文献詳細
特集 外科におけるクリティカル・ケア
文献概要
はじめに
—DICとその病態生理—
DIC(disseminated intravascular coagulation)とは,全身の細小血管内で血液凝固能の異常亢進により多数の微小血栓がびまん性に生じ,そのため一方では流血中の血小板やフィブリノーゲンなど凝固因子が消費されて消費性凝固障害consumption coagulopathyとよばれる出血傾向が出現し,他方ではvital organに血栓による循環障害から機能障害をきたして,しばしばMOF多臓器障害に移行するという病態をさす.
生体には,血管が破れて出血すると止血のため局所的に凝固を生じるという防衛機構があり,もしこれが障害されると出血性素因をきたすが,血管内では血液凝固は通常生じない.DICとはこれが破綻して血管内で極端に血栓傾向を来たすことである.上記の出血性素因とは逆の現象でありながら結果的には消費性凝固障害という重篤な出血症状を示す一見矛盾した病態で,1960年代の末から急速に注目を集めてきた.
—DICとその病態生理—
DIC(disseminated intravascular coagulation)とは,全身の細小血管内で血液凝固能の異常亢進により多数の微小血栓がびまん性に生じ,そのため一方では流血中の血小板やフィブリノーゲンなど凝固因子が消費されて消費性凝固障害consumption coagulopathyとよばれる出血傾向が出現し,他方ではvital organに血栓による循環障害から機能障害をきたして,しばしばMOF多臓器障害に移行するという病態をさす.
生体には,血管が破れて出血すると止血のため局所的に凝固を生じるという防衛機構があり,もしこれが障害されると出血性素因をきたすが,血管内では血液凝固は通常生じない.DICとはこれが破綻して血管内で極端に血栓傾向を来たすことである.上記の出血性素因とは逆の現象でありながら結果的には消費性凝固障害という重篤な出血症状を示す一見矛盾した病態で,1960年代の末から急速に注目を集めてきた.
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