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網嚢内液体貯留 fluid collection in the lesser sac・1
著者: 佐藤豊1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学放射線科
ページ範囲:P.649 - P.649
文献購入ページに移動 網嚢は胎生期の腸管回転により胃の後方に陥入した腹膜腔の一部である.網嚢の前縁は小網lesser omentum,胃,十二指腸球部および胃結腸間膜に,下縁は横行結腸および横行結腸間膜transverse mesocolonにまた後縁は膵臓により形成され,左外側は脾門部にて盲端に終り,右内側では十二指腸球部のやや上方,下大静脈の前方にて網?孔foramen of Winslow によりmajor peritoneal cavityに連絡している(図1).また網嚢の一部,superior recessは肝の尾状葉を取り囲むように上方に進展し横隔膜に達する.汎発性腹膜炎の場合にも狭い網嚢孔を通して網嚢内に液体貯留がおこることは稀であるが,網嚢に隣接した胃あるいは十二指腸後壁の穿孔性潰瘍や膵炎に際しては網嚢内に膿瘍や膵仮性嚢胞が形成される.肝不全などによる大量腹水の場合にも網嚢内にまで腹水が浸入することは稀であるとされるが,癌性腹膜炎や腹膜灌流を受けている患者では網嚢内に大量の液体留貯をみることがある.
腹部単純像および消化管造影における所見としては胃を前上方に,横行結腸を下方に圧排偏位ある軟部陰影を呈する腫瘤像を呈し(図2),膿瘍内にガスの存在する時は立体像にて鏡面像を認める.
腹部単純像および消化管造影における所見としては胃を前上方に,横行結腸を下方に圧排偏位ある軟部陰影を呈する腫瘤像を呈し(図2),膿瘍内にガスの存在する時は立体像にて鏡面像を認める.
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