑誌"Surgery"御購読は,医学書院洋書部(03-814-5931)へお申込み下さい。

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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